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2011/06/23 2011:06:23:21:40:31

「HOPE JAPAN TOUR」シルヴィ・ギエム 緊急インタビュー

今秋、東日本大震災の復興を願い「HOPE JAPAN TOUR」と銘打った全国ツアーを行うシルヴィ・ギエム。
先日、このツアーに込めた想い、東京公演で踊る作品について電話インタビューでたっぷり語ってくれました。

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「愛する日本のために行動したい、心からそう思ったのです」


11-06.24_01.JPG-----東日本大震災後、4月6日にパリでいち早くチャリティ・ガラ「HOPE JAPAN」公演が開催され、ギエムさんはその発起人の一人だったと伺っています。開催のいきさつ、この公演に込めた思いを教えてください。

 フォーサイスとの新作準備中に震災を知りました。最初はショックで呆然としていたのですが、被害の甚大さを知るにつれ何かしなければと思いました。シャンゼリゼ劇場が中止された日本人アーティストの公演日を提供してくれ、私はアクラム(・カーン)とニコラ(ル・リッシュ)を誘いました。フォーサイスは彼のカンパニーの島地保武さんを推薦してくれました。
 私は日本のいろいろな場所で踊り、たくさん旅もしました。私は日本に愛と恩義を感じているので、心から日本のために行動したい。このような状況だからこそ、私は日本に行きたいのです。


-----Aプロでは、アシュトン「田園の出来事」とマクミラン「マノン」という両極端とも言える作品を踊られますね。

 「田園...」はとても知的で演劇的。ノスタルジックな雰囲気のなか、視線や手、吐息などのディテール、緻密な振付からさまざまな感情や思いが溢れ出ます。「マノン」は壮絶で悲愴な非日常の次元に感情を運ぶ作品。振付も幅広く非常にフィジカル。スタイルは全く違っても、共に考え抜かれ、強く胸を打ちます。


-----Bプロ2作品は日本初演です。マッツ・エックの「アジュー」はあなたのソロと映像を巧みに組み合わせた独創的な作品です。どのように制作は進行しましたか?最初に二人で方向性を相談したのでしょうか?

11-06.24_02.jpg いいえ、全く!私は最初に電話で彼に「何でも好きに創って」と頼んだだけ。数週間後に彼が一人で全部創り上げたものを、スタジオで一緒に調整・変更しました。私からの提案はなし。マッツといるとダンサーは謙虚に学ぶのです。作品から彼のヴィジョンを知るのは、とても幸せ。彼が伝えたい思いが、ごまかしや余計なものを一切省きシンプルに表現されているので、踊っていると真実に近づく印象を受けます。純粋で人間的な感情やイメージを放つダンスで、インパクトは強烈です。


-----7月にロンドンで初演されるフォーサイスの新作について伺います。24年前のパリ・オペラ座「イン・ザ・ミドル・サムワット・エレヴェイテッド」以来の顔合せですが、違いはありましたか?24年ぶりのコラボレーションの様子、どんな作品になるのかを教えてください。

 彼は永遠の少年。仕事やダンスへの姿勢や情熱は、24年前と全く同じでした。まず彼が出すテーマ―5秒間の3つのパなどの動き―から非常に数学的な操作、具体的なパの実験、インプロヴィゼーションを行い、ダンサー側の提案やインプロを彼が選択し、対話を通して磨き上げます。彼は過去のダンスの動きから全く新しい思考や身体を生み出す振付家。過去と未来、多様なものの"ターニングポイント"にある、フィジカルでグラフィックで、幾何学的な驚くべき作品になります。

インタビュー・文:岡見さえ(舞踊評論家)

photo:Kiyonori Hasegawa(田園の出来事)、Lesley Leslie Spinks(アジュー)



◆シルヴィ・ギエム オン・ステージ2001 公演情報ページ>>>