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2017/06/01 2017:06:01:12:30:12

【ENB】セザール・コラレス インタビュー~踊るたびにセンセーションを巻き起こす、20歳のカリスマ

僕は踊るために生まれてきた

 わずか20歳にして世界的スターのカリスマを感じさせ 、公演の先々でセンセーションを起こしているセザール・コラレス。キューバ人の両親はともにバレエダンサーで、カナダとキューバを行き来しながら育った。
「劇場かスタジオでほとんどの時間を過ごしてきたので、1歳位の時からごく自然に、ラジオから流れてくる音楽に合わせて、両親の真似をして踊るようになりました。だから12歳で母親から"本気でバレエダンサーになりたい?"と聞かれた時、迷いはありませんでした。僕は踊るためにこの世に生まれてきたんだと信じていましたから」
 12歳でバレエ学校に入学した時、すでに周りの大人のダンサーの見よう見まねで、ダブル・トゥール・ザンレールなどの高度な技をマスターしていたというコラレス。周囲は彼がそれまでバレエを正式に習ったことがないと聞いて驚愕したという。「学校に入って生まれて初めて、5番ポジション等の基礎練習をすることになって、普通のバレエ学校の生徒とは逆の順番でバレエを習得したんです。オススメはしないけれど(笑)」。


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「海賊」でアリを踊るコラレス



若手にチャンスを与えるENBを選んだ

 13歳の時には、歌や演技は未経験だったにもかかわらず、オーディションでミュージカル『ビリー・エリオット』の主役の座を射止めた。1年半の間、バレエの訓練がおろそかになるのを心配した母親からバレエの個人特訓を受けつつ、夜はミュージカルに週に数回舞台に出演するという多忙な日々を過ごし、通常のバレエ学校の生徒とは比べ物にならない量の舞台経験を積んだ。その後両親の元でバレエに専念し、2013年のローザンヌ国際バレエコンクールで、生まれて初めてクラシックのバリエーションを舞台で踊り入賞。もっとバレエを極めたいと翌年17歳の時に挑戦したユース・アメリカ・グランプリではグランプリを受賞し、世界中のバレエ団からオファーが殺到した。「ENBを選んだのは、優れた指導陣がいることと、タマラが才能ある若手にどんどんチャンスを与えていることが理由です。実際に入団後すぐにプリンシパルの役をもらうことができ、今の僕にベストな決断でした」



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「海賊」のビルバンド役


バリシニコフやヌレエフばりの『海賊』のアリを

『海賊』のアリ役は、そんな若さとエネルギーの塊のようなコラレスのためにあるような役。「大好きなバリシニコフやヌレエフが踊るアリをビデオで何度も見ました。それにバレエ団の指導陣には伝説的なアリを踊ったムハメドフもいます。彼らの"いいとこどり"をして、さらに僕なりの動物的な野性味を加えて踊りたいと思っています。彼は奴隷で普段は抑圧されていて、一幕こそ静かにしていますが、二幕のソロではそれがいきなり爆発するんです!」
 一方『コッペリア』のフランツ役は、今回の日本公演が役デビューとなる。「喜怒哀楽の様々な感情を表現できるこの役は、今の年齢の僕にぴったり。技術的にもエキサイティングなので、楽しんで踊れるはずです!」。日本に行くのは今回が初めてというコラレス。「僕の野性味あふれる踊りを楽しみにしていてください! 」

(取材・文/實川絢子 ライター)


photos: Laurent Liotardo