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2016/02/02 2016:02:02:22:38:41

ハンブルク・バレエ団特集③ 現地特別取材[3] エドウィン・レヴァツォフ インタビュー
small_trim_Revazov_Edvin  (c) Holger Badekow.jpg
世界バレエフェスティバルにも出演した注目のダンサー

 『ヴェニスに死す』の美少年タッジオ役、最近では『タチヤーナ』でのオネーギン役など主要な役を振付けられ、注目を集めてきたエドウィン・レヴァツォフ。2015年には世界バレエフェスティバルにも初出演を果たし、日本でも人気急上昇中のプリンシパルは、モスクワのバレエ学校で学んだ後、運命の糸に手繰り寄せられるようにしてハンブルクにやって来た。「モスクワ時代、もちろんモスクワのバレエはすべてが美しかったのですが、何かが物足りないと感じていました。ある時偶然、『椿姫』のパ・ド・ドゥを見て、それまで感じたことのないような衝撃を受けたんです。あの時はそれがノイマイヤー作品だとは知らずにいたんですが、その後、ローザンヌ国際バレエコンクールでノイマイヤー氏に誘われ、ハンブルク・バレエ学校に入って初めて、やっと"これがあの時の!"と気づいたわけです(笑)。当時のモスクワではYouTubeもなく情報が限られていましたからね。ノイマイヤー作品に出会うことができ、そして彼のもとで踊れるようになったことは本当に幸運でした」


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「椿姫」より、アンナ・ラウデールと。photo:Holger Badekow


日本で『真夏の夜の夢』シーシアス/オベロン、初主演!

 日本公演の『真夏の夜の夢』では、シーシアス/オベロンの一人二役でロールデビューすることになっている。「これまで『真夏の夜の夢』ではいつも、パートナーのアンナ(・ラウデール)と一緒に、ライサンダーとハーミアのカップル役を踊ってきました。このバレエの貴族たちの世界の部分は特に、古典バレエ的な形式に則っているので、現実の部分と、バレエらしい部分のバランスをとるのがなかなか難しいんです。振付はクラシックで難易度の高いものですが、それを通してリアルな人間らしさを伝えなければならないので」

 「シーシアス/オベロン役は、一方は人間の王、もう一方は人間ではない"生き物"なので、まったく異なる二人といえますが、それぞれの社会のリーダーという面では共通しています。リハーサルはまだこれからですが、この役を日本で初めて踊れることに今からとても興奮しています!」

 そのノーブルな容貌から、シーシアス/オベロン役はまさにはまり役なのが容易に想像できるが、一方の『リリオム』ではまったく毛色の異なる"天国の判事"役を踊る予定だ。「この役は僕のために振付けられた役になりますが、僕にとって初めての、漫画に登場するような極端なキャラクターでした。単純にコミカルな役、シリアスな役といった枠に収まりきらない、風刺的なキャラクター、というのでしょうか、それまで踊ってきた役とはまったく違ったので、創作過程はとても興味深い、新鮮な経験でした。ノイマイヤー氏は、一人ひとりのダンサーがどこまで幅を広げられるかを探るため、色々と実験的な試みをしてくれるのですが、それぞれのダンサーが持つさまざまな"色"を引き出してくれるところが、本当に素晴らしいと思います」

 普段は公私ともにパートナーであるラウデールと組んで踊ることが多く、今年は二人で『ジゼル』に初主演できるのも楽しみにしているというレヴァツォフ。世界バレエフェスティバルで昨夏初めて訪れた東京に戻るのを、今から心待ちにしている。


取材・文:實川絢子(ライター)


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