ノイマイヤーの作品を踊ることで、自分の中のさまざまな"色"を見出した
パートナーのエドウィン・レヴァツォフと、2人の愛犬ともにインタビューに現れたラウデールは、家族と動物をこよなく愛し、自然体な魅力にあふれたプリンシパル。アーティストの両親の元にラトビアに生まれ、バレエをやっていなかったら絵描きになっていたかもしれないというクリエイティブな少女は、16歳でオーディションを受けて単身ハンブルク・バレエ学校へやって来た。
「はじめはドイツ語も英語もわからず、ホームシックで泣いてばかりでした。本当を言うと、今だって故郷や家族、ペットたちが恋しくてたまらないんです。でも、人生で全てを手にすることはできません。ハンブルクに来て、振付家のいるカンパニーで踊ることを知った後では、もう故郷のリガで踊ることはできないとはっきりわかっていますから。クラシック・バレエだけを上演するバレエ団と、ジョン・ノイマイヤーという生きる伝説のいるカンパニーで創作していくバレエ団とは、まったく別のものだからです。私はここに来て、ジョンから人生についての多くを学び、彼の作品を通して、自分の中にある、さまざまな"色"を見出すことができました。そしてそれこそがジョンがダンサーに求めていることなのです」
「真夏の夜の夢」(右端)アンナ・ラウデール
「入団一年目に驚いたことの一つは、"レス・イズ・モア"?(より少なく語ることはより多くを語ること)というジョンの言葉です。ラトビアで伝統的なパントマイムやバレエ演技を学んできた私にとっては大きな衝撃でした。自分自身が感じていることを信じることが何より重要で、観客にキャラクターの感情を見せびらかそうとする努力は要らないんです」
「真夏の夜の夢」のハーミアは、恋人たちの掛け合いが楽しい!
日本公演の『真夏の夜の夢』では、長年踊ってきたハーミア役を踊る。「これまではずっと、エドウィンが恋人のライサンダー役で一緒に踊ってきましたが、デミトリアスとヘレナと4人での掛け合いは本当に楽しいですね。テクニック的には、クラシックのステップが多くてかなり難しいのですが」。 一方『リリオム』では、ハンブルク・バレエ団の看板バレリーナであったアンナ・ポリカルポヴァのために作られた役、マダム・ムシュカートを踊る。リリオムの雇い主であり愛人でもある複雑な役柄だ。「この役を踊るアンナはとても素晴らしかったです。それこそたくさんの"色"が見出せる役なのでとても気に入っていますし、本当に感動的な作品です」