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2016/02/29 2016:02:29:16:44:21

ハンブルク・バレエ団特集⑪ 現地特別取材[8] アレクサンドル・トルーシュ インタビュー
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 若手プリンシパルの筆頭、アレクサンドル・トルーシュ。もともと故郷ウクライナで民族舞踊をやっていたというトルーシュだが、12歳のときに家族とともにドイツに移り住み、ハンブルク・バレエ学校に入学した。バレエに慣れるのに最初は苦労したものの、学校公演で主役に抜擢されたことや、優れた先輩ダンサーたちに刺激されたこともあって、14歳の時にはプロのバレエ・ダンサーになることを決心したという。

 『真夏の夜の夢』妖精パック/従者フィロストレートの二役で登場!

 日本公演で踊るのは、『真夏の夜の夢』の狂言回し的な存在である、パック/フィロストレートの一人二役。やんちゃな少年の面影を残すいたずらっぽい眼差しが、遊び心あふれる妖精パックのキャラクターにぴったりだ。「『真夏の夜の夢』はジョン(・ノイマイヤー)の初期の作品の一つですが、テクニックの面でも演技の面でも、とても難易度が高く、さまざまな側面を持っている作品といえますね。パックとフィロストレートの二人はまったく異なるキャラクターではありますが、同時に別の側面を持った一人の人間でもあるので、バランスに気をつけながら微妙なところを演じ分けています。幕開きに登場するフィロストレートは婚礼の準備を仕切っていて、シーシアスのお屋敷も本当は自分が牛耳っているんだと思いこんでいるところがあり、性格も頑固で厳しい。一方パックは、ふざけるのが好きで、間違いもたくさん犯してしまう。僕自身のキャラクターはたぶん、その両方の要素が混ざっているかなと思います。この作品はとても複雑な構造をしていて、ちょっとした仕掛けやジョークがあちこちに散りばめられているので、好きなシーンを挙げるのは難しいのですが、だからこそ全幕バレエの醍醐味を味わえるのではないかと思います」

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「真夏の夜の夢」パックを演じるトルーシュ(下)。ブシェ、ユングとともに。


ノイマイヤーが皆を一つの方向に導いていってくれる

 ハンブルク・バレエ学校仕込みのクリーンなテクニックに加え、近年は演技の幅をどんどん広げ、ストーリーを語れる真のハンブルク・ダンサーへと成長したトルーシュ。「ハンブルク・バレエ団の素晴らしいところは、ジョンが皆のモチベーションを上げ、大勢の人々を一つの方向へ導いてくれることですね。もちろんさまざまな振付家の作品を踊るのもいいことですが、ここではジョンのディレクションのもと、ダンサーたちが直感に従って踊りながら作品を形にしていきます――ダンサーたちはそれを選んでここに来ているわけですから、皆が一丸となって同じ方向に進んでいく一体感がありますね」


取材・文:實川絢子(ライター)

photos:Holger Badekow



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