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2016/10/27 2016:10:27:17:15:18

【パリ・オペラ座バレエ団】エトワール★インタビュー[3] リュドミラ・パリエロ
『ラ・シルフィード』『アザー・ダンス』でようやく日本の観客の方々と対面できます!

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 3年前の来日ツアーで『ドン・キホーテ』のキトリを踊るはずだったリュドミラ。パリ・オペラ座の『オネーギン』のリハーサル中に怪我をし、来日が叶わなかった。その前にツアーに参加したのはかなり前で、まだコール・ド・バレエ時代だった。それゆえ日本のバレエ・ファンには馴染みの薄いエトワールかもしれないが、オペラ座の新シーズン開幕公演ではフォーサイスの『ブレイク・ワークス1』、そしてクリスタル・パイトの創作『シーズンズ・カノン』の2作品を踊り、大活躍を見せた。

「私はパイトの仕事がとても好きで、10年くらい前から 機会があれば公演を観に行くようにしていて...そう、彼女の追っかけなの(笑)。個人的に話をしたことはなかったけれど、今回の創作を通じて、彼女の人間的そして芸術的素晴らしさに触れることができました。グループのエネルギーが鍵を握るこの作品、彼女は54名ものダンサーを見事にまとめあげたんです。とてもフェミニンでソフトな女性だけど、仕事となると男性的なエネルギーに満ち溢れて...」

 現存のコレグラファーたちとの仕事を楽しむリュドミラだが、クラシック作品においても優れたダンサーである。芸術監督のオレリー・デュポンも彼女の的確なダンス、脚の仕事の見事さを評価。フランス派の教育を受けていないのに、とてもフランス的に踊る! と『ラ・シルフィード』にリュドミラを配役した。

「今回はジョジュア・オファルトと踊りますが、3年前のオペラ座の公演ではフロリアン・マニョネとヴァンサン・シャイエがパートナーでした。この作品ではつねに体を前傾させておく必要があるし、ラコットさんの振付を踊るのは難しいのでとても大変。非現実的な存在なのだから、動きの中に軽さを感じさせるように踊る必要もありますね。でも、陽気ないたずらっ子のようなシルフィードを演じるというのは、とても楽しいことでした。その人物像についてはギレーヌ・テスマーとたくさんの仕事をしました。彼女が踊ったDVDは、もちろん見ています。ポジションや首の美しさなど、まるでロマンティク時代の版画から抜け出してきたかのようで素晴らしい!」
  『パキータ』、『セレブレーション』も踊っている彼女は、ラコット作品のいわば常連。ダンサーに愛情を注ぎ、情熱いっぱいにリハーサルに臨む彼と、ツアーに向けて再び仕事を共にできるのが楽しみだそうだ。

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 来日ツアーでは、マチアス・エイマンと『アザー・ダンス』も踊る。今春にオペラ座で踊ったのが初めてで、その後地方公演でも彼と舞台を共にした。
「その時にすでに感じられたのだけど、この作品は"二人の物語"なんですね。特にストーリーがあるわけではないけれど、音楽にインスパイアーされたダンスを踊るのは、とても楽しいですよ。また踊れるかと思うと、とても待ち遠しい。これはダンス・スタジオでピアノが奏でる音楽にのせて、二人でデモンストレーションをしている、という感じの作品。 だから、とてもナチュラルに踊る必要があります。その点、マチアスは気の合うパートナーなので...。オペラ座ではあまり一緒に踊る機会がないけれど、外部のガラでは組むことが多いですね」

 11月半ばには故郷アルゼンチンで、ナタリア・マカロワの『ラ・バヤデール』を古巣のコロン劇場のダンサーたちと踊る。その後はオペラ・バスチーユで『白鳥の湖』、そして来日ツアーだ。エトワールに就任以来、今回が初来日となるリュドミラ。2作品でソリストとして舞台にたつことによって、ようやく日本の観客と対面できる! と目を輝かせる。
 
 
インタビュー・文/濱田琴子(ジャーナリスト、在パリ)


Photo:James Bort/OnP(portrait), Anne Deniau/OnP(stage)


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