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2016/02/10 2016:02:10:18:49:28

ハンブルク・バレエ団特集⑥ 現地特別取材[4] 石崎双葉、菅井円加インタビュー





ローザンヌ国際コンクールからハンブルク・バレエ団へ

 石崎双葉と菅井円加は、ハンブルク・バレエ団のコール・ド・バレエとして活躍する若手日本人ダンサー。二人とも、入団のきっかけはローザンヌ国際バレエコンクールだった。
 2012年に日本中を沸かせた菅井のローザンヌでの一位受賞はまだ記憶に新しいところだが、そんな彼女が研修先に選んだのは、ハンブルク・バレエ団のジュニア・カンパニーであるナショナル・ユース・バレエ(BJB)。同バレエ団のケヴィン・ヘイゲン芸術監督の誘いでハンブルクの地にやってきた。二年間の契約後、ジョン・ノイマイヤーに認められ、ハンブルク・バレエ団に入団。「ハンブルク・バレエ団には、他とはちょっと違う味があるなと思って惹かれていました。それに所属ダンサーも素晴らしい方ばかり。ぜひ入りたいと思っていたので、入団が決まった時は嬉しかったです」(菅井)
 石崎もまた、2009年のローザンヌで声がかかり、付属のハンブルク・バレエ学校へやってきた。「私がコンクールに出た年は、たまたまノイマイヤー作品が課題で、その時に初めて彼の作品について色々と知ったのですが、まさか自分がこうして縁あって本人のところに来ることになるとは思ってもみませんでした」(石崎)


「『リリオム』はまるで映画をみているよう」(菅井)

Liliom(photo_Holger Badekow)IMG_4616x.jpg 入団後も、偉大な振付家のもとに集まった優秀なダンサーたちと共に、刺激に富んだ日々を送っているという二人。「ノイマイヤーさんは、やはり他の振付家にはない独自のインスピレーションやスタイルを持っています。ダンサーを本当によく見ていて、異なる個性を持った踊り手一人ひとりにあった動きを振付け、シンプルなステップでもそれをより印象的に見せてしまう。毎回のリハーサルですごいなぁと感心しています」(菅井)。
 「やはり皆ノイマイヤーさんが選んだダンサーというだけあって、彼の求めていることに対して対応できる人がそろっていますね。特にプリンシパルの人たちは、ちょっとしたステップでも自分なりにクリエイティブに解釈して踊れますから、そうやって皆で工夫しながら作品ができていくんです」(石崎)
 なかでも、年に一、二度ある新作の創作過程は、参加した団員一人ひとりにとって忘れがたい経験となるという。「振付家が一から作品を創り始める現場にいるというのは、やはりとても大きいですね。私にとっては、『リリオム』が研修生だった時に出演した初めての創作作品だったので、今でも一つひとつの場面をよく覚えています。とても勉強になり、貴重な経験でした」(石崎)
 「『リリオム』は舞台構成が徹底しているし、物語に入りやすくてまるで映画を観ているよう。舞台の上に乗るジャズバンドも最高です」(菅井)


「ユニークで楽しい『真夏の夜の夢』は、日本のお客様に喜んでもらえると思います」(石崎)

IMG_3387.JPG 『真夏の夜の夢』も、ノイマイヤー作品には珍しいハッピーエンドの喜劇で、二人も大好きな作品だ。「ノイマイヤー版では、貴族世界は古典バレエ的ですが、妖精世界は皆がユニタード姿になって踊りもモダンになるところがユニークですね。とても明るくて、コミカルなところもあるし、特に日本のお客様には楽しんでいただけると思います」(石崎)
 文字通りノイマイヤーの世界を堪能できるというガラも見逃せない。「ドラマチックな『椿姫』、抽象バレエの『マーラー交響曲第3番』、宗教的要素の強い『マタイ受難曲』、ノイマイヤーさんのこだわりがつまった『ニジンスキー』、クラシックの『くるみ割り人形』、ジャジーな『アイ・ガット・リズム』・・・。ノイマイヤー作品といえばドラマティック・バレエ、と思っている方も多いかもしれませんが、彼の作品には本当に色々なタイプのものがあるので、それを一度に観られるガラは面白いと思います」(石崎)
 「私はやっぱり『椿姫』が好きです。いつか踊ってみたいと思っている、憧れの作品なんです!」(菅井)
さまざまな作品を踊れるハンブルク・バレエ団は、ダンサーにとってとても幸せな環境だという二人。カンパニーとともに成長していく二人の今後の活躍に注目していきたい。

取材・文:實川絢子(ライター)



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photo:Holger Badekow