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2016/11/03 2016:11:03:15:58:24

【パリ・オペラ座バレエ団】エトワール★インタビュー[4] ジョシュア・オファルト

音楽を踊る喜びを満喫できる『アザー・ダンス』

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  グラン・ガラで『アザー・ダンス』に配役されているジョシュア。2012年の世界バレエフェスティバルではオレリー・デュポンとこの作品を踊った。「ジェローム・ロビンズの作品を踊る喜びは、なんといっても音楽ですね。まるで音楽の下に映画のような字幕があって、その上にロビンズはステップを刻んでいるって感じがします。『アザー・ダンス』は踊ることが幸せ!、という作品の1つなんです」

 今年3月のオペラ座での公演では、あいにくと怪我で舞台に立たずに終わっただけに、日本で踊れることになり、彼はとても喜んでいる。オペラ座ではロビンズ・トラストのオフィシャル・リハーサル・コーチのイザベル・ゲランと稽古をしたそうだ。当時を振り返って、彼はこんなエピソードを語ってくれた。

「彼女からは"だめ、やり直し!""だめ、やり直し!"...って、この繰り返しで、もう笑ってしまいましたよ。この作品について最初に説明されるのは、即興で踊っているように見せる必要があるということです。次にすることを感じさせず、二人が音楽を聴きながら、あ、こんな感じ、というようにごく自然に踊っているという作品なんです。 でも、これって振付を知っている僕たちには、なかなか難しいんですよ」

  今回のパートナーはドロテ・ジルベールである。相手から受け取るものに応じて踊る作品でもあるし、5年の間に自分も成長したので、以前とは違ったものを日本の観客みせることになるだろうというから、楽しみにしよう。なおドロテとは、『テーマとヴァリエーション』でも一緒に踊る。

「これは技術的な難易度をチャイコフスキーの音楽が忘れさせてくれる作品ですね。以前、チャイコフスキーの音楽を使ったバレエの主人公たちにインスパイアーされた創作をしたことがあって、それに当たって初めてダンスと関係なしに、音楽だけをじっくりと聞いてみることをしました。あまりの美しさに涙がでたほど。好きな作曲家の一人ですね、チャイコフスキーは」


『ラ・シルフィード』では思いっきり弾けてみせます!

 今回のツアーで彼が初挑戦するのは、『ラ・シルフィード』だ。 好奇心旺盛で、どんな作品でも 初めて取り組むものには、すごく刺激を感じる彼。ましてや、これはロマンティック・バレエの傑作である。

「興奮していますよ。『ラ・シルフィード』といったら、ルーヴル美術館で見る巨匠が描いた古典絵画のようにバレエ界の象徴的な作品ですからね。たとえエトワール同士でも二人ともが初役だと稽古の時間がかかるものだけど、パートナーのリュドミラはすでにシルフィード役を何度か踊っているので、良いスピードで進むと思います。テクニック的に特殊な作品で、とにかく脚を打ち合わせるテクニックが作品を通して、ずっと?続きます。下肢を鍛えられるような、特別な準備をするつもりでいます。公演は1晩だけ。思いっきり舞台で弾けてみせますよ!」

 オペラ座のツアーで来日するのは、2010年以来とのこと。 これほどバラエティに富んだプログラムなので、公演数がもっとあればいいのに! と残念がるジョシュアだ。


インタビュー・文/濱田琴子(ジャーナリスト、在パリ)

Photo:James Bort/OnP