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2016/11/10 2016:11:10:11:30:00

【パリ・オペラ座バレエ団】エトワール★インタビュー[5] アマンディーヌ・アルビッソン

sALBISSON_port_(c)James Bort_OnP.jpgいたずらっ子のラ・シルフィードは踊っていて楽しいの


「前回のオペラ座ツアーで来日した時は、ちょっと非現実的な状態だったわ。オペラ・ガルニエで『オネーギン』を踊ってエトワールに任命されたのが、確か木曜のことで、その週の土曜に日本行きの飛行機に乗ったのだから...。できたてのホヤホヤのエトワールだったのよ」 
 アマンディーヌのエトワールとして初舞台は、東京文化会館。そこで『ドン・キホーテ』のドリアードの女王を踊った。あれから数年が経ち、今はエトワールとしての舞台経験を重ね、自分の立場を実感できているそうだ。

 今回の公演で踊る『ラ・シルフィード』はスジェ時代にピエール・ラコットに大抜擢された作品で、彼女にとって、最高に思い出深い作品である。ローラン・プティの『狼』で若い娘、そして『ランデブー』で"世界一の美女"といった役を踊ったことはあったが、この作品で全幕作品の主役を踊ることになったのだから。

 「この作品を復元したピエール、そして初演ダンサーのギレーヌ・テスマーが役について豊富なイメージを与えてくれて、二ヵ月のリハーサルはすごく興味深いものだったわ。技術的には大変な作品よ。下肢を編むように動かすのだけれど、ラ・シルフィードは非現実の精霊なのだからスピーディで軽やかにする必要があるでしょ。そしてロマンティック・バレエのスタイルである上半身の前傾は、背中を反らすくらいにして踊るのが習慣な私たちには自然にできることじゃないし...。でもね、この作品、愉快なシーンがいろいろあって踊っていて楽しいのよ。ラ・シルフィードはいたずらっ子で、ユーモアいっぱい。舞台の切穴から姿を消したかと思えば、突然窓辺に現れたり! って」

 目を輝かして語るアマンディーヌ。これまで日本では見せる機会のなかったタイプの役柄を踊ることで、バレエ・ファンをさらに魅了しそうな予感がする。彼女のパートナーはオペラ座でも組むことが多く、また前回の世界バレエフェスティバルで『アザー・ダンス』を踊り、息のあったところを見せたマチュー・ガニオだ。


『ダフニスとクロエ』を若いジェルマンと踊れて嬉しい

 アマンディーヌはオペラ座でこの作品を踊った後のコンクールでプルミエール・ダンスーズに昇級したかと思うや、すぐにエトワールに任命された。そして来日ツアーに参加。その直後に彼女がエトワールとしてオペラ座で最初に配役されたのが、今回〈グラン・ガラ〉で踊るミルピエ振付の『ダフニスとクロエ』のクロエ役である。

 「このリハーサルは、いささか強烈なものだったわ。スタジオにいるのはオレリー(デュポン)とエルヴェ(モロー)、レティシア(ピュジョル)とマチュー。私はといえば、新米も新米のエトワールでしょう...。今回の私のパートナーはスジェのジェルマン・ルーヴェ。私もまだ学ぶことのある身だけど、もし私のように彼も稽古場で圧倒されてしまうことになったら、少しは経験のある先輩としてリラックスさせてあげたいわね。自分より若いダンサーと踊れるって初めてのことなので、とても嬉しいの。彼は素晴らしいダンサーよ。高く評価しているわ。彼って、理想的なプリンスといったタイプ。いつまでもスジェには留まっていないはずよ!」



インタビュー・文/濱田琴子(ジャーナリスト、在パリ)


photo:James Bort/OnP


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