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2017/01/30 2017:01:30:21:31:56

エトワール★インタビュー[9]レオノール・ボラック
エトワール任命はしっかりと仕事をした結果。誇りに感じています

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  昨年12月31日、『白鳥の湖』でオデット/オディールを初役で踊り、レオノール・ボラックはエトワールに任命された。この晩予定されていたエトワール二人が降板したことにより、オディール/オデットの代役だったレオノールがマチアス・エイマンと踊ることが発表されて以来、彼女がこの晩に任命されるのではないかという噂が立っていて...そしてそれが現実となったのだ。

「プルミエール・ダンサーがエトワールと踊る、というとそうした噂が立つものなので、私は耳を貸さないようにしていました。簡単ではないこの初役にベストを尽くし、最高の舞台を見せることが私には大切なことなので...。『白鳥の湖』はテクニック面も演技面も難しい作品です。それだけにやりがいのある仕事でした。その結果の任命。しっかりと仕事をしたといえる作品で任命されたということを、とても誇りに感じています」

 公演前、レオノールのリハーサルを見たオレリー・デュポン芸術監督からは、白鳥オデットは王妃であることを最初の登場から観客にわからせる必要がある、というアドヴァイスがあった。怯えて下ばかり向いていず、白鳥のポーズを威厳をもってすることといった、具体的な指導を彼女はもらったそうだ。

「任命が12月31日というのは少し象徴的...というのも、オレリーもエトワールに任命されたのも12月31日。素晴らしい継承がここにあると感じています」


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エフィーとリュセイオン──日本公演で演じる、二つの正反対の役

 3月の来日ツアーはプルミエール・ダンスーズ時代に配役がきまったものなので、ドゥミ・ソリスト役なのだが、とても興味深い2つの役を踊る。『ラ・シルフィード』のエフィー、そして『ダフニスとクロエ』のリュセイオンだ。

「エフィーは初役です。これは幼馴染のジェームスに首ったけの田舎の娘で、可愛いらしいけどあまり賢い女性ではなくて...彼がシルフィードのほうに惹かれるのは当然だと観客が思うように役創りをするつもりです。簡単ではないですけど。シルフィード役を踊るのはミリアム・ウルド=ブラーム。彼女と私は外見的に似ています。ジェームスの片側に彼の想像が生んだ非現実の女性シルフィードがいて、もう片側には現実の婚約者エフィーがいるというパ・ド・ドゥは、似ている私たちが踊ることで女性の二重性のようなものを見せられることになるので、これは面白い配役ですね」

 一方リュセイオンはエフィーとは正反対。主役のクロエを差し置いてダフニスを誘惑する毒のある年上の女性役である。舞台に登場の瞬間から、自信にあふれる女性であることを見せなければならない。

「どんな役でも舞台の最初の一歩はちょっと疑問をもってしまうものなのだけど、この役においてそれはまったく許されません。それだけでも難しいことなのに、クロエ役を踊るのがオレリー・デュポンなんですよ!」

 この作品の初演時にすでにリュセイオン役を踊っているレオノール。エトワールとしての自信と誇りで、素晴らしい舞台を見せることは間違いない。彼女が来日を楽しみにしているように、観客も彼女の来日を楽しみに待とう。


インタビュー・文/濱田琴子(ジャーナリスト、在パリ)

Photo:James Bort/OnP(ポートレート)、Photo Svetlana Loboff(舞台写真)



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