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2017/05/25 2017:05:25:15:25:47

【ENB】ローレッタ・サマースケールズ インタビュー~芸術監督ロホが絶対的な信頼を寄せる、唯一の英国人プリンシパル


small_trim_Laurretta Summerscales as Medora and Junor Souza as Ali in Le Corsaire (c) Laurent Liotardo.jpg

「海賊」メドーラを踊るサマースケールズ


10代の頃から"ダーシー・バッセルの再来"と称賛された逸材

 2017年度のローレンス・オリヴィエ賞でダンス部門の業績賞を受賞し、今英国で最も注目を集めているバレエ団、イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)。その芸術監督タマラ・ロホが「力強い踊りで圧倒的な存在感を放つダンサー」と絶対的な信頼を寄せる若きプリンシパルが、ローレッタ・サマースケールズだ。モデルとして雑誌の表紙を飾るほどの美貌を持ちながら、親しみやすくオープンな性格の26歳は、まさに"イングリッシュ・ローズ"(自然体で知性と気品に溢れる、英国の美しい女性を形容する言葉)という表現がぴったりの、バレエ団唯一の英国人プリンシパル。2歳からダンスを始め、国内のコンクールで活躍後、16歳で奨学生としてイングリッシュ・ナショナル・バレエスクールに入学、わずか2年で卒業を待たずしてENB正団員のオファーを受けたエリート中のエリートは、10代の頃から「ダーシー・バッセルの再来か」と騒がれるほど、英国バレエ界で注目を集める存在だった。

 コール・ド・バレエ時代から、周囲にプリンシパルになる夢をはっきり公言していたというサマースケールズ。2012年にタマラ・ロホが芸術監督に就任した際には、「自分が舞台で踊る姿をもっと見てもらいたくて、タマラに手紙を添えてDVDを渡し、必死にアピールしたこともありました(笑)」という。その翌年2013年の活躍ぶりは誰もが目を見張るほどで、リラの精を皮切りに、イマージング・ダンサー・アワードでの受賞、『白鳥の湖』主演、北京国際バレエコンクール金賞受賞と次々に活躍。ロホもその成果を認め、アーティストからファースト・ソリストへと驚くべき飛び級昇進を果たした。

 昨年1月、自身の誕生日でもあった『海賊』ロンドン公演の最終日には、カーテンコール終了後にロホが舞台上で、サマースケールズのプリンシパルへの昇進を発表。念願のプリンシパルとなって1年、「"プリンシパルにふさわしいダンサーだと証明しなければ"というプレッシャーからようやく解放されて、踊ることの喜びを より感じられるようになりました」と目を輝かせる。

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印象深いパリ・オペラ座ガルニエ宮での『海賊』。
メドーラは茶目っ気ある魅惑的な女性をイメージしています。


 そんなサマースケールズにとって、『海賊』は個人的に強い思い入れのある作品。昨夏のパリ・オペラ座ガルニエ宮での公演で、メドーラ役、ギュルナーラ役、オダリスクを連日踊ったことも、忘れがたい思い出だという。中でもメドーラ役は、スワロフスキーを散りばめたゴージャスな青い衣裳がサマースケールの美しさを一層際立たせ、そのダイナミックな踊りと遊び心あふれる演技がパリの観客を熱狂させた。「この役は、お高くとまった自信たっぷりな女性として演じることもできると思うのですが、個人的に他人を見下している人が苦手なので(笑)、私はむしろ、茶目っ気のある魅惑的な女性をイメージして踊っています」

 今回日本に行くのが初めてということもあり、日本公演が今から待ちきれないというサマースケールズ。「目の肥えたお客様のいる日本で踊るということは、一流のダンサーであることの証、と思ってきましたが、それが実現することになって本当に嬉しいです。皆さんに最高のパフォーマンスをお届けし、楽しんでいただけたらと思っています」


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(取材・文/實川絢子 ライター)


photos:Laurent Liotardo(stages)