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2016/01/27 2016:01:27:12:33:53

ナタリヤ・ブルメイステル メッセージ

 ブルメイステル版『白鳥の湖』東京バレエ団初演に寄せて、ウラジーミル・ブルメイステルの娘で、著作権保有者でもあるナタリヤ・ブルメイステルからメッセージが寄せられました。


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 東京バレエ団の芸術監督である斎藤友佳理さんが、私の父ウラジーミル・ブルメイステル演出の『白鳥の湖』をレパートリーに加えたいとの希望を伝えてくださったとき、私はとてもうれしく思いました。
 このバレエの初演は、今となっては遠い昔の1953年、スタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念音楽劇場で行われました。私の父が1941年からそのバレエ団を率いて、何世代ものダンサーたちを育てた劇場です。父はこのバレエ団に自分の持てる能力と才能のすべてを捧げ、17のバレエ作品を創作しました。その中に含まれる『エスメラルダ』と『雪娘』は今も上演され続け、『白鳥の湖』は彼の創作活動の頂点ともなりました。
 友佳理さんは子供のころからブルメイステルのこの作品を知っていました。ご主人であるニコライ・フョードロフさんのお父様、ゲンナジー・フョードロフさんに至っては、舞台美術家として私の父と共に働いていて(※)、彼らは友人同士だったのです。この良き関係は私たち、その次の世代にも続いています。
 ブルメイステルはチャイコフスキーの音楽を愛していました。なにしろ彼は作曲家の従兄の孫だったのです。家族皆がチャイコフスキーへの崇拝の気持ちを抱いていました。
 父は、論理的に筋の通ったものにして演出上の新しい工夫をふんだんに盛り込むことで、舞台上のできごとを悲劇的な音楽に近づけようとしていました。
 モスクワでの初演の後、このバレエの世界を股にかけた凱旋行進が始まりました。白鳥たちはアメリカにさえ「飛び立った」のです。
 彼のバレエが日本で上演されることに父はきっと満足しただろうと思います。ですから私は著作権保有者として喜んで東京バレエ団と契約を結びました。
 『白鳥の湖』が日本の観客の皆様を楽しませ、チャイコフスキーが書いているように「慰めと支え」を皆様にもたらすことを願っています。

                                           
                                        ナタリヤ・ブルメイステル


※ゲンナジー・フョードロフはモスクワ音楽劇場で45年間美術家として働き、ブルメイステル版初演時の美術も手がけた。