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2016/08/17 2016:08:17:10:00:00

【ミラノ・スカラ座バレエ団日本公演】レオニード・サラファーノフ インタビュー

 夏の〈バレエの王子さま〉公演で、アーティストとしてのさまざまな経験に基づく、風格を増した舞台を披露してくれたレオニード・サラファーノフ。ミハイロフスキー劇場バレエに所属しながら世界中で活躍しており、ことにミラノ・スカラ座バレエ団には若い時から定期的に客演。カンパニーにもレパートリーにも親しんでいる。その彼が9月のスカラ座バレエ団公演への意気込みや見どころを語ってくれた。
 
(インタビュー・文/斎藤慶子 ロシアバレエ研究)

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「僕はスカラ座バレエ団に育てられ、ともに成長できた」(サラファーノフ)


─ ヌレエフ版「ドン・キホーテ」のバジルを踊る醍醐味についておしえてください。

 マリインスキー劇場やミハイロフスキー劇場、ボリショイ劇場でも「ドン・キホーテ」は上演されていますが、それらよりもさらに技術的に難しいのがヌレエフ版です。特に1幕の登場場面が難しいのですが、その後も続いてたくさんの踊りがあります。おかげでこの作品を踊るときはいつも肉体的に最高のコンディションを得ることが出来て、スタミナもつきます。自分にとっては毎回が挑戦ですが、もっとも好きなプロダクションです。

─ ヌレエフ版「ドン・キホーテ」の演出全体についていえば、どんなところがお好きですか?

 ヌレエフ版は最初から最後までとても好きです。たとえばジョン・ランチベリーが編曲した音楽ですね。音色豊かなオーケストラ編成が特徴的で、古典的というよりはフォークロアに近い感じと言ったら良いでしょうか。スペインの民俗曲にとても似ているんです。それから舞台上に存在するたくさんのディテールも気に入っています。出演者数も非常に多いですし、何よりも踊り、踊り、踊りの連続です。テクニックや超絶技巧の極致です。

─ 以前と今を比べて、バジル役に取り組む際の違いがありますか。

 全般的な違いがあります。9年が経ちましたからね。私の生活は完全に変わりましたし、私の踊りも変わりました。経験からくる自信や落ち着きを得て、舞台上で起こっていることに対して自覚的になりました。それに加えてパートナリングですね。今は誰とでも組める自信があります。経験を積んだからでしょうね。それぞれのバレリーナに合うやり方はみんな違うんです。相手の身体のバランスを自分の腕だけでなく身体の内側から感じて、彼女と共に呼吸する感覚です。それからおそらくナチョ・ドゥアトの作品を踊ったことも大きいでしょう。相手の動きを後頭部のみでも感じることが求められます。そこで得た経験を今では古典作品を踊る時にも活かしています。

─ あなたはスカラ座バレエ団に何度も客演しています。あなたにとってスカラ座とは?

 私はこの劇場に育てられたと言っても過言ではありません。自分にとって初めてのゲスト契約を結んだのもスカラ座ですし、たくさんの経験を積ませていただきました。バレエ団のレベルもマハール・ワジーエフ監督のおかげで非常に上がりました。世界のトップのバレエ団と比べても遜色はありません。このバレエ団と共に成長することが出来て幸運でした。

─ この3月にスカラ座バレエ団の新鋭プリマ、ニコレッタ・マンニと「ドン・キホーテ」を共演しました。

 彼女とは数回踊りました。彼女は若いですが、すでにイタリア・バレエを代表するバレリーナだと言えると思います。訓練することを愛する、本当のプロフェッショナルです。

─ お子さんが3人いらっしゃいますね。末っ子のアレクサンドル君は昨年末にお生まれになったばかりです。

 以前は仕事だけの日々だったのですが、今は何よりも大事なのが家族です。家族が支えてくれているという確信があるので、舞台上でも以前より自信を持って踊ることができています。夜遅くに帰宅した時の、遠くから聞こえてくる小さな裸足の足音と「パパが帰ってきた!」という声は何物にも代えがたいです。

─ 自由な時間には何をなさっていますか?

  おむつを替えています(笑)


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photo:Brescia-Amisano/Teatro alla Scala 


ミラノ・スカラ座バレエ団公演概要はこちらから。