What's NewNews List

2017/11/11 2017:11:11:15:26:03

モーリスへの手紙 ~ジル・ロマンの語る〈ベジャール・セレブレーション〉~

モーリス・ベジャール・バレエ団、東京バレエ団、2つのバレエ団がベジャールへの想いをこめて上演する2日限りの特別ガラ公演〈ベジャール・セレブレーション〉。公演に先駆け、去る7月に行われた記者会見で、今回の演出をてがけたジル・ロマン(モーリス・ベジャール・バレエ団芸術監督)自身が作品について語る動画をご紹介します。



____________________________
ジル・ロマンの語る〈ベジャール・セレブレーション〉より

 この作品は「テーマとバリエーション」という意味のタイトルですが、フランス語の言葉遊びが隠れています。このタイトル自体、振付家バランシンの同名バレエへのことば遊びがありますし、フランス語の表記だと、【tと'M】で"テーム"という書き方をしています。このMの大文字はモーリスのMですし、テーマのM、エメ(愛)という言葉が隠されています。このバレエは愛をテーマにしたバレエなのです。
 何年もの間、モーリスは私に毎日手紙を書いてくれていました。けれども毎日彼に会っていたので私はその返事を出すことがなかったのです。その手紙はいまも手元に残っていて、気持ちが落ち込んだときなどに読み返していることがあります。そして彼に返事を書きたいと思った時に、私はダンサーの身体で、今、私のカンパニーのダンサーたちの身体で、モーリスに向けて純粋な文学のように振付をしてみたいと思いました。今のバレエ団の様子を日記のようにかきたい、と思ったのです。ですから、他の作品とは異なるやり方で振付けました。ミュージシャンたちもダンサーと一緒に舞台にあがって演奏しますし、日記のページをめくるように展開しながら、モーリスに新しいニュースを知らせています。
____________________________


また、この話を受け、会見に出席した記者から
「どうして毎日会うのにベジャール氏は手紙を書いたのでしょうか?」
という質問に対し、ジル・ロマンは次のように回答しています。


 モーリスは不眠症に悩んでいて、私が夜よく寝ている間に彼は目が冴えていて、その間に手紙を書いていました。昼間は一緒に仕事をしていたわけですが、書くことによって、会っているときに直接伝えられないことでも文字によって伝えられていた側面があったのだと思います。
 そしてもうひとつ大切なことは、書くと言うことは書きながらアイデアを固めていく作業であると思います。
 「ニーベルングの指環」についてクリエイションしていたころ、彼はその作品について考えながら手紙を書いていました。時には10枚に及ぶほどの手紙でした。彼にとって手紙を書く作業は、作品を構築していくプロセスのひとつでもあったのだと思います。


このように「手紙」が重要なキーワードとなる〈ベジャール・セレブレーション〉。公演会場では、ご来場いただいた方からも天国のベジャールへの手紙を大募集します。この機会にぜひ、ダンサーたちとともにこの"ベジャール10年祭"にご参加ください!


>>> ベジャールへの手紙、他 特別企画の詳細はコチラ

>>> ツイッターキャンペーン 好評展開中