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2018/01/12 2018:01:12:12:58:35

ハンブルク・バレエ団ダンサーインタビュー vol.5 ~アンナ・ラウデール&エドウィン・レヴァツォフ

アンナとエドウィン─おしどり夫婦が踊る、究極の愛の物語『椿姫』


renketsu_s400_Anna Laudere ク Kiran West.jpg 公私ともにパートナーであるアンナ・ラウデールとエドウィン・レヴァツォフは、リハーサル以外でもほとんど常に行動を共にするほどの団内指折りのおしどり夫婦で、文字どおり不可分なソウルメイト同士。今回の日本公演では、とりわけドラマティックな『椿姫』全幕で究極の愛の物語を踊る。魂のレベルで結びついた二人の唯一無二のパートナーシップを日本で披露するにあたって、その意気込みを二人に聞いた。

photos:Kiran West(ポートレート)









大みそかのスカラ座公演でこれまでと違った関係を見出すことができた

─2017年の大晦日にミラノ・スカラ座で『椿姫』に客演されたばかりと伺っています。お二人ともこの作品はもう何度も踊られていますが、今回ミラノで踊ってみていかがでしたか。

アンナ・ラウデール(以下アンナ):しばらく踊っていない役を踊るときはいつも、前回とは違う感情を発見します。より多くの人生経験を経て、その役により豊かな感情を注ぎ込めるようになったと感じますね。

エドウィン・レヴァツォフ(以下エドウィン):僕にとって面白いのは、『椿姫』では、前回やったことを繰り返すことは絶対にできない、ということですね。数年前に二人でこの役を踊りましたが、今回スカラ座で踊ってみて、これまでとはまた違ったマルグリットとアルマンの関係を見出すことができました。

アンナ:美しい物語の『椿姫』を踊ることは、私にとっては旅のようなものです。そして毎回が異なる旅路になります。エドウィンも言ったように、「昨日はうまくいったから、同じように踊ろう」というようなアプローチはこの作品では不可能です。マルグリットとアルマンとして、その日その日に感じた通りに踊る必要があります。もちろん物語は同じですが、ある感情を前回よりも強く感じたりと、感じることが同じ日は1日だってありません。同じ役でも、踊る私は毎回違う自分なのです。

エドウィン:全くその通りだと思います。この役には、自分自身の感情をかなりの度合いで投影できて、そこがとても面白いですね。


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『椿姫』より photo: Holger Badekow


親密なパートナーシップで踊る、最高に親密なステージ

─お二人にとって、この作品の魅力ややりがいはどんなところにありますか。

アンナ:3つのパ・ド・ドゥはどれも魅力的です。第一幕のパ・ド・ドゥでは、繊細な感情のさまざまな"色"を描き出す必要があります。複雑なだけに、それぞれのキャラクターが何を伝えようとしているのかをはっきりわかりやすく表現しなければなりません。それと対照的に、第二幕のパ・ド・ドゥはシンプルです。だからこそ、大袈裟にならないように、自分自身の感情や行動の一つ一つを、心から信じて踊る必要があります。第三幕のパ・ド・ドゥに関しては、それまでの旅路が自然と、あるべき瞬間、あるべき場所に連れて行ってくれます。感情や何もかもが、自然に溢れ出てくるのです。

エドウィン:とはいえ、このバレエで一番難しいのはパ・ド・ドゥじゃありません。"演技"せずに、そして、美しく見せようとせずに、いかに説得力を持って物語を明確に伝えることができるか─それが一番大切で、一番難しいですね。

─お二人のパートナーシップにはとてもスペシャルなものを感じます。中でもドラマティックな『椿姫』で共演されるのはいかがですか。

アンナ:素晴らしいの一言に尽きます。そう、とても親密な。

エドウィン:自分の奥さんとこの作品を踊る以上に親密なことはないでしょうね(笑)

アンナ:この作品を日本で踊ることができて、私たちは本当に幸せだと思います。


實川絢子(ライター)




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