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2016/12/22 2016:12:22:22:02:16

【パリ・オペラ座バレエ団】エトワール★インタビュー[7] マチュー・ガニオ
パートナーが変わるごとに新しい物語が生まれる


「『ラ・シルフィード』にはたくさんの思い出があります。なんといっても、これはエトワール任命後に初めて踊った作品です。ピエール・ラコットとギレーヌ・テスマーとの仕事も、とても学ぶことが多く素晴らしかったし...」

 こう当時を振り返るマチュー。その後、パリ・オペラ座だけでなく東京バレエ団とも踊り、世界バレエフェスティバルでも...というように、キルト姿で踊るマチューの舞台を見た人はすでに大勢いることだろう。面白いことに、彼のパートナーは公演ごとに変わっている。これまで踊った相手はオレリー・デュポン、イザベル・シアラヴォラ、斎藤友佳理、吉岡美佳、エフゲーニャ・オブラスツォーワ、ドロテ・ジルベール。そして、今回はアマンディーヌ・アルビッソンだ。

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「相手が変わるごとに、前とは少し異なる物語を僕は作り上げることができます。新しいセンセーションが得られて、新しいパートナーとの間に新しい対話が生まれ...相手が変わることには、こういった面白があります。日本で踊るアマンディーヌとの稽古はこれから。どんな驚きが待っているのか、わくわくします」

 一方、『テーマとヴァリエーション』は日本で踊るのが初めての作品だ。ずいぶんと以前にバリシニコフの映像を見た時に、"最高だ! 踊ってみたい"とダンサーとしての幻想を掻き立てられたという。
「だけど、実際に踊るとなると、話は別です。技術的に簡単な作品ではないし、あの素晴らしいチャイコフスキーの音楽に浸りたいので、できればこの作品については観客のままでいたい、って思ってしまいます(笑)」

 
オレリーの希望で、この年末、ロットバルトに挑戦!

 12月はオペラ・バスチーユの『白鳥の湖』でジークフリート役が6公演あり、さらに芸術監督オレリーの希望で、マチューはロットバルト役に初挑戦することになった。

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「新しい役を得ることで、『白鳥の湖』という作品に対してこれまでとは違うヴィジョンをもつことができますね。プリンス以外の登場人物について、よりよく理解できるようになります。技術面での発見もありますよ。ロットバルトとのパ・ド・ドゥで、こうしてくれたらいいのに、とプリンス役で踊っていて思っていたことが、実は不可能なのだ、ということがわかったり...。でも、似ているようで似ていない鏡の関係にある王子とロットバルトを同時期に踊るというのは、複雑な仕事と言えます。鏡の向こう側に行かねばならないのですから。プリンスとロットバルトの関係というのは、ダンサー同士の関係で変わってくると思います。それに身長差や年齢差といった要素も大きな関わりがありますね。ロットバルトの方が大柄なら、プリンスに対して威圧的であることを観客にわからせるのは簡単ですが、小柄な場合はプリンスを支配する立場であることを観客にわからせるための努力が必要...といったように」

 マチュー"ロットバルト"の初舞台は12月25日。プリンスを踊るのはジェルマン・ルーヴェで、彼もこの晩が初舞台だ。二人がいったいどのような鏡関係を見せるのか。これはまさに見てのお楽しみ! である。

 
インタビュー・文/濱田琴子(ジャーナリスト、在パリ)


Photo:James Bort/OnP(ポートレート)、Anne Deniau/OnP(舞台写真)


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