2017/09/12 2017:09:12:17:54:08[NBS最新情報]
ハンブルク・バレエ団ダンサーインタビューvol.1 ~ 菅井円加(『椿姫』プリュダンス役)
ハンブルク・バレエ団の日本公演まであと5か月。NBS公式ホームページでは主要な役で出演するダンサーへのインタビューを順番にお届けしてまいります。第一弾として、夏休みを利用して一時帰国中の日本人ソリスト2名のインタビューをお届けします。
トップバッターは昨シーズン主役デビューを成功裏に終え、今シーズンからソリストに昇格した菅井円加さん。菅井さんはローザンヌ国際バレエコンクール1位入賞をきっかけにハンブルクへ渡り、ナショナル・ユース・バレエを経て2014年よりハンブルク・バレエ団で活躍しています。2018年2月のハンブルク・バレエ団日本公演では、『椿姫』プリュダンス役を踊る予定です。
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──日本公演の『椿姫』では、ヒロインの友人、プリュダンスを踊られますね。
夏休みで帰国している間に決まったのですが、周りの人たちから「おめでとう」と言われるまで知らなくて(笑)。『椿姫』に出演するのはこれが初めてなのですが、一番好きな作品で、いつか関わりたいと思っていました。
──『椿姫』という作品の素晴らしさ、魅力はどんなところにあると思いますか。
魅力的な音楽と、キャラクターごとの複雑な感情が絡み合い、もどかしさを覚えながら共感させられるところですね。どんなバレエと比べても、この作品に関しては、すごく入り込んでしまいます。メインの役柄の衣裳が幕ごとに変わり、その感情が見えてくるところも、共感を誘うところだと思います。
──もう一つの上演作品、『ニジンスキー』もノイマイヤーの代表作の一つですね。
第1幕の劇場の場面に何度か出演しています。舞台上の私たちは、プリンシパルたちの素晴らしい演技を間近で見ることができる特権があるわけですが、ラストシーンでのニジンスキーの狂気は、自分も舞台にいるということを忘れてしまうくらいの迫力です。それに音楽も本当に素晴らしいです。
いくつかのキャストで見ていますが、皆、それぞれに異なります。たとえばアレクサンドル・リアブコの素晴らしさ。またアレクサンドル・トルーシュも迫力の演技です。役に入り込んでいかなければあのような狂気の演技はできないし、お客さんには届かないのでしょう。どのキャストも最後の場面で緞帳がおりると、バタンと床に伏せるほど。極限状態になるまで役になりきって踊りきるプリンシパルの方をとても尊敬しています
──今年6月にはジョン・ノイマイヤー振付『シンデレラ・ストーリー』の主役を踊り、今シーズンよりソリストに昇進と、着実にキャリアを積んでいますね。
度胸は座りました(笑)。大きなカンパニーで公演数も多いので、すでに進行中のバレエのほかに、違う作品を同時にリハーサルしなければいけない、というケースもあります。最初のうちは十分にリハーサルができず、不安と心配でいっぱいだったのですが、皆は「そんなことはここでは普通だよ」と言います。そしてわかったのが、「最終的にはなんとかなる」、ということです(笑)。
最近はようやく慣れてきましたが、それも、カンパニーの団結力の強さに関係しているのかな、とも思います。皆で助け合う、すごくいいカンパニーだと思います。
──日本の皆さんにメッセージをお願いします。
日本ツアーではジョン・ノイマイヤーの十八番の二つのバレエを上演しますので、この機会にぜひ、ご覧いただきたいと思います。欲張りになってしまいますが、キャスト違いでも観て、それぞれの魅力を味わっていただけたらな、とも思っています。