英国ロイヤル・オペラ 音楽監督
アントニオ・パッパーノ
1959年ロンドンに生まれ、13歳のときにアメリカ合衆国に移った。数年をリハーサル・ピアニストとして研鑽を積んだ後、1987年にノルウェー歌劇場で指揮者デビュー。1990年には同歌劇場の音楽監督に就いた。1992年から2002年までブリュッセルの王立モネ劇場音楽監督を務めた。この間にはウィーン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、バイロイト音楽祭へのデビューも果たした。
2002年に英国ロイヤル・オペラ音楽監督に就任。2023/2024シーズンまでの在任は、同歌劇場における最長を記録するもの。英国ロイヤル・オペラでは、幅広い作品を手がけ、その業績に対しては2003年のオリヴァー・アワードほか、数々の受賞がある。
英国ロイヤル・オペラ音楽監督在任中の2005年からはローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団音楽監督も務めた(2023年で退任)。2024年9月よりロンドン交響楽団首席指揮者に就任する。
2012年にはエリザベス英国女王よりナイトの称号(サー)を与えられ、同年にはイタリア共和国功労勲章カヴァリエーレ・ディ・クローチェ(大十字騎士)の称号も与えられている。2016年には「イギリスで最も活躍するイタリア人10人」に選ばれたが、2023年5月の英国王戴冠式でコロネーション・オーケストラの指揮を任ぜられたことは、パッパーノが英国を代表する指揮者であることをあらわしている。
日本のオペラを愛する皆様、
「音楽」、そして「劇場」という名の家族と共に、コヴェント・ガーデンで上演するように日本の劇場でオペラを上演することは私たちにとってまさにハイライトともいうべき瞬間です。
それも今回は『リゴレット』と『トゥーランドット』という、とてもパワフルな物語があり、演劇的にも音楽的にも明確な主張を持ったオペラを皆様にお届けします。
この2つのオペラは素晴らしい名作ですが、様式的には全く異なるものです。イタリア・オペラという名の万華鏡の中の二つの異なる色合い、そして私たちの異なる側面を皆様にみていただけるのは大きな喜びです。
来日する度に皆様が送ってくださる温かな反応は私たちにとって本当に特別なものです。
皆様と再びお目にかかり、願わくば、共に乾杯!を交わす日を心から楽しみにしています。
音楽監督として率いる最後の日本公演となる今回、パッパーノは確固たる信念のもと、ヴェルディの『リゴレット』とプッチーニの『トゥーランドット』の2作を決定しました。『リゴレット』は、コロナ禍による延期を経た2021年のシーズン開幕を満員御礼で飾った新演出版。ヴェルディがドラマと音楽が一体となることを目指したというこのオペラは音楽づくりが上演のカギを握ることになることから、指揮者にとっても“怖い” 作品の一つ。もっとも、だからこそパッパーノはこの作品を選びました、絶対の自信を持って!この音楽の力と舞台の魅力を日本のファンへの最後の贈り物にしたいのだと。
アントニオ・パッパーノが英国ロイヤル・オペラの音楽監督を務めるのは2023/24シーズンまで。かつて英国ロイヤル・オペラには、1960年代のゲオルク・ショルティ、70年代から80年代のコリン・デイヴィス、そしてパッパーノの前任のベルナルト・ハイティンクと、名指揮者と呼ばれる音楽監督が名を連ねてきました。それぞれの時代には輝かしい功績が残されています。しかし、長きにわたった“パッパーノ時代”は、その期間だけではなく、英国ロイヤル・オペラにおいて、レパートリーの拡充、観客との親密度の深まりなど、それまでにはない黄金時代が築かれたと言ってよいでしょう。
一方、『トゥーランドット』はパッパーノが音楽監督に就任する前から英国ロイヤル・オペラで愛され続けている名プロダクション。パッパーノ自身がこの『トゥーランドット』を指揮したのは2023年春が初めてのことだったというのはちょっと意外でもあります。長い時間を“劇場” でともにしてきた十八番を日本で振ることは、音楽監督としての使命と感じているにちがいありません。
英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演
アントニオ・パッパーノ インタビュー(1)(NBS News Webマガジンより)
今年6月、英国ロイヤル・オペラが『リゴレット』と『トゥーランドット』を携えて、待ちに待った来日を果たします。
2つの演目について、マエストロが語ってくれた作品への思いや素晴らしさなどを2回に分けてご紹介します。まずは『トゥーランドット』から!
「この作品は、好きだ!と確信しました」
英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演
アントニオ・パッパーノ インタビュー(2)(NBS News Webマガジンより)
6月の英国ロイヤル・オペラ(ROH)日本公演を率いる音楽監督アントニオ・パッパーノに、作品について聞いたインタビューの2回目は、『リゴレット』。
マエストロの『リゴレット』への思いを語っていただきました。
「このオペラには暴力的な要素もありますが、まるで高価で美しい短剣を見るような、そんな印象を持たせる舞台です」
アントニオ・パッパーノの“ドリーム・カム・トゥルー”(NBS News Webマガジンより)
「過去20年間で、ROH(ロイヤル・オペラ・ハウス)は私の家族、私の家、そして私の心になりました。英国の聴衆との関係の豊かさと深さは、私にとって非常に重要なものです。
この緊密で素晴らしい関係は今後何年にもわたって変わることなく続くことを信じ、楽しみにしています」
アントニオ・パッパーノに年間最優秀指揮者賞(NBS News Webマガジンより)
2023年10月、「第63回ミュージカル・アメリカ・アワード」で英国ロイヤル・オペラの音楽監督アントニオ・パッパーノが年間最優秀指揮者に選ばれました。
「特にリハーサル室では私はとても容赦ないんです。私は細部にこだわる人間なので、仕事が骨の折れる作業になることもあるけれど、自分の思考のプロセスにみんなを巻き込むために、常に私が追求する理由を明らかにしようとしています。」