2009年6月 一覧
オルガ・エヴレイノフ インタビュー2
─ニキヤ、ガムザッティ、ソロル役の重要な資質は?
どの役柄もまず揺るぎないテクニックが必要です。ニキヤは視覚的に美しいライン、そして重要なのは音楽性と官能性、ミステリアスであること、さらにまるで歌うかのように完璧に踊ること。ガムザッティにはパワーと情熱、そしてエキゾティックな面、猫のように流動的に踊ること。また、この2役を踊るダンサーはともに、素晴らしい役者でなければなりません。ソロルは、男らしく、エレガントで、ロマンティックであること。彼は謙虚で、まるでジャングルにいる動物のように強く、またそのように動く資質も必要です。
─マカロワ版の魅力はどこにあると思いますか?
マカロワ版は数ある演出の中でも最も成功を収めている作品だと思います。1877年に初演されたプティパによるオリジナルは、とても長大で現代の美学には沿わないものですが、マカロワ版はそのオリジナルから東洋的なエキゾティシズム、ロマンティックな概念、クラシック・バレエという3つの重要な要素を一つも失うことなくコンパクトにまとめ上げ一体化させています。また、1917年のロシア革命以後失われていた結婚式、神殿の崩壊というドラマティックな最後の場面を復活させたのもマカロワ版の素晴らしい点です。
─これまでいくつのカンパニーでマカロワ版の振付指導を行ってきていますか?
東京バレエ団を含めて11です。実は東京バレエ団の公演は1989年にミラノ・スカラ座でバレエ・マスターをしていたときに『月に寄せる七つの俳句』を、2001年にブラジルでマカロワ版『白鳥の湖』の振付指導をしていたときに『ザ・カブキ』を観たことがあります。『月に寄せる』は幕開きのボートで男性が登場する場面が美しく印象的で、日本人の精神を表した詩的な作品だと思いました。また、『ザ・カブキ』は本当に素晴らしい作品で、特に男性のコール・ド・バレエはとても力強く、本当に圧倒されました。ですから今回『ラ・バヤデール』を指導できることをとても楽しみにしていました。
公演情報ページ完成!
「ジゼル」の公演会場ロビーに展示しておりました、「ラ・バヤデール」の衣裳はご覧いただけましたでしょうか?
マネキンと一緒に記念撮影していらっしゃる方、携帯カメラを近づけて細部を撮影していらっしゃる方、などなど多くの方が衣裳に注目してくださっていました。
その豪華な衣裳を着けて撮影した写真をたくさん使った、「ラ・バヤデール」公演情報ページを昨日公開いたしました。(お知らせが遅くなって申し訳ありません!)
ストーリーや舞踊評論家の高橋森彦さんによる各日の主演キャスト紹介などなど、盛りだくさんの内容となっておりますので、ぜひアクセスしてみてください。
そして、現在NBS WEBチケットでは、先行抽選予約の申込み受付中です。21日18時までとなりますので、お早めにお申込みくださいませ。
「ジゼル」会場ロビーにて衣裳展示中
現在、ゆうぽうとホールにて公演中の東京バレエ団「ジゼル」会場ロビーにて、「ラ・バヤデール」の衣裳を展示中です。
ロビーに展示しているのは、次の3点。
第1幕でニキヤが着用している白の衣裳。繊細なレースに青い石とスパンコールが散りばめられた、聖なる巫女ニキヤの雰囲気にぴったりのもの。
ソロルの衣裳は、第2幕のもの。幻想的な「影の王国」で着用されるこの衣裳は、重厚な黒の生地にパールと金が効果的に使われています。
ガムザッティは、数ある衣裳の中でももっとも豪華な第1幕の衣裳。近くで見れば見るほど、凝った作りであることがおわかりいただけるはず。
明日、明後日の公演をご覧になる予定のある方は少し早めに会場にいらして、細部までじっくりとご覧ください!
衣裳だけでなく、それぞれの頭飾りも必ずチェックしてくださいね。
オルガ・エヴレイノフ インタビュー1
5月12日から28日までの17日間にわたり、「ラ・バヤデール」の振付指導をしてくださった、オルガ・エヴレイノフさん。
リハーサルの合間を縫って行われたオルガさんのインタビューを、2回にわたりお届けします。
─まずエヴレイノフさん自身の経歴について教えてください。
ワガノワ・バレエ学校を卒業してから、早い時期に足を故障してしまったことなどもあって、ダンサーとしてのキャリアは長くありませんでした。1982年にミーシャ(ミハイル・バリシニコフ)に呼ばれてアメリカン・バレエ・シアターで指導を行い、今では約30年この仕事を続けています。振付指導はダンサーから返ってくるものも多く、とてもやりがいがあります。たとえ同じ振付でもダンサー一人ひとり異なるので、ダンサーを信じて一緒になって表現を形作り、時には励まし、たとえ果てしなくとも理想のゴールを示し続けてあげることが大事です。それが不可能に到達する唯一の方法だからです。本当に大変ですが、ダンサーの成長の様子が見られるとやっていてよかったと思えます。
─9 月の初演に向けて連日リハーサルが行われていますが、様子はいかがですか?
とても順調です。ダンサーは皆、やる気に溢れ、規律正しく、作品に興味を持って取り組んでくれています。特に女性ダンサーはステップを覚えるのがとても早いので、影の王国を踊るのはそれほど難しくはないと思います。ただ、皆さん少し恥ずかしがりやなので、感情表現や普通では起こりえない場面を演じる際の表現など、このリハーサルの間に徹底的に指導やサポートを行っていきたいと思っています。
─主役を踊るダンサーの印象はいかがですか?
3キャストとも強い個性を持った、異なるタイプの素晴らしいダンサーです。もちろんこういった作品は、ステップをこなすだけではなく、それぞれのダンサーが違う方法で、それも役柄の心理や外見的特徴などから全体を理解しなければなりません。テクニック的には全く心配していませんし、演技やマイムなどはこれから指導を行っていくので、きっとうまくいくと思います。
宣伝用写真撮影レポート
今回はお約束どおり、先日東京バレエ団のスタジオで行われた「ラ・バヤデール」の衣裳付撮影の様子をお届けします。
この撮影に臨んだのは、ニキヤ、ソロル、ガムザッティ役の9名。
ダンサーたちは、撮影のためにいつもより早い10時からのクラスに参加(通常ソリストのクラスは11時40分から行われます)し、その後各々メイクに取り掛かりました。
同時に中スタには、撮影スタジオさながらの大掛かりなセットが組み立てられ、撮影の準備が次第に整えられていきます。
メイクを終えたダンサーが先日の衣裳合わせで選んだ衣裳を着ると、スタジオ内は一気に煌びやかな雰囲気になりました。女性陣は、床山さんに「ラ・バヤデール」独特の髪型を結ってもらい、華やかな髪飾りを付けて完成。ミラノ・スカラ座バレエ団からお借りした衣裳、装飾品は"絢爛豪華!"の一言です。
そして、いよいよ撮影がスタート。
トップバッターは、後藤晴雄。
「ラ・バヤデール」の音楽を口ずさみながら、ポーズを決めていました。
続いて、後藤と斎藤友佳理との撮影。
二人が組むのは、実は今回が初めてなのですが、そんなこと微塵も感じさせないほど息ぴったりで、二人はすでにニキヤとソロルそのもの。
二人の描く「ラ・バヤデール」の世界に、周囲にいたスタッフからは思わずため息が出てしまいました。
次の撮影は、上野水香と高岸直樹。
先に準備ができた高岸は・・・
スタジオの隅に置かれていた「ボトムちゃん」の愛称で親しまれている乗馬型トレーニングマシーンに乗って待機!
「ソロルがボトムちゃんに乗っている!」と撮影中のスタジオには、笑いが起こりました。
そんなお茶目な一面も持つ高岸も、撮影が始まるとその表情は真剣そのもの。
上野と話し合いながら次々と美しいポーズを創り出し、ラストシーンの象徴的なポーズも撮影。
続いては、吉岡美佳と木村和夫。二人は2幕の影の王国の衣裳での撮影です。
どちらの衣裳も細かい刺繍、ビーズやスパンコールもふんだんに使わています。ニキヤの髪飾りにも繊細で美しいスパンコールのラインが連なっているのです。舞台でちょっと見ただけではわけらない、こんな細かいところにまでこだわり抜かれた衣裳にもご注目くださいね。
撮影の後はいつもNBSの全公演を撮影してくださっているカメラマンの長谷川清徳氏と写真をチェック。
全員真剣な表情でカメラを見つめています。
このあと、満場一致で「これっ!!」という1枚が決まり、吉岡と木村の撮影は無事終了しました。
木村はそのまま、ガムザッティ役の田中結子と婚約式のシーンの撮影へ。
3月の「白鳥の湖」でオディールとジークフリートでも共演した二人は、木村が田中をリードして、次々と美しいポーズを決めていきます。
実は、今回の撮影にあたって、ダンサーたちは振付指導者のオルガ・エブレイノフさんから、事前にポージングの指導を受けていました。
1幕の衣裳で撮影した高木綾は、王冠を持ったポーズをオルガさんが指導してくださいました。
王女であるガムザッティの衣裳はどれもとてもきらびやかなのですが、特に、1幕のこの衣裳は、王冠やネックレス、ブレスレット、イヤリングも加わり、非常に豪華なものとなっています。
最後の撮影は、3幕の結婚式の衣裳を着た奈良春夏。資料用に置かれていたミラノ・スカラ座のパンフレットを見ながら、撮影の順番を待っている奈良。
鮮やかな赤い衣裳は、美しい黒髪と印象的な瞳を持つ彼女の雰囲気にぴったりでした!
こうして3時間半に渡る撮影が無事終了。どの写真も「ラ・バヤデール」のドラマティックな雰囲気を見事に現した華やかなものとなりました。
どんな写真なのかは、もうしばらくお待ちください。近日中にこのBlogでご紹介させていただきます。
そして、いよいよ明後日6月8日(月)から、一般発売に先駆けて、NBS WEBチケットサービスでの先行抽選予約の受付が始まります。お友達、ご家族、お誘いあわせのうえ、お申込みください!
東京公演チケット発売スケジュール
「ラ・バヤデール」東京公演のチケット発売スケジュールが決定いたしました。
■公演日
9月25日(金)6:30p.m.
(ニキヤ/上野水香 ソロル/高岸直樹 ガムザッティ/奈良春夏)
9月26日(土)3:00p.m.
(ニキヤ/吉岡美佳 ソロル/木村和夫 ガムザッティ/田中結子)
9月27日(日)3:00p.m.
(ニキヤ/斎藤友佳理 ソロル/後藤晴雄 ガムザッティ/高木綾)
■会場:東京文化会館
■入場料(税込)
S=¥10,000 A=¥8,000 B=¥6,000 C=¥5,000 D=¥4,000 E=¥3,000
■チケット発売方法
☆NBS WEBチケット
●先行抽選予約:【申込期間】6月8日(月)~6月21日(日)
●一般発売:7月4日(土)10:00a.m.~
☆NBSチケットセンター&プレイガイド:7月4日(土)10:00a.m. ~
●NBSチケットセンター 03-3791-8888
●e+(イープラス) http://eplus.jp/ (PC&携帯)
※プレオーダー6月25日(木)~7月1日(水)
●電子チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:396111)
http://pia.jp/t/ (PC&携帯) ※プレリザーブ 6月25日(木)~7月1日(水)
●CNプレイガイド 0570-08-9990
●東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650
●ローソンチケット 0570-000-407(10時~20時)(Lコード:36879)
*下記のチケットはNBSチケットセンターのみで受付いたします。
◆ペア券(2枚で1000円割引)
S席ペア券=¥19,000 A席ペア券=¥15,000 B席ペア券=¥11,000
◆親子ペア券(お子様が半額)【7/25(土)より受付開始】
親子S席ペア券=¥15,000 親子A席ペア券=¥12,000 親子B席ペア券=¥9,000
※お子様は小学生~高校生が対象。日にちによってはチケットをご用意できない場合があります。
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◆エコノミー券/学生券 8/21(金)より受付
エコノミー券=¥ 2,000 (e+イープラスのみで受付。お一人様2枚まで)
学生券=¥ 1,500 (NBS電話予約のみで受付。25歳までの学生が対象。公演当日、学生証必携)
■お問い合わせ:NBSチケットセンター TEL03-3791-8888
オルガ・エヴレイノフさん、リハーサル最終日
5月12日より、「ラ・バヤデール」のリハーサルを指導をしてくださったオルガ・エヴレイノフさんが、先週木曜日夜の便で帰国しました。
オルガさんのリハーサル最終日となった28日(木)は、15日間にわたって振付指導してくださった全場面を通しての稽古が行われました。
この通し稽古では、第1幕と第2幕を上野水香(ニキヤ)、高岸直樹(ソロル)、奈良春夏(ガムザッティ)が、第3幕を斎藤友佳理(ニキヤ)、後藤晴雄(ソロル)、高木綾(ガムザッティ)がそれぞれ演じました。
その他の配役に関しては、振付家のナタリア・マカロワさんが8月下旬に来日した後で決定することになったため、最終的なキャストはまだ決まっていないのですが、この日は大僧正:後藤晴雄、ラジャ:木村和夫、ブロンズ・アイドル:松下祐次、マグダヴェーヤ:横内国弘、影の王国のヴァリエーション:西村真由美、田中結子、吉川留衣というキャストでリハーサルが進行。
もちろん、どの場面も振付が終わったばかりですので、オルガさんはところどころ音楽を止めて、自ら手本を見せつつ、最後まで細やかな指導をしてくださいました。
リハーサル終了後、オルガさんに東京バレエ団からプレゼントを渡し、大きな拍手でオルガさんへの感謝の気持ちを伝えました。
次回は、衣裳付撮影の様子をお届けしますので、お楽しみに!