リュドミラ・パリエロ インタビュー

リュドミラ・パリエロ インタビュー

リュドミラ・パリエロ(プルミエール・ダンスーズ)


1993-1999年 ブエノスアイレスのコロン劇場バレエ学校で学ぶ。
2000年 チリのサンチャゴ・バレエ団に入団
2002年 ソリストに昇格
2003年 
第7回ニューヨーク国際バレエコンクールで、銀賞とイゴール・ユスケビッチ賞を獲得し、アメリカン・バレエ・シアターと契約。同年、パリ・オペラ座バレエ団にコール・ド・バレエとして入団。
2006年 コリフェに昇格
2007年 スジェに昇格
2009年 プルミエール・ダンスーズに昇格


 彼女の名前を知る人は、まだバレエファンの間でも少ないかもしれない。 あっという間にオペラ座のピラミッドを上がり、昨年の昇進コンクールでプルミエール・ダンスーズの1席を射止めたリュドミラ・パリエロ。東京では、「ジゼル」のペザント(パ・ド・ドゥ)を踊る。

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2009年12月のコンクール
(photo:Sebastien Mathe/Opéra national de Paris)

 アルゼンチン出身のリュドミラは、オペラ座バレエ学校を出ていない。ブエノスアイレスのバレエ学校に通い、チリのバレエ団でキャリアをスタートした。2年後にソリストとなり、翌年参加したコンクールでNYのABT入団が決定。それと時を同じくして、オペラ座から研修団員として3カ月契約の話があり・・・。そして現在に至っている。プルミエール・ダンスーズに選ばれたことについて、彼女はこう語る。「この昇進はとても幸せだった。なぜってフランス・スタイルのダンスの体得が認められ、そして、その努力が報われたということだから」。チリからオペラ座に移ってすぐに踊る機会に恵まれたが、その後しばらく舞台のない時期が続いた。舞台に立てないことは辛く感じられたが、オペラ座でやってゆきたいとい意欲から、その時期をオペラ座のフレンチ・スタイルに適用できるようにと観察の時間にあてたそうだ。
「ペザントは大役ではないにしても、テクニックという点でとても多くのことを学べるの。さまざまな技術を披露しなければならないし、きつい振付だから、スタミナの配分とか・・。これを踊ることでストレスの管理もできるようになる。役を演じるという振付ではないけど、これを踊ることで、その後大役に配された時に自信を持って踊れるようになるのよ。たとえば私の場合は技術的にも難しい「くるみ割り人形」のクララ役だった。だから昨年秋にペザントが決まったとき、素晴らしい!って思ったの。だって最高のトレーニングですものね。それに第3配役だったのが、最終的には第1配役となって・・」。

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「ジゼル」パ・ド・ドゥ
(photo:Julien Benhamou/Opéra national de Paris)

 驚くほど華奢でとても優美な足首と手首の持ち主である。そして、すらり美しい脚!ペザントを踊る彼女が、トゥで軽やかに立ち、あげた手首を空でそよがせると、そこには爽やかな風が揺れるように見える。東京ではアレッシオ・カルボネが彼女のパートナー。溌剌と生気に満ちた、それでいてエレガントなパ・ドゥ・ドゥを見ることができそうだ。
 リュドミラが興味深いのは、どの作品でも確固たるテクニックは変わりないが、その見事な変身ぶりである。オフ・ステージでは控えめに見える彼女だが、いざ舞台で踊りだすとその存在感はとても大きい。「くるみ割り人形」の第1幕では、あどけなさの残る15歳の女の子そのものだった。それゆえ第2幕の成長したクララとのコントラストがくっきりと描かれた。現在オペラ座で公演中の「椿姫」では、悪魔的に男を振り回すマノンを妖艶に踊ってみせる。このように演じる役に魅かれる一方で、マッツ・エックの「ア・ソート・オブ・・」では、その振付を踊るのがうれしくて、舞台に出るたび自然と笑みがこぼれたという。次はどんな舞台をみせてくれるのだろう、と期待させる。
 昨秋オペラ座の「ジゼル」では2人のウィリの一人にも配されていた。ある晩、ミルタ役のダンサーが公演の最中に怪我をしたので、彼女が衣装はそのままミルタの王冠をかぶり、ミルタ役を引き継いで踊るというハプニングがあった。「チリ時代にすでにミルタは踊ったことがあったし、それに毎晩舞台でコール・ド・バレエで踊りながらミルタをみているのだから・・・」と、ウイ!と冷静に役を引き受け、見事にその任務を全うした。頼もしいダンサーである。

大村真理子(フィガロ・ジャポン・パリ支局長)


◆リュドミラ・パリエロ出演予定日

「ジゼル」
2010年3月19日(金)7:00p.m.(パ・ド・ドゥ)
2010年3月20日(土)6:30p.m.(パ・ド・ドゥ)

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