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2008/12/22 2008:12:22:17:43:55

[速報]パリ・オペラ座バレエ学校デモンストレーション

先ごろ行われた、パリ・オペラ座バレエ学校のデモンストレーションを、マダム・フィガロ・ジャポン・パリ支局長の大村真理子さんがレポートしてくださいました。



08-12.22parisopera.jpg   恒例のバレエ学校のデモンストレーション(公開授業)が11月30日、12月7日、12月20日にオペラ・ガルニエで行われた。踊るのが生徒たちとはいえ、チケット(料金は6-28ユーロ)は毎年発売と同時に売り切れとなる人気だ。客席を埋めるのは舞台で踊る生徒たちの家族・親戚、学校の試験をうけてみようかという子供とその親、他のバレエ学校の生徒や先生といった様子で、開演前は日ごろと異なる不思議な緊張感が会場をみたしていた。
 オペラ座のバレエ学校は6学年からなる。フランスでは日本と学年の数え方が逆で、一番下のクラスが第六部門(12歳以下)で、そこから数字が減ってゆき、最終年が第一部門(18歳以下)である。10時30分に始まったデモンストレーションの午前の部は、第六、第五、第四部門が男女クラス別に授業風景を披露。15分の休憩をはさみ、第六部門の生徒のフォークダンス、第二部門の生徒によるコンテンポラリー・ダンス、第四部門の生徒のキャラクター・ダンス(民族舞踏)、第五と第六部門の音楽的表現(マイム)と続き、13時に終了。14時30分からの午後の部は、第三、第二部門の男女別の授業風景。休憩後、第一部門の男女別の授業風景、そして第三部門のキャラクター・ダンスがあり、第一部門のアダージオ(パ・ドゥ・ドゥ)で終了となった。このプログラムは毎年、ほぼ同じである。
最下年の男子がバーレッスンで披露したのはソー、アントルシャ、エシャぺ・バチュなどのパ。女子はルルベ、ソー・ドゥ・シャなどのパ。フランスは9月が新学期であるから、彼らは3か月弱の授業の成果をみせているわけだ。これがスタートなら、締めは第一部門の生徒たちによるヌレエフの「眠れる森の美女」からのパ・ドゥ・ドゥである。6年間の成果を見せる生徒たちの頼もしい未来に、客席からは大きな拍手がわいた。クラシック・バレエの技術を学びながら、音楽性、空間の使い方、統一性、表現力、持続力、自然な笑顔など舞台上で踊るのに必要なすべてを、入学してから6年の間にいかに身につけてゆくのかが、このデモンストレーションで垣間見ることができる。教育の成果を本格的に彼らが披露する学校公演への興味が、いや増すというものだ。
 舞台上には名指しでやり直しをさせられた生徒もいれば、病気をおして参加している生徒もいた。強い精神力なしには続けられないだろう。そして、たとえこの厳しい学校生活を終えられたとしても、バレエ団に入れるのは一握り。こうしてオペラ座バレエ団の高いレヴェルが維持されるのだと、つくづく納得させられる。またオペラ座のスタイルという点でいえば、キャロル・アルボ、ファニー・ガイダというかつてのエトワール・ダンサーたちによって生徒に伝えられてゆくのだろう。さて今年から、昨春引退したエトワールのウィルフレッド・ロモリも教授陣に加わった。担当する第四部門の男子クラスの公開授業の最後に、『ライモンダ』の音楽にのせて生徒とともに美しくレヴェランスをする彼の姿は、デモンストレーション会場の張り詰めた空気を一瞬だが和らげた。


大村真理子(マダム・フィガロ・ジャポン パリ支局長)