2010/12/07 2010:12:07:13:50:20[NBS最新情報]
ベルリン国立バレエ団より、<マラーホフ・ガラ>の一部プログラムと出演者変更の連絡がありましたので、お知らせいたします。何卒、ご了承ください。
●プログラム変更
「人形の精」
↓
「スピリット」(振付:ウラジーミル・マラーホフ/音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ)
セブネム・ギュルゼッカー-イブラヒム・ウェーナル
●出演者変更
「ブルッフ・ヴァイオリン協奏曲第1番」
イブラヒム・ウェーナル → ライナー・クレンシュテッター
また、<マラーホフ・ガラ>で上演される演目の舞台写真がベルリンより到着しました。各作品のプログラムノートとともにご紹介いたします。
ベルリン国立バレエ団2011年 <マラーホフ・ガラ>
「ブルッフ・ヴァイオリン協奏曲」 Bruch Violin Concerto
振付:クラーク・ティペット
音楽:マックス・ブルッフ(ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26)
出演:
ポリーナ・セミオノワ、エレーナ・プリス、ヤーナ・サレンコ、ステファニー・グリーンワルド
ヴィスラウ・デュデク、ミハイル・カニスキン、ライナー・クレンシュテッター、マリアン・ヴァルター
クラーク・ティペットはアメリカが誇る振付家の一人であった。彼の代表作にあげられるのが「ブルッフ・ヴァイオリン協奏曲第1番」だろう。最初はチュチュとポアントで踊られるごく普通のプロットレス・バレエに思えるが、ムーヴメントに関する深い知識を駆使してバレエの伝統的表現を生き生きと綴った作品であることがすぐに明らかとなり、ブルッフの有名なヴァイオリン協奏曲が振付をロマン主義的な情熱で染めあげる。親しみやすさと洗練を兼ね備えた名作の系譜に連なる一作である。
「ヴェニスの謝肉祭」("サタネラ"パ・ド・ドゥ) Carnival in Venice
振付:マリウス・プティパ
音楽:チェーザレ・プーニ
美術:エレーナ・クニコワ
衣裳:ヨルディ・ロイク
出演:未定-ディヌ・タマズラカル
マリウス・プティパ振付の本作は1859年に初演された。「サタネラ」とも呼ばれるこの有名なパ・ド・ドゥは、変装した女性による艶な仮面劇で、バレエ「ヴェニスの謝肉祭」にぴったりの内容である。魅力的だが謎の若い女性の熱心な求愛を、ユーモラスなタッチで描いたもの。チェーザレ・プーニは、当時絶大な人気を博していたニコロ・パガニーニの主題を借用している。
「「せむしの仔馬」より"フレスコ"パ・ド・カトル Frescoes
振付:アルテュール・サン=レオン
音楽:チェーザレ・プーニ
美術:エレーナ・クニコワ
衣裳:ヨルディ・ロイク
出演:
サラ・メストロヴィック、イアナ・バローヴァ、クラジィーナ・パヴロワ、アナスタシア・クルコヴァ
『せむしの仔馬』はロシア民話に基づくバレエで、賢い若者イワヌシュカが困難を乗り越え、強大なハーン(汗)に嫁がされる美しい皇帝の姫の愛を勝ち取るという物語。魔法の力をもつ仔馬がさまざまに主人公を助ける。高い技巧を要する人気演目の"フレスコ"は、仔馬の魔法によって現れる女性たちの踊りで、精密かつ優美な舞踊言語が散りばめられている。このため、バレエ学校の卒業公演で踊られることも多い。仔馬が魔法を使うと、ハーンの宮殿の壁に描かれたフレスコ画の4人の女性に命が宿る。各人が示す個性は、それぞれに異なる女性らしさの象徴である。
「騎兵隊の休息」 La Halte de Cavallerie
振付:マリウス・プティパ
音楽:イワン・アルムスヘイメル
美術:エレーナ・クニコワ
衣裳:ヨルディ・ロイク
出演:セブネム・ギュルゼッカー ―マリアン・ヴァルター
マリウス・プティパによる全1幕のコミカルなバレエ。オーストリアの小村にやってきた騎兵隊がまきおこす騒動を描いたものである。村の若者ピエールとマリアとテレーザは三角関係。連隊長はマリアを見染めるが、マリアはピエールを心底愛しているので諦めることにする。盛大な宴が開かれ、さまざまなダンスやグラン・パ・ド・ドゥで盛りあがる。この小品は1896年にサンクトペテルブルクの帝室マリインスキー劇場で初演され、マリヤ・プティパ、ピエリーナ・レニャーニ、パーヴェル・ゲルトが主役を務めた。
「アルレキナード」 L'Harlequinade
振付:マリウス・プティパ
音楽:リッカルド・ドリゴ
美術:エレーナ・クニコワ
衣裳:ヨルディ・ロイク
出演:ヤーナ・サレンコ - ライナー・クレンシュテッター
1900年にサンクトペテルブルクで初演された全幕作品。コメディア・デラルテの登場人物に想を得てマリウス・プティパが振付け、大成功を収めたが、現在はほとんど上演されていない。しかし、このパ・ド・ドゥは今も数多くのカンパニーがレパートリーに取り入れている。主役はアルレッキーノ(ハーレクイン)とコロンビーナ(コロンビーヌ)で、絶えずお互いをからかい合う。コメディア・デラルテの伝統的な様式にのっとり、パントマイム、誇張、ユーモアで彩られ、高度な技巧が要求される。
「これが死か?」 Serait ce la Mort?
振付:モーリス・ベジャール
音楽:リヒャルト・シュトラウス(「四つの最後の歌」)
出演:
ウラジーミル・マラーホフ
ベアトリス・クノップ、エレーナ・プリス、
ナディア・サイダコワ、ポリーナ・セミオノワ
20世紀の巨匠モーリス・ベジャールの作品。一人の人間が経験する愛と喪失の苦悩を、静かに、メランコリックに描きだす。ベジャール作品の特徴は、独自の手腕で、人間の感情を示唆に富む強力なイメージに変容させるところにある。「これが死か?」も例外ではなく、根底に流れるのは孤独な男の痛切な思い出の数々だ。振付はリヒャルト・シュトラウスの「四つの最後の歌」がもとになっている。
「ショータイム」 Show Time
振付:エリック・ゴーティエ
音楽:フィリップ・カニヒト/ジョルジュ・ビゼー(「カルメン」序曲より抜粋)
衣裳:マリアンネ・イリク
出演:エリッサ・カリッロ・カブレラ-ミハイル・カニスキン
「男性ダンサーと女性ダンサー――観客――公演。第1部では、主役たちがパフォーマンスの準備をしている。時間が迫ってくるにつれ、心臓の鼓動は高まり早鐘のように打つ。興奮と舞台への恐怖は増すばかりだ。そこに声が響く。「ダンサーたち、ショータイムだ!」舞台上の舞台を模した、第2部が始まる。「カルメン」の曲に合わせ、ビゼーの有名なオペラの主題に基づく情熱的なパ・ド・ドゥが繰り広げられる」(エリック・ゴーティエ)
「スピリット」Spirit
振付:ウラジーミル・マラーホフ
音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
(ハープシコードと弦楽器のための協奏曲BWV1056、ラルゴ)
衣裳:ジョルディ・ロイグ
出演:セブネム・ギュルゼッカー-イブラヒム・ウェーナル
ヨハン・セバスティアン・バッハの曲を用い、ウラジーミル・マラーホフがカンパニーのソリスト、セブネム・ギュルゼッカーとイブラヒム・ウェーナルに振付けたデュエット。劇場という空間と、バッハの音楽言語に触発され、リハーサル中に自然発生する雰囲気と楽曲の明快さを中心に振付は展開していく。これはマラーホフが初めて手がけたアブストラクト・バレエであり、純粋な古典的ムーヴメントとは明らかに一線を画している。
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