伝説のバレリーナ~ナタリア・マカロワ
伝説のバレリーナ~ナタリア・マカロワ
9月2日より、「ラ・バヤデール」の振付家であるナタリア・マカロワさんによるリハーサルが始まりました。
リハーサル開始から3日目となった本日は、1幕ニキヤのソロ、2幕ニキヤとソロルのアダージオ、そして影の王国の3人のヴァリエーションのリハーサルが行われました。
20世紀を代表するバレリーナといわれるマカロワさんの直接指導とあって、リハーサルを行う団員のみが残されたスタジオには、普段とは違う緊張感が漂っていました。
マカロワさんの来日は今回が2度目。キーロフ(現マリインスキー)・バレエ時代の1969年に、「眠れる森の美女」でフロリナ姫を踊られた時以来、実に40年ぶり(!)となります。
代表作を収録した 「ナターシャ~ベスト・オブ・ナタリア・マカロワ」、名パートナーとして知られたアンソニー・ダウエルさんとの「白鳥の湖」「ジゼル」「ラ・シルフィード」をはじめ、数多くのDVDが発売されていますので、映像を通じてマカロワさんの素晴らしい舞台をご覧になった方はたくさんいらっしゃるでしょうが、実際にマカロワさんの舞台をご覧になったという方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。
そこで、素晴らしい舞台写真も交えて"伝説のバレリーナ"と呼ばれるマカロワさんを簡単にご紹介させていただきます。
ナタリア・マカロワさんは1940年ロシア、サンクトペテルブルク生まれ。
13歳の時に、ワガノワバレエアカデミーに入学されました。
卒業後、キーロフ(現マリインスキー)・バレエ団に入団し、すぐにソリストに昇格。
1961年にロンドンで踊った「ジゼル」は、後々まで最高の公演と評され、彼女を象徴する作品のひとつとなりました。1965年には、ヴァルナ国際バレエコンクールの金賞を受賞。
しかし、キーロフ・バレエ団のロンドン公演中の1970年9月4日、自由な芸術活動を求めてイギリスに亡命。バレエ界に大きな衝撃を与えました。
その後、アメリカン・バレエ・シアターに入団し、1972年からは英国ロイヤル・バレエ団と共演。
ルドルフ・ヌレエフやアンソニー・ダウエルなどをパートナーに、幅広い役を踊り、華々しく活躍されました。
その当時の写真がこちらです。
レパートリーには、古典全幕作品から、ケネス・マクミラン、ジェローム・ロビンズ、ジョージ・バランシン、フレデリック・アシュトン、アンソニー・チューダー、モーリス・ベジャール、ローラン・プティ、ジョン・ノイマイヤー、グレン・テトリー、そしてジョン・クランコなどの振付家の作品があり、彼女のために振付けられたものも多くあります。
振付家としては、1980年にアメリカン・バレエ・シアターの依頼を受け、『ラ・バヤデール』を改訂演出。西側のバレエ団として初めて、アメリカン・バレエ・シアターが全幕を上演しました。
1989年にはロイヤル・バレエが再び全幕を上演。
その後、マカロワ版「ラ・バヤデール」は、ミラノ・スカラ座バレエ団、ハンブルグバレエ団、スウェーデン王立バレエ団、ブエノスアイレスのテアトロコロン、オーストラリアバレエ団、オランダ国立バレエ団、スペインのコレーラバレエなどで上演されています。
そして、このたび東京バレエ団でも上演が決定しました。
マカロワさんは、『ラ・バヤデール』の演出、振付を行って以来、『ジゼル』、『眠れる森の美女』、『白鳥の湖』、『パキータ』など数々の古典作品を手がけています。
現在も、世界各国で古典作品の上演を続け、後進の育成にあたられています。
そして、マカロワさんは、バレリーナ、振付家だけではなく、マルチ・タレントとしても活躍。
ミュージカル『オン・ユア・トューズ』でブロードウェイ・デビュー。この作品によって1983年トニー賞ミュージカル主演女優賞を受賞されました。
さらに、84年にはイギリスのウエスト・エンドで上演された同作品に主演し、ローレンス・オリビエ賞も獲得されました。
1989年2月1日、19年の時を経て、芸術家の亡命者として初めて凱旋公演を行い、キーロフ・バレエの舞台で再び踊りました。
1991年には、女優としても活動を開始しています。
バレリーナ、振付家、女優として多彩な活動を続けているマカロワさんは、どこにそんなパワーがあるのだろうと思ってしまうほど、とても小柄で可憐。
しかし、彼女の指導はとても細かく、厳密で、リハーサルに取り組む団員たちもいつも以上に集中しています。
日本でマカロワさんの指導を直接受けているのは、東京バレエ団だけ。
指導は、26日まで続きます。
東京バレエ団によるマカロワ版『ラ・バヤデール』の世界をお楽しみに!
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