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アリシア・アマトリアン インタビュー

アリシア・アマトリアン(プリンシパル) インタビュー




太陽光を吸収して青空に咲くひまわりのように陽気に笑うアリシア・アマトリアン。そんな彼女が舞台上では、ときに純真無垢そのもののようなオーロラ姫となり、ときに自制心で心の傷を覆う成熟した女性タチヤーナに変貌する。若干21歳でシュツットガルト・バレエ団の最年少プリンシパルになってはや7年。目の前にいる朗らかな女性の心の内には、実は計り知れぬ埋蔵量の「人生経験」が潜むことがうかがえる。

―――今回の日本公演ではオーロラ姫とタチヤーナという正反対の2役を踊りますね。

ええ、ふたつともとても好きな役柄です。オーロラ姫は純粋な古典バレエの美しさを堪能することができるし、タチヤーナは彼女の女性としての成熟度に惹かれる。確かに私の年齢ではタチヤーナを十分に理解するのが難しい、と思われる人もいるかもしれないけれど。私は今までに、かなり深い恋愛経験に衝突してきたから(笑)。3幕でのタチヤーナの女性としての強さに心から理解することができる。同じ女性として大事なときに「ノーと言える」凛々しさに共鳴できるんです。どれほど目の前で愛する人が懇願していても、彼のことをいまだ狂おしいほど愛していたとしても、そこで「イエス」と言ってしまったら自分の人生がどう崩れるかを...、明晰な頭脳をもつタチヤーナは見通せる。だから彼女は3幕で決然と「ノー」と言う。そして、その強い意志を私は愛するのです。


―――あなたの踊りにはいつでも流れる小川のようなフローがあって美しい。感情もステップもいっさい止まることなく舞台上で自然に流れ続けている。

それは私が舞台上で絶対に心を停止状態にしないから。要は、舞台は人生と同じ。今日は最悪な一日かもしれないけど、明日はもう少しましな一日になるはず。そうやって私はつねに心や体が受け取る情報に身を任せるようにして舞台で生きるんです。だから「いつでもこう踊らなきゃ!」と変な型に固執することはない。私にとってダンスは、つねに流体であって固体ではないの。


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「眠れる森の美女」オーロラ姫:アリシア・アマトリアン、デジレ王子:フリーデマン・フォーゲル


―――今のあなたにとってシュツットガルト・バレエ団の舞台に立てることには、どんな喜びがあるのでしょう?

舞台にあがるまえは今でも「どうしよう、どうしよう、どうしよう」って舞台袖で震えあがってる(笑)。けれど、ひとたび舞台に立つと「はぁ〜、ふるさとに帰ってこられた」って心から安心できるんです。私にとってこのカンパニーのステージに立つというのはそういうこと。安堵と幸せと喜びに満ちていて、だからこそ私はこれを一度も「仕事だ」と思ったことがない。私は舞台上でつねにハッピーでいて、そのハッピーを人にも分け与えたいから踊りつづけているんです。だから日本のお客さんにもできるかぎり、私の舞台を観てハッピーな気持ちになって帰ってもらいたいですね。