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日本公演レポート(最終回)

シュツットガルト・バレエ団2008年日本公演は12月6日(土)の西宮公演(兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール)で無事閉幕いたしました。
東京、大阪、岩国、西宮の各公演にご来場いただきました皆さま、本当にありがとうございました。


カンパニーは6日西宮での公演の翌日(7日)、早朝にホテルを発ち、関西国際空港よりドイツに向かいました。日本公演の前に韓国公演もありましたので、カンパニーのメンバーがシュツットガルトに戻るのは約1ヶ月ぶり。今頃、ひさしぶりの我が家で一息ついているのではないでしょうか。
カンパニーを関空で見送り、ツアーに同行していたスタッフも帰京。預けておいたデジカメも戻ってまいりました。大変お待たせいたしましたが、日本公演レポート最終回をお届けします。


今回のツアー後半戦はかなりのハードスケジュールでした。
まず、東京公演最終日の翌日(12/1)昼過ぎに大阪に移動し、夕方からクラスとリハーサルを行い、12/2に大阪フェスティバルホールでの「オネーギン」。
12/3広島に移動。翌日の「眠れる森の美女」に出演するメンバーは広島到着後、バスで岩国に向かい、クラスとリハーサル。夜、広島に戻り、翌日(12/4)再び岩国に(岩国にはカンパニーが宿泊できる規模のホテルがなかったため、広島からバス移動となったのでした)。
そして、12/5に大阪に戻り、到着後はクラスとリハーサル。12/6の最終公演を終え、12/7に帰国・・・と書いているだけで息があがりそうなスケジュールです。
ほかのカンパニーでは、移動日にはクラスやリハーサルをしないことも多いのですが、シュツットガルト・バレエ団では、主要キャストは公演前日に必ずリハーサルを行うことになっているとのこと。このリハーサルの積み重ねが観客に感動を呼ぶ舞台を生み出す源なのでしょうね。

ハードスケジュールに負けず、すばらしい舞台を見せてくれたダンサーたちの移動中の様子を。

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シュツットガルトの2大王子(?)フィリップ・バランキエヴィッチ(左)とフリーデマン・フォーゲルです。新幹線を待つ間、ホームで何やら話しこんでいる二人にちょっとお邪魔して撮影した1枚です。


岩国の舞台は他の会場と比べて小さかったため、ダンサーたちは舞台に慣れるまで少々大変な様子でした。
しかもカラボス役で出演予定だったバランキエヴィッチが外耳炎のため出演できなくなり、急遽ジェイソン・レイリーがカラボスを演じることに・・・。ジェイソンは前日のリハーサルに参加していなかったにもかかわらず、見事に演じきり、大きな喝采を受けていました。
岩国公演で印象的だったのは、幕が上がり、白と青で統一された舞台を観た瞬間、客席からため息が漏れ、拍手が沸き起こったこと・・・思わず拍手をしてしまう、本当に美しいシーンですよね。

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恒例の終演後の1枚。芸術監督のリード・アンダーソン、デジレ王子のエヴァン・マッキー、オーロラ姫のカーチャ・ヴュンシュです。
エヴァンが日本公演で王子を演じたのは岩国だけでしたが、長身、金髪の王子にピッタリのキャラクターで岩国の観客を魅了していました。それにしてもシュツットガルト・バレエ団には王子にピッタリのダンサーが多いこと、多いこと・・・。カンパニーには、まだまだご覧になってみたい王子ダンサーがいるのではないでしょうか?

そして、西宮での「眠れる森の美女」は日本公演最終公演ということもあり、客席は満席。東京からご来場くださった方も多かったようです。
この日のキャストは、オーロラ姫:マリア・アイシュヴァル、デジレ王子:フリーデマン・フォーゲル、カラボス:ジェイソン・レイリーという、東京公演初日と同じ顔ぶれでした。
カーテンコールでは、「SAYONARA」看板と紙テープと紙ふぶきが振り落とされ、客席はスタンディングオベーションで舞台の感動を伝えてくれました。

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西宮終演後のマリア・アイシュヴァルトとフリーデマン・フォーゲルです。東京公演に続いて素敵なポーズでにっこり。Blogの最後を飾る1枚です。

8月からお届けしてきた、シュツットガルト・バレエ団Blogも更新は今回が最後となります。
たくさんの方にアクセスしていただいた動画はシュツットガルト・バレエ団との契約により削除させていただきましたが、そのほかのコンテンツは当面このまま残しておきます。
ふと公演のことを思い出したとき、ダンサーのインタビューや美しい公演写真をご覧になって、公演を振り返っていただければ幸いです。

ご愛読、本当にありがとうございました!

日本公演レポート(7)

お待たせしました! 
昨日(12/2) 、大阪・フェスティバルホールで上演された「オネーギン」終演後の1枚が届きました。

東京公演初日( 28日)と同じキャストでお届けした「オネーギン」は、大阪でも観客の皆さまの心を打ち、客席は大きな感動に包まれたとのこと。
出演者たちの表情からも充実した舞台であったことがうかがえますね。

日本公演レポート(6)

昨日の「オネーギン」が、シュツットガルト・バレエ団の東京公演の最終公演。あっという間の1週間でした。ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました!

最終日のキャスト、恒例の終演後の1枚です。

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グレーミン公爵のジェイソン・レイリー、タチヤーナのマリア・アイシュヴァルト、オネーギンのフィリップ・バランキエヴィッチ、レンスキーのアレクサンドル・ザイツェフ、オリガのエリザベス・メイソンです。

三日目のメンバーも初日、二日目とはまた違った個性で客席を魅了してくれました。「眠れる森の美女」同様、「オネーギン」を三日連続でご覧になった方もたくさんいらっしゃいました。繰り返し、何度でも観たい・・・「オネーギン」はそんな魅力をもった作品なのではないでしょうか。

東京公演は終わりましたが、シュツットガルト・バレエ団日本公演は、明日(2日)大阪での「オネーギン」、4日岩国での「眠れる森の美女」、そして最終公演の6日兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールでの「眠れる森の美女」と続きます。
東京公演を見逃した方、もう一度あの名演を観たいと思われる方、ぜひ足をお運びください。

大阪、岩国にはBlog担当者は同行いたしませんので確約はできないのですが・・・地方での様子もお伝えできればと思っております。

日本公演レポート(5)

「オネーギン」二日目の舞台はいかがでしたでしょうか?
本日は、当初タチヤーナを演じる予定になっていたエレーナ・テンチコワに替わり、スー・ジン・カンがタチヤーナを演じました。スー・ジンはハイライト映像のメンバーでこの作品を踊ることが多く、ジェイソン・レイリーとの組み合わせは本拠地でもなかなか観られないそうですが、素晴らしいパートナーシップで感動的なパ・ド・ドゥを見せてくれました。この感動にずっと浸っていたい・・・そんな気持ちを抱かれた方も多かったのか、カーテンコールでは温かい拍手がずっと続いていました。

素晴らしい舞台を創りだしてくれたメンバーたちの終演後の笑顔です。ちょっとぶれてしまったのが残念ですが、充実感いっぱいの雰囲気はおわかりいただけるのではないでしょうか。

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左から、グレーミン公爵のダミアーノ・ペテネッラ、オネーギンのジェイソン・レイリー、タチヤーナのスー・ジン・カン、レンスキーのマリイン・ラドメイカー、オリガのアンナ・オサチェンコです。

もちろん、オネーギンとタチヤーナの2ショットもあります(こちらもかなりぶれています・・・ごめんなさい!)

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日本公演で八面六臂の活躍をしているジェイソン・レイリーは、明日もグレーミン公爵役で出演の予定です。

そして、「眠れる森の美女」の続き、抜群のコンビネーションを見せてくれたオリガとレンスキーの笑顔の1枚。

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早いもので、明日、シュツットガルト・バレエ団の東京公演は千秋楽を迎えます。当日券を若干枚数ご用意しておりますので、まだご覧になっていない方、もう一度感動に浸りたいと思っていらっしゃる方は、ぜひご来場ください。当日券は13時30分より発売いたします。

日本公演レポート(4)

本日「オネーギン」が無事初日を迎えました!
終演後のロビーでは、目を赤くしていらっしゃる方を何人もお見かけしました。バレエは言葉のない芸術ですが、「オネーギン」は全編が映画を見るように流暢に語られ、心に染み入るような感動を誘います。東京でこの感動の舞台をご覧になれるのは明日、明後日の2回だけ。お見逃しなく!

本日も終演後の様子をお届けします。

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まずは、オネーギンのイリ・イェリネクとタチヤーナのアリシア・アマトリアン 。
舞台では痛切な別れを演じたふたりですが、仲むつまじくカメラに応えてくれました。

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そして悲劇の恋人たち。レンスキーのフリーデマン・フォーゲルとオリガのカーチャ・ヴュンシュです。

「オネーギン」の明日の公演は、15時開演。ジェイソン・レイリーとスー・ジン・カンの主演です。ご来場お待ちしております!

日本公演レポート(3)

昨日はシュツットガルトに本社を置く、ダイムラー日本株式会社の主催公演(「眠れる森の美女」)が行われました。
残念ながら一般の方にはご覧いただけなかったのですが、初日、二日目とも違うキャストでしたので、どんな舞台だったのだろうか・・・と興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。
少しだけでも公演の様子をお伝えできればと思い、終演後の主役たちを撮影。

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オーロラ姫:カーチャ・ヴュンシュ、デジレ王子:ジェイソン・レイリー、カラボス:ダミアーノ・ペテネッラです。
ジェイソンは2日前に妖艶にカラボスを演じていたとは思えないほど爽やかな王子ぶり。カーチャは岩国公演でもオーロラを演じる予定です。カラボスのダミアーノは、初日の昼公演と24日の公演で、南の王子(緑の衣裳の王子です)を演じていました。

シュツットガルト・バレエ団日本公演、次の舞台は「オネーギン」です。28日の初日をお楽しみに!

日本公演レポート(2)

昨日の「眠れる森の美女」も冷たい雨の中、たくさんのお客様にご来場いただきました。ありがとうございます! 

ハイデ版「眠れる森の美女」に魅せられ、2日間3回の公演を連続でご覧くださった方もかなりいらっしゃるとか。この「眠れる森の美女」は一回観たらもう一度観たくなる、そんな"クセになるプロダクション"です。「もう一度観たかった・・・」という方は、12月4日(木)の岩国公演(シンフォニア岩国)、12月6日(土)の兵庫公演(兵庫県立芸術文化センター)にぜひ! 「そんな遠出は無理だわ・・・」という方は、ちょっと短いですが、5分間のハイライト映像で舞台を振り返ってみてはいかがでしょう。ちなみにハイライト映像は日本公演終了までの限定公開です! 今のうちに見だめ(?)しておいてくださいね。


さて、昨日の終演後の様子を少しだけ
まずは主役の二人。オーロラ姫のアンナ・オサチェンコとデジレ王子のマリイン・ラドメイカーです。

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オサチェンコもラドメイカーも日本での主演はこれがはじめて。シュツットガルト・バレエ団の新星二人は、フィレッシュな舞台を見せてくれました。さらさら金髪ヘアーのラドメイカーは「まさに、リアル王子!」と思われた方も多かったのでは。二人は29日(土)の「オネーギン」に、オリガとレンスキーで出演します。


お次は、カラボスのフィリップ・バランキエヴィッチです。前夜(23日夜公演)王子を演じた人と、同一人物とは思えないほど、ダークな妖しい魅力で客席を虜にしていました。カラボスの扮装は細かいところまでこだわりがあり、メイクやヘアだけでなく、綺麗な長い爪もつけているのです。開演前の楽屋でその爪に目をとめたスタッフに、バラキエヴィッチは「この爪はね、グミみたいにぐにゃぐにゃなんだよ。人を掴んだりするからね」とこっそり爪の秘密を教えてくれました

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最後の1枚は、アリババ役で毎回大きな喝采を浴びていた、アレクサンドル・ザイツェフ。今度はレンスキーとして30日(日)に登場します。

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次の公演は28日(金)の「オネーギン」です。魅力的なダンサーが目白押しのシュツットガルト・バレエ団の舞台、見逃せません! 

2008年日本公演開幕!

シュツットガルト・バレエ団2008年日本公演が本日開幕しました!

初日の今日は「眠れる森の美女」の昼夜2公演が行われました。これまでこのblogでもハイデ版「眠れる森の美女」の魅力を様々な角度からお伝えしてきたつもりですが、実物の舞台は予想を超えていた様子。美しい美術にため息が漏れ、ものすごいカラボスの迫力に歓声があがり、客席は魅力満載のハイデ版「眠れる森の美女」にすっかり魅入られてしまったような雰囲気でした。それを裏付けるかのように、昼公演の休憩中には前売券売場に、夜公演や明日のチケットをお求めになる方が殺到。夜公演の休憩中も明日の公演をお買い求めくださる方がたくさんいらっしゃり、係は嬉しい悲鳴を上げておりました。3時間15分という長丁場の公演にもかかわらず、昼夜ご覧いただいたお客様もかなりいらした模様・・・本当にありがとうございました。

本日の公演を見逃した方、まだまだ遅くありません。明日15時から、東京での最後の「眠れる森の美女」の公演がございます。当日券をご用意しておりますので、ぜひご来場ください。驚きいっぱいの「眠れる森の美女」がお待ちしております! 

さて、舞台裏の様子もを少しだけ。

こちらは、昼公演終了後のオーロラ姫(マリア・アイシュバルト)とデジレ王子( フリーデマン・フォーゲル)。カメラを向けると舞台がまだ続いているかのような、こんな素敵なポーズで応じてくれました。

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そして、急遽昼夜続けてカラボスを演じた、ジェイソン・レイリーの終演後の1枚。ショーストッパーになるほどの迫力ある演技を見せてくれた人と同一人物とは思えないような穏やかな笑顔です。

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シュツットガルト・バレエ団の公演は、明日の「眠れる森の美女」、金曜日( 28日)からの「オネーギン」とまだまだ続きます。千秋楽まで公演の様子をこのblogでお伝えしてまいりますので、お楽しみに!

新着写真館5

シュツットガルト・バレエ団2008年日本公演開幕がいよいよ明後日に迫りました。
カンパニーは、昨日、公演先の韓国とドイツから、無事到着。本日は朝から、ダンサーたちは目黒の東京バレエ団スタジオでクラスを、そしてスタッフはホテルでミーティングを行いました。午後は東京バレエ団スタジオと都内ダンススタジオに分かれ、作品のリハーサル。明日も東京文化会館、東京バレエ団、ダンススタジオの三箇所に分かれ、朝早くから夜までぎっしりリハーサルのスケジュールが詰まっています。
こんなハードなスケジュールで大丈夫? と思ってダンサーたちの様子を見てみれば、韓国から移動したメンバーが多いせいか、時差ボケもなくみんな元気はつらつ! 明後日は初日から昼夜2回公演となりますが、この調子で乗り切ってくれるに違いありません。
11月23日の初日をお楽しみに!


さて、新着写真館最終回の1枚はこちら! シュツットガルト・バレエ団の "王子" フリーデマン・フォーゲル。カラボスとの激しい闘いに勝って、オーロラの愛を得る、熱い王子の舞台、見逃せません!

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イリ・イェリネク インタビュー

シュツットガルト・バレエ団2008年日本公演の開幕まで、残すところ7日。
カンパニーは日本公演の前に行われる韓国公演のため、13日にシュツットガルトを発ち、韓国・ソウルに入りました。明後日から二日間、韓国で「ロミオとジュリエット」の公演を行った後、19日に日本に到着する予定です。

さて、岩城京子さんによる、シュツットガルト・バレエ団レポートも今回が最終回。
最後に登場するのは「オネーギン」でタイトルロールを演じるイリ・イェリネクです。
イリは10年前からオネーギンを演じており、2006年の日本公演でも主演しています。しかし、残念ながら、その公演が貸切だったため、イリのオネーギンをご覧になっている日本のバレエ・ファンはほとんどいないのではないでしょうか。そんな幻(?)のイリのオネーギンが日本でお目見えするのは「オネーギン」初日の28日(金)。オネーギンの役作りについてじっくり話してくれたこのインタビューとハイライト映像をじっくりご覧の上、ご来場ください。


イリ・イェリネク(プリンシパル) インタビュー


チェコの国民的俳優を祖父にもつイリ・イェリネクは小学校にあがるまえから堂々プラハの国立劇場に子役として立っていた根っからの役者。「50年前のチェコ中の女性の心をときめかせていた」という祖父譲りの正統派な風貌と、「いつでも体を動かしていないと退屈しちゃう」と笑う幼稚園児のようなハイパーアクティブな魂を融合させた彼の舞は、抒情的で衝動的で、どこかボヘミアンの香り漂う自由な空気を客席に届ける。


―――まず、あなたがプラハ国立バレエ団でプリンシパルにまで上りつめながら、ここシュツットガルトに移籍しようと思われた理由から教えてください。

あのとき僕はまだ24歳で、それなのに既にカンパニーのトップレベルの踊り手になっていた。「このままいったら僕は盲者のなかの王様になる」。そう思ったら漠然と不安になって、もっときちんと僕のダンスレベルに適した場所に移籍したいと思ったんです。それでボストン・バレエやカナダ国立バレエなど数々のバレエ団のなかから、ここシュツットガルトを選んだ。なぜなら当時の僕にはプラハに最愛の人がいて、できる限り彼女の近くにいたかったから(笑)。でもこの選択は、バカな過ちをいっぱい犯してきた僕がとった数少ない正しい選択のひとつでした。最初こそコールドで入団しましたけど、2年目にはすでにオネーギンを踊らせてもらえてましたからね。

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―――今ではあなたは、バレエ団きってのオネーギン・ダンサーですね。

ええ、でもこの役に関しては、30歳を越えた今だからこそ分かってきたことがたくさんあります。たまに批評家や観客で、彼は傲慢で嫌味で冷徹なやつだと決めつける人がいますけど、僕の解釈ではまったくそうではない。オネーギンはただ自分の心に素直に生きただけの男。それに第3幕に関していうなら、むしろ頭でっかちな理由から、オネーギンを拒絶して、悲劇を招いているのはタチヤーナのほうです。身体的なことでいうなら、あの第3幕のパ・ド・ドゥは、なぜか疲れてぐったりしているときほど上手く踊れる傾向にあります。肩にのしかかる疲労感が、オネーギンの困難と苦悩の年輪にリアルさを与えるのかもしれません。


―――(取材が30分程経ったところで、足を揺すり肩を動かし始めたので)あれ、もしかして、少し取材に飽きてきましたか。すみません。

いやいや、そうじゃなくて。実は僕は30分以上じっとしていられない性分なんです(笑)。これは本当に問題でね。芝居は大好きなのに、その好きな芝居を観に劇場にいっても2時間客席に座っていられない...。だから僕は祖父と同じで、もっぱら、やる側にまわるしか選択肢がないんでしょう。実は、踊りのキャリアを終えたあと、役者に挑戦してみたい考えもあるんですよ! まだ先のことなので、具体的にどうなるかは分からないですけどね。