最新情報

11月の最新情報一覧

日本公演レポート(5)

「オネーギン」二日目の舞台はいかがでしたでしょうか?
本日は、当初タチヤーナを演じる予定になっていたエレーナ・テンチコワに替わり、スー・ジン・カンがタチヤーナを演じました。スー・ジンはハイライト映像のメンバーでこの作品を踊ることが多く、ジェイソン・レイリーとの組み合わせは本拠地でもなかなか観られないそうですが、素晴らしいパートナーシップで感動的なパ・ド・ドゥを見せてくれました。この感動にずっと浸っていたい・・・そんな気持ちを抱かれた方も多かったのか、カーテンコールでは温かい拍手がずっと続いていました。

素晴らしい舞台を創りだしてくれたメンバーたちの終演後の笑顔です。ちょっとぶれてしまったのが残念ですが、充実感いっぱいの雰囲気はおわかりいただけるのではないでしょうか。

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左から、グレーミン公爵のダミアーノ・ペテネッラ、オネーギンのジェイソン・レイリー、タチヤーナのスー・ジン・カン、レンスキーのマリイン・ラドメイカー、オリガのアンナ・オサチェンコです。

もちろん、オネーギンとタチヤーナの2ショットもあります(こちらもかなりぶれています・・・ごめんなさい!)

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日本公演で八面六臂の活躍をしているジェイソン・レイリーは、明日もグレーミン公爵役で出演の予定です。

そして、「眠れる森の美女」の続き、抜群のコンビネーションを見せてくれたオリガとレンスキーの笑顔の1枚。

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早いもので、明日、シュツットガルト・バレエ団の東京公演は千秋楽を迎えます。当日券を若干枚数ご用意しておりますので、まだご覧になっていない方、もう一度感動に浸りたいと思っていらっしゃる方は、ぜひご来場ください。当日券は13時30分より発売いたします。

日本公演レポート(4)

本日「オネーギン」が無事初日を迎えました!
終演後のロビーでは、目を赤くしていらっしゃる方を何人もお見かけしました。バレエは言葉のない芸術ですが、「オネーギン」は全編が映画を見るように流暢に語られ、心に染み入るような感動を誘います。東京でこの感動の舞台をご覧になれるのは明日、明後日の2回だけ。お見逃しなく!

本日も終演後の様子をお届けします。

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まずは、オネーギンのイリ・イェリネクとタチヤーナのアリシア・アマトリアン 。
舞台では痛切な別れを演じたふたりですが、仲むつまじくカメラに応えてくれました。

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そして悲劇の恋人たち。レンスキーのフリーデマン・フォーゲルとオリガのカーチャ・ヴュンシュです。

「オネーギン」の明日の公演は、15時開演。ジェイソン・レイリーとスー・ジン・カンの主演です。ご来場お待ちしております!

日本公演レポート(3)

昨日はシュツットガルトに本社を置く、ダイムラー日本株式会社の主催公演(「眠れる森の美女」)が行われました。
残念ながら一般の方にはご覧いただけなかったのですが、初日、二日目とも違うキャストでしたので、どんな舞台だったのだろうか・・・と興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。
少しだけでも公演の様子をお伝えできればと思い、終演後の主役たちを撮影。

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オーロラ姫:カーチャ・ヴュンシュ、デジレ王子:ジェイソン・レイリー、カラボス:ダミアーノ・ペテネッラです。
ジェイソンは2日前に妖艶にカラボスを演じていたとは思えないほど爽やかな王子ぶり。カーチャは岩国公演でもオーロラを演じる予定です。カラボスのダミアーノは、初日の昼公演と24日の公演で、南の王子(緑の衣裳の王子です)を演じていました。

シュツットガルト・バレエ団日本公演、次の舞台は「オネーギン」です。28日の初日をお楽しみに!

日本公演レポート(2)

昨日の「眠れる森の美女」も冷たい雨の中、たくさんのお客様にご来場いただきました。ありがとうございます! 

ハイデ版「眠れる森の美女」に魅せられ、2日間3回の公演を連続でご覧くださった方もかなりいらっしゃるとか。この「眠れる森の美女」は一回観たらもう一度観たくなる、そんな"クセになるプロダクション"です。「もう一度観たかった・・・」という方は、12月4日(木)の岩国公演(シンフォニア岩国)、12月6日(土)の兵庫公演(兵庫県立芸術文化センター)にぜひ! 「そんな遠出は無理だわ・・・」という方は、ちょっと短いですが、5分間のハイライト映像で舞台を振り返ってみてはいかがでしょう。ちなみにハイライト映像は日本公演終了までの限定公開です! 今のうちに見だめ(?)しておいてくださいね。


さて、昨日の終演後の様子を少しだけ
まずは主役の二人。オーロラ姫のアンナ・オサチェンコとデジレ王子のマリイン・ラドメイカーです。

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オサチェンコもラドメイカーも日本での主演はこれがはじめて。シュツットガルト・バレエ団の新星二人は、フィレッシュな舞台を見せてくれました。さらさら金髪ヘアーのラドメイカーは「まさに、リアル王子!」と思われた方も多かったのでは。二人は29日(土)の「オネーギン」に、オリガとレンスキーで出演します。


お次は、カラボスのフィリップ・バランキエヴィッチです。前夜(23日夜公演)王子を演じた人と、同一人物とは思えないほど、ダークな妖しい魅力で客席を虜にしていました。カラボスの扮装は細かいところまでこだわりがあり、メイクやヘアだけでなく、綺麗な長い爪もつけているのです。開演前の楽屋でその爪に目をとめたスタッフに、バラキエヴィッチは「この爪はね、グミみたいにぐにゃぐにゃなんだよ。人を掴んだりするからね」とこっそり爪の秘密を教えてくれました

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最後の1枚は、アリババ役で毎回大きな喝采を浴びていた、アレクサンドル・ザイツェフ。今度はレンスキーとして30日(日)に登場します。

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次の公演は28日(金)の「オネーギン」です。魅力的なダンサーが目白押しのシュツットガルト・バレエ団の舞台、見逃せません! 

2008年日本公演開幕!

シュツットガルト・バレエ団2008年日本公演が本日開幕しました!

初日の今日は「眠れる森の美女」の昼夜2公演が行われました。これまでこのblogでもハイデ版「眠れる森の美女」の魅力を様々な角度からお伝えしてきたつもりですが、実物の舞台は予想を超えていた様子。美しい美術にため息が漏れ、ものすごいカラボスの迫力に歓声があがり、客席は魅力満載のハイデ版「眠れる森の美女」にすっかり魅入られてしまったような雰囲気でした。それを裏付けるかのように、昼公演の休憩中には前売券売場に、夜公演や明日のチケットをお求めになる方が殺到。夜公演の休憩中も明日の公演をお買い求めくださる方がたくさんいらっしゃり、係は嬉しい悲鳴を上げておりました。3時間15分という長丁場の公演にもかかわらず、昼夜ご覧いただいたお客様もかなりいらした模様・・・本当にありがとうございました。

本日の公演を見逃した方、まだまだ遅くありません。明日15時から、東京での最後の「眠れる森の美女」の公演がございます。当日券をご用意しておりますので、ぜひご来場ください。驚きいっぱいの「眠れる森の美女」がお待ちしております! 

さて、舞台裏の様子もを少しだけ。

こちらは、昼公演終了後のオーロラ姫(マリア・アイシュバルト)とデジレ王子( フリーデマン・フォーゲル)。カメラを向けると舞台がまだ続いているかのような、こんな素敵なポーズで応じてくれました。

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そして、急遽昼夜続けてカラボスを演じた、ジェイソン・レイリーの終演後の1枚。ショーストッパーになるほどの迫力ある演技を見せてくれた人と同一人物とは思えないような穏やかな笑顔です。

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シュツットガルト・バレエ団の公演は、明日の「眠れる森の美女」、金曜日( 28日)からの「オネーギン」とまだまだ続きます。千秋楽まで公演の様子をこのblogでお伝えしてまいりますので、お楽しみに!

新着写真館5

シュツットガルト・バレエ団2008年日本公演開幕がいよいよ明後日に迫りました。
カンパニーは、昨日、公演先の韓国とドイツから、無事到着。本日は朝から、ダンサーたちは目黒の東京バレエ団スタジオでクラスを、そしてスタッフはホテルでミーティングを行いました。午後は東京バレエ団スタジオと都内ダンススタジオに分かれ、作品のリハーサル。明日も東京文化会館、東京バレエ団、ダンススタジオの三箇所に分かれ、朝早くから夜までぎっしりリハーサルのスケジュールが詰まっています。
こんなハードなスケジュールで大丈夫? と思ってダンサーたちの様子を見てみれば、韓国から移動したメンバーが多いせいか、時差ボケもなくみんな元気はつらつ! 明後日は初日から昼夜2回公演となりますが、この調子で乗り切ってくれるに違いありません。
11月23日の初日をお楽しみに!


さて、新着写真館最終回の1枚はこちら! シュツットガルト・バレエ団の "王子" フリーデマン・フォーゲル。カラボスとの激しい闘いに勝って、オーロラの愛を得る、熱い王子の舞台、見逃せません!

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イリ・イェリネク インタビュー

シュツットガルト・バレエ団2008年日本公演の開幕まで、残すところ7日。
カンパニーは日本公演の前に行われる韓国公演のため、13日にシュツットガルトを発ち、韓国・ソウルに入りました。明後日から二日間、韓国で「ロミオとジュリエット」の公演を行った後、19日に日本に到着する予定です。

さて、岩城京子さんによる、シュツットガルト・バレエ団レポートも今回が最終回。
最後に登場するのは「オネーギン」でタイトルロールを演じるイリ・イェリネクです。
イリは10年前からオネーギンを演じており、2006年の日本公演でも主演しています。しかし、残念ながら、その公演が貸切だったため、イリのオネーギンをご覧になっている日本のバレエ・ファンはほとんどいないのではないでしょうか。そんな幻(?)のイリのオネーギンが日本でお目見えするのは「オネーギン」初日の28日(金)。オネーギンの役作りについてじっくり話してくれたこのインタビューとハイライト映像をじっくりご覧の上、ご来場ください。


イリ・イェリネク(プリンシパル) インタビュー


チェコの国民的俳優を祖父にもつイリ・イェリネクは小学校にあがるまえから堂々プラハの国立劇場に子役として立っていた根っからの役者。「50年前のチェコ中の女性の心をときめかせていた」という祖父譲りの正統派な風貌と、「いつでも体を動かしていないと退屈しちゃう」と笑う幼稚園児のようなハイパーアクティブな魂を融合させた彼の舞は、抒情的で衝動的で、どこかボヘミアンの香り漂う自由な空気を客席に届ける。


―――まず、あなたがプラハ国立バレエ団でプリンシパルにまで上りつめながら、ここシュツットガルトに移籍しようと思われた理由から教えてください。

あのとき僕はまだ24歳で、それなのに既にカンパニーのトップレベルの踊り手になっていた。「このままいったら僕は盲者のなかの王様になる」。そう思ったら漠然と不安になって、もっときちんと僕のダンスレベルに適した場所に移籍したいと思ったんです。それでボストン・バレエやカナダ国立バレエなど数々のバレエ団のなかから、ここシュツットガルトを選んだ。なぜなら当時の僕にはプラハに最愛の人がいて、できる限り彼女の近くにいたかったから(笑)。でもこの選択は、バカな過ちをいっぱい犯してきた僕がとった数少ない正しい選択のひとつでした。最初こそコールドで入団しましたけど、2年目にはすでにオネーギンを踊らせてもらえてましたからね。

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―――今ではあなたは、バレエ団きってのオネーギン・ダンサーですね。

ええ、でもこの役に関しては、30歳を越えた今だからこそ分かってきたことがたくさんあります。たまに批評家や観客で、彼は傲慢で嫌味で冷徹なやつだと決めつける人がいますけど、僕の解釈ではまったくそうではない。オネーギンはただ自分の心に素直に生きただけの男。それに第3幕に関していうなら、むしろ頭でっかちな理由から、オネーギンを拒絶して、悲劇を招いているのはタチヤーナのほうです。身体的なことでいうなら、あの第3幕のパ・ド・ドゥは、なぜか疲れてぐったりしているときほど上手く踊れる傾向にあります。肩にのしかかる疲労感が、オネーギンの困難と苦悩の年輪にリアルさを与えるのかもしれません。


―――(取材が30分程経ったところで、足を揺すり肩を動かし始めたので)あれ、もしかして、少し取材に飽きてきましたか。すみません。

いやいや、そうじゃなくて。実は僕は30分以上じっとしていられない性分なんです(笑)。これは本当に問題でね。芝居は大好きなのに、その好きな芝居を観に劇場にいっても2時間客席に座っていられない...。だから僕は祖父と同じで、もっぱら、やる側にまわるしか選択肢がないんでしょう。実は、踊りのキャリアを終えたあと、役者に挑戦してみたい考えもあるんですよ! まだ先のことなので、具体的にどうなるかは分からないですけどね。

シュツットガルト レポート[特別編]

シュツットガルト・バレエ団2008年初日まで、あと10日となりました。
3年ぶりの日本公演に向けて、2度にわたりシュツットガルトを訪れ、精力的な取材をしてきてくださったライターの岩城京子さん。今回は開幕直前スペシャル、シュツットガルト レポート「特別編」として、岩城さんの"シュツットガルト旅行記"をお届けします。
シュツットガルト・バレエ団をはじめ、2007年のブンデスリーガで優勝したサッカークラブ、2004年に日本公演を行った歌劇場など、シュツットガルトという地名は耳にしても、実際に訪れたことのある方はそれほど多くないのではないえしょうか?
岩城さんが撮影してきてくださった美しい写真とともにご一読ください。


シュツットガルト訪問記




 東京、パリ、ロンドン。1週間のうちに世界の燦然たる大都市を早足に駆けぬけ、いざ、ドイツ南西部のシュツットガルトの地に降り立つ。と、眼前には朗らかな太陽の粒を受けきらめく、豊かな緑と清らかな水。草いきれの香りとともに、穏やかな空気がふっと身を包みこむ。
「この街ではね、時間がゆったりと流れていくんですよ」

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 宮殿広場のベンチで「Stuttgart Zeitung(シュツットガルト新聞)」に目を通しながら、昼下がりの雑談に応じてくれた地元老人の言葉どおり、この街の持つラルゴな時間感覚は人の思考速度をゆるやかで豊潤なものにする。大哲学者ヘーゲルがこの地で育まれたという事実も、シュツットガルトの青空の下で深呼吸をすれば納得がいく。

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 さらに驚くのは、この街が抱く純度の高い静けさ。日本でいうなら京都のように、街中央を山並みが取り囲む盆地都市を形作っているため、教会の鐘の音が一時間ごとにゴーンと鈍色の時を告げると、その荘厳な響きが濁りなく街全体に響きわたる。標高549メートルの山頂と、海抜207メートルのネッカー川。その高低差を、鮮やかなカナリア色の路面電車と、街中にうねる400基の階段が結ぶ。

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 この静けさに包まれた人口約60万人の街には、いくつかのひかえめな観光名所がある。メルセデス・ベンツやポルシェなど世界有数の自動車企業本社が誇る美術館、初秋に賑やかに開催される「Stuttgart Weindorf(シュツットガルト・ワイン村祭り)」でドイツ全土にその名を知らしめる愛らしいワイン畑、それに中心部に建つ数々の州立美術館と州立劇場。とりわけ優美な姿で街中央にそびえるのが、ドイツ全土で唯一、第二次大戦の爆撃を免れた威風堂々たるオペラハウス。地元民に「Grosses Haus(大きな劇場)」という愛称で親しまれるこの劇場は、いうまでもなくシュツットガルト州立歌劇とシュツットガルト・バレエの本拠地であり、富裕層居住者の多いこの街の、芸術愛好家の魂のふるさととなっている。

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 『眠れる森の美女』の30分の幕間中に、ヒューレット・パッカード社で働くという中年夫妻に声をかけられた。
「あなた日本人? なぜこんな小さな街に来てるの? え、バレエ団を取材しに? 確かにこのバレエ団はこの街では一、二を争う知名度だけど、まさか日本でも有名だなんて。すごいんですね! 私たちのバレエ団は」
 私たちの、バレエ団。
 満面の笑みと共に思わず口をついて出た夫妻の飾らぬ言葉。この言葉から、どれほど今回来日するシュツットガルト・バレエ団が、深く固く強く、地元の人々に愛されているか、その温かな情愛が伝わってきた。

キャスト変更のお知らせ

本日(11/11)付けで、シュツットガルト・バレエ団よりキャスト変更の連絡が入りましたので、お知らせいたします。
11月23日(日)6:00p.m.の「眠れる森の美女」でカラボスを演じる予定となっていたニコライ・ゴドノフと11月29日(土)の「オネーギン」でタチヤーナを演じる予定となっていたエレーナ・テンチコワは怪我のため来日できなくなりました。両名に代わって、11/23(6:00p.m.)のカラボスはジェイソン・レイリーが、11/29のタチヤーナはスー・ジン・カンが演じます。何卒ご了承ください。


■「眠れる森の美女」 11月23日(日) 6:00p.m.
オーロラ姫:アリシア・アマトリアン
王子:フィリップ・バランキエヴィッチ
カラボス:ジェイソン・レイリー


■「オネーギン」 11月29日(土) 3:00p.m.
オネーギン:ジェイソン・レイリー
タチヤーナ:スー・ジン・カン
レンスキー:マリイン・ラドメイカー

※上記の配役は2008年11月11日現在の予定です。出演者の病気や怪我、シュツットガルト・バレエ団の都合により変更になることがあります。変更の場合、入場料の払い戻しや他公演への振り替えはいたしませんのであらかじめご了承ください。

アンナ・オサチェンコ インタビュー

シュツットガルト・バレエ団ダンサーインタビュー第5弾は、今シーズンからプリンシパルに昇進したアンナ・オサチェンコ。彼女も今回が日本での初主演となります。マリイン同様、まず簡単なプロフィールを。


アンナ・オサチェンコ Anna Osadcenko

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カザフスタンのアルマ・アタ出身。2000年のローザンヌ国際バレエコンクールでレスポワール賞を受賞し、9月よりジョン・クランコ・バレエ学校で学ぶ。2002/2003年のシーズンにシュツットガルト・バレエ団に入団。05/06年のシーズンに準ソリスト、07/08年にソリスト、そして今シーズ(08/09)よりプリンシパルに昇格。クランコ版「白鳥の湖」のオデット/オディール、ピーター・シャウフス版「ラ・シルフィード」、ハイデ版「眠れる森の美女」のオーロラ姫など全幕作品で主役を踊る。そのほかに、「眠れる森の美女」のリラの精や青い鳥のパ・ド・ドゥ、「オネーギン」のオリガなどを踊っている。



アンナ・オサチェンコ(プリンシパル) インタビュー




カザフスタン出身のアンナ・オサチェンコは、今年新たにバレエ団のプリンシパルに加わった24歳の注目株。指先のすみずみまで意識を行き渡らせ、体中で楽曲のクレッシェンドを奏でるその舞は、清らかで、意志強く、溢れんばかりの詩情を観客に伝える。年齢のわりに成熟した物腰のアンナ自身もみずから「私は音楽性にあふれたダンサーだと思う」と語ってくれた。


―――まずプリンシパル昇進、おめでとうございます。

ありがとう。私自身、こんなにすぐに昇進できるとは思っていませんでした。だから少し予想外だったけど、嬉しいことに変わりはない。それにプリンシパルになったからといって、ゴールに辿り着いたわけではないですしね。むしろここからの道のりのほうが長いわけですし、すべてが私自身の努力ひとつにかかってくる。私は40歳になったときにも「もっとよくなれるはず」と考えているダンサーになりたいので、日々、努力を怠らず終わりのないバレエの道を進んでいこうと思います。


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「眠れる森の美女」オーロラ姫:アンナ・オサチェンコ

―――あなたの踊りはとても音楽性が豊か。昔から音楽に対して、鋭敏な感性をもっていたと思われますか。

ええ、踊りはじめたその瞬間から、音楽は私にとってとても大切なものでした。そもそも私はいつでも踊るとき、頭のなかで音楽を歌っているぐらいなんです(笑)。だから音楽がないなかで踊るなんてとても考えられない。たとえば今度、日本で踊る『眠れる森の美女』のオーロラ姫にしても、チャイコフスキーの音楽にあわせて体を動かしていくと、自然と自分自身がオーロラ姫の気持ちになっているんです。音楽に身をゆだねることで、自然と感情が湧き出てくるんですよ。これは本当に不思議な感覚です。


―――現在でもオーロラ姫、オデット/オディール、シルフィード、など数々の古典主役を踊られています。今後プリンシパルとして、さらに忙しい日々が待ち受けていそうですね。

でもそれは願ったりなことです。なぜなら私は居住10年目にしてこのシュツットガルトの街の、すべての美術館、映画館、ショップを知り尽くしてしまったから。仕事ぐらい充実していなければ、この街では退屈して死んでしまう(笑)。私はなんでも新しいことにトライすることが大好きなんです! この性格は、役にたとえて説明するなら、少し『オネーギン』のオリガに似ているかもしれません。彼女はオネーギンとレンスキー、ふたりの愛を手に入れようとする。いっぺんに二つのものを手に入れようとするんです。でも、人生ではいつだって二兎を追う者は失敗する。でもオリガは好奇心から、どうしても両方欲しがってしまう。つまり彼女の根底にある人生観は、ノー・リスク、ノー・ジョイ。そしてこの言葉は、私自身にもあてはまる。なので今度の11月に初めて日本のお客様のまえでプリンシパルとして踊るという、とても緊張感のあるチャレンジに挑みますが、私はそのリスクを心から楽しみたい。とにかく目一杯エンジョイしてポジティブに踊ろうと思います。


◇アンナ・オサチェンコの出演予定日 
 11月24日(祝・月) 3:00p.m. 「眠れる森の美女」(オーロラ姫)
 11月29日(土) 3:00p.m. 「オネーギン」(オリガ)

新着写真館4

新着写真館4枚目の写真は、「オネーギン」からこちらの1枚。

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昨日、インタビュー記事をアップしたマリイン・ラドメイカー(レンスキー)と次回のインタビューに登場するアンナ・オサチェンコ(オリガ)です。
二人は、11月24日「眠れる森の美女」に続き、11月29日の「オネーギン」でレンスキーとオリガを演じます。