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マリイン・ラドメイカー インタビュー

お待たせしました! 以前よりお知らせいたしました岩城京子さんのシュツットガルト取材第2弾のダンサー・インタビューをお届けします。
初回はマリイン・ラドメイカー。彗星の如く現れた若きプリンシパルですが、日本で主演するのは今回が初めてということもあり、ご存知ない方も多いのではないかと思います。簡単に彼のプロフィールをご紹介しますと・・・。


マリイン・ラドメイカー Marijn Rademaker

Rademaker,Marijn (c) Sébastien Galtier.jpg

オランダのナイメーヘン出身。2000/2001シーズンにシュツットガルト・バレエ団に入団。2004/2005シーズンにデミ・ソリストに昇格。2006年6月『椿姫』のアルマンを初めて踊った直後、芸術監督のリード・アンダーソンにより飛び級でプリンシパルに任命される。レパートリーは『眠れる森の美女』の王子、『オネーギン』のレンスキーのほか、『ロミオとジュリエット』のロミオ、『白鳥の湖』のジークフリート、『カルメン』(クランコ振付)のドン・ホセ、『ラ・シルフィード』のジェイムズなど。
今年7月にハンブルグで行われた<ニジンスキー・ガラ>で「ヴェニスに死す」(エピソード)のタジオ役を踊る。また、10月~12月にはチューリッヒ・バレエの「ペール・ギュント」でタイトルロールを踊るなど、シュツットガルト以外でも活躍。日本公演の直前に行われるシュツットガルト・バレエ団韓国公演では『ロミオとジュリエット』(11/18)のロミオを演じる予定。

 *マリイン・ラドメーカーのホームページはこちら



マリイン・ラドメイカー(プリンシパル) インタビュー




木刀稽古ではからっきしなのに、真剣を使って勝負をしはじめたとたん、うってかわって目の輝きが変わるという、いわゆる本番に強い人種がいる。オランダ出身の美しき青年マリイン・ラドメイカーは間違いなくそんな人間のひとり。2年前に『椿姫』のアルマン役に初挑戦。全身全霊すべてを賭け命を燃やすような熱情的な舞に多くの客は心を打たれ、その本番直後に、芸術監督リード・アンダーソンは彼を飛び級でプリンシパルに任命。以後、マリインは世界中からオファーの絶えないカンパニーきっての成長株として人気を集めている。


―――2年前にプリンシパルに任命されて、環境はどのように変わりましたか。

プリンシパルになってから予想以上に様々な国のカンパニーに呼ばれたり、期待以上の大きな役を与えてもらえるようになりました。本当に喜ばしいことです。けれど実際のところ僕自身のやるべきことは、コール・ドのときともソリストのときともさほど変わっていません。ダンサーとしてどの階級に属していようと、作品への、振付家への、そして何より自分への責任があるわけですから。いつでも自分は自分のベストを尽くすだけ。僕はそのような気持ちで、今でもひとつひとつの舞台に臨んでいます。


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「眠れる森の美女」デジレ王子:マリイン・ラドメイカー

―――ひとつひとつの舞台にベストを尽くす。そのような覚悟でステージに臨むからこそ、あなたは人一倍本番で力を発揮するのでしょうか。

自分ではよくわかりません。けど確かに僕は本番で花開くタイプだと思います。ステージという特別な場に立つと、自分でも予想だにしなかったようなことをやりはじめるんです(笑)。たとえば『椿姫』のパ・ド・ドゥでアルマンがマルグリッドにキスをするシーン。あのキスの仕方ひとつとっても、本番ではより衝動的にしたくなることがあるんです。だから僕にとって本番は、リハーサルとはまったく別もの。何か異なる磁場がある。でも別にリハーサルも嫌いじゃないですよ。僕はまだまだ技術的におぼつかない面がたくさんあるので、なるべく真面目に稽古に励んで技術に磨きをかける必要がある。


―――日本で演じられるレンスキーとデジレ王子について教えてください。

レンスキーは、とてもロマンティックで美しい詩人。特に1幕の彼はただただ甘く楽しく恋に酔いしれていて、さほど複雑な演技をする必要がない。けれど2幕になると少し入り組んだオネーギンとのいざこざが起こりはじめ、彼は自分のプライドの高さゆえに死という取り返しのつかない事態を招いてしまう。オネーギンが決闘前に「こんなことやめないか」という提案を持ちかけてくるにも関わらず、レンスキーは決闘という紳士的約束事にプライドを持ちすぎているために、あとにひけなくなり殺されてしまうんです。悲劇ですよね。
デジレ王子に関しては、彼はとても孤独な人間だと思います。そしてその孤独のなかで「何か」を探し求めている。世界中のあらゆる人は、何かを探し求めて生きているわけですから。彼に内面的につながれる人は多いのではないでしょうか。とにかくバレエを心から愛してくれる日本のお客さんの前で踊れることを、今から本当に楽しみにしています。

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「オネーギン」レンスキー:マリイン・ラドメイカー

◇マリイン・ラドメイカーの出演予定日 
 11月24日(祝・月) 3:00p.m. 「眠れる森の美女」(デジレ王子)
 11月29日(土) 3:00p.m. 「オネーギン」(レンスキー)