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アンナ・オサチェンコ インタビュー

シュツットガルト・バレエ団ダンサーインタビュー第5弾は、今シーズンからプリンシパルに昇進したアンナ・オサチェンコ。彼女も今回が日本での初主演となります。マリイン同様、まず簡単なプロフィールを。


アンナ・オサチェンコ Anna Osadcenko

Osadcenko, Anna (c) Ulrich Beuttenmüller.jpg

カザフスタンのアルマ・アタ出身。2000年のローザンヌ国際バレエコンクールでレスポワール賞を受賞し、9月よりジョン・クランコ・バレエ学校で学ぶ。2002/2003年のシーズンにシュツットガルト・バレエ団に入団。05/06年のシーズンに準ソリスト、07/08年にソリスト、そして今シーズ(08/09)よりプリンシパルに昇格。クランコ版「白鳥の湖」のオデット/オディール、ピーター・シャウフス版「ラ・シルフィード」、ハイデ版「眠れる森の美女」のオーロラ姫など全幕作品で主役を踊る。そのほかに、「眠れる森の美女」のリラの精や青い鳥のパ・ド・ドゥ、「オネーギン」のオリガなどを踊っている。



アンナ・オサチェンコ(プリンシパル) インタビュー




カザフスタン出身のアンナ・オサチェンコは、今年新たにバレエ団のプリンシパルに加わった24歳の注目株。指先のすみずみまで意識を行き渡らせ、体中で楽曲のクレッシェンドを奏でるその舞は、清らかで、意志強く、溢れんばかりの詩情を観客に伝える。年齢のわりに成熟した物腰のアンナ自身もみずから「私は音楽性にあふれたダンサーだと思う」と語ってくれた。


―――まずプリンシパル昇進、おめでとうございます。

ありがとう。私自身、こんなにすぐに昇進できるとは思っていませんでした。だから少し予想外だったけど、嬉しいことに変わりはない。それにプリンシパルになったからといって、ゴールに辿り着いたわけではないですしね。むしろここからの道のりのほうが長いわけですし、すべてが私自身の努力ひとつにかかってくる。私は40歳になったときにも「もっとよくなれるはず」と考えているダンサーになりたいので、日々、努力を怠らず終わりのないバレエの道を進んでいこうと思います。


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「眠れる森の美女」オーロラ姫:アンナ・オサチェンコ

―――あなたの踊りはとても音楽性が豊か。昔から音楽に対して、鋭敏な感性をもっていたと思われますか。

ええ、踊りはじめたその瞬間から、音楽は私にとってとても大切なものでした。そもそも私はいつでも踊るとき、頭のなかで音楽を歌っているぐらいなんです(笑)。だから音楽がないなかで踊るなんてとても考えられない。たとえば今度、日本で踊る『眠れる森の美女』のオーロラ姫にしても、チャイコフスキーの音楽にあわせて体を動かしていくと、自然と自分自身がオーロラ姫の気持ちになっているんです。音楽に身をゆだねることで、自然と感情が湧き出てくるんですよ。これは本当に不思議な感覚です。


―――現在でもオーロラ姫、オデット/オディール、シルフィード、など数々の古典主役を踊られています。今後プリンシパルとして、さらに忙しい日々が待ち受けていそうですね。

でもそれは願ったりなことです。なぜなら私は居住10年目にしてこのシュツットガルトの街の、すべての美術館、映画館、ショップを知り尽くしてしまったから。仕事ぐらい充実していなければ、この街では退屈して死んでしまう(笑)。私はなんでも新しいことにトライすることが大好きなんです! この性格は、役にたとえて説明するなら、少し『オネーギン』のオリガに似ているかもしれません。彼女はオネーギンとレンスキー、ふたりの愛を手に入れようとする。いっぺんに二つのものを手に入れようとするんです。でも、人生ではいつだって二兎を追う者は失敗する。でもオリガは好奇心から、どうしても両方欲しがってしまう。つまり彼女の根底にある人生観は、ノー・リスク、ノー・ジョイ。そしてこの言葉は、私自身にもあてはまる。なので今度の11月に初めて日本のお客様のまえでプリンシパルとして踊るという、とても緊張感のあるチャレンジに挑みますが、私はそのリスクを心から楽しみたい。とにかく目一杯エンジョイしてポジティブに踊ろうと思います。


◇アンナ・オサチェンコの出演予定日 
 11月24日(祝・月) 3:00p.m. 「眠れる森の美女」(オーロラ姫)
 11月29日(土) 3:00p.m. 「オネーギン」(オリガ)