2023年9月アーカイブ

2023年9月30日

【本日のアンコール曲】ソニア・ヨンチェヴァ ソプラノ・コンサート


〈ソニア・ヨンチェヴァ ソプラノ・コンサート〉
9月30日(土) 15:00開演


【本日のアンコール曲】
ジャコモ・プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」"わたしのお父さま"

マルグリット・モノー(作詞:エディット・ピアフ):"愛の讃歌"

エルネスト・デ・クルティス:"忘れな草"

2023年9月26日

「ローマ歌劇場が上演した「トスカ」と「椿姫」に東京は大喝采」(イル・ソーレ・24オーレ紙)

ローマ歌劇場日本公演の公演評が9月24日、イタリアの有力経済紙「IL Sole 24 Ore(イル・ソーレ・24オーレ)」に掲載されました。ぜひご一読ください。



音楽ジャーナリスト カルラ・モレーニ

優れた劇場であることをアピールできるのが日本である。

招聘された劇場は忘れられない経験をすることが出来る。熱烈な歓迎を受け、熱心に舞台に見入る観客を前に劇場もまた最大の努力を惜しまない。そしてその結果素晴らしい公演が実現する。完璧なほどの音響と舞台への視界も欠点のない2300席の東京文化会館は天井に吊るされたような最上階席の最後列でさえも舞台が良く見える。今この劇場で公演しているのが、フランチェスコ・ジャンブローネ総裁が率いるローマ歌劇場だ。オーケストラ、合唱、テクニカルスタッフ、ソリスト、事務局スタッフなど総勢227名が「椿姫」と「トスカ」を上演している。半世紀の差で誕生したこの二作品はオペラの最高傑作とも言える。両作品とも観客の心に深い印象を与える。

全7回の公演は観客を強くひきつけ、公演ごとに補助席が設けられるほどである。
ローマ歌劇場が日本公演を実現するのはこれで5回目だが、特にこの10年の間に行われた3回の日本公演は大成功をおさめ、第6回目が期待されている。

日本の観客は鋭いアンテナでオペラ界の情報を良く握っている。観客は伝統的なイタリアオペラ公演を望んでいる。伝統を受け継ぎながらも斬新な演奏で感動を与えているのが音楽監督であり、この二演目を指揮しているミケーレ・マリオッティだ。44歳という若い指揮者がローマ歌劇場に新鮮な息吹を与えていると言っても過言ではないだろう。


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ローマ歌劇場2023念日本公演「椿姫」より photo : Kiyonori Hasegawa

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ローマ歌劇場2023年日本公演「トスカ」より photo : Kiyonori Hasegawa

観客の拍手は感動の表れそのものだ。公演後にサインを求める長い列もまた観客の心をつかんだ証と言えるだろう。観客の拍手はオーケストラや合唱指揮者チーロ・ヴィスコが鍛えた合唱団の演奏の素晴らしさにのみではない。マリオッティの解釈は我々にも驚きをもたらしたのだ。彼の解釈は明確で、しかも大げさなところはなく、物語を忠実に伝えようとして内面まで掘り下げられているということを強く感じた。事細かく、フレーズを作り、意思を表示し、音色を豊かにし、強弱も休符もすべてが生かされた演奏なのだ。オーケストラピットの中ですべてをコントロールし、スター歌手が勝手な歌い方で音楽を崩してしまうことが起こらないよう厳重に注意している。大スター歌手である椿姫のリセット・オロペサと成熟したアルフレードを演じたフランチェスコ・メーリ、トスカのソニヤ・ヨンチェヴァとカヴァラドッシのヴィットリオ・グリゴーロを牛耳るのは大変なことだ。マリオッティは歌手に自由さを与えながらもしっかりと手綱を握っていることを我々に分からせた。

「椿姫」では父と子の関係、コンプレックス、苦悩などの表現が卓越していた。また「二人の子供」という前の短い間の取り方に心情が強く表れていた。ビロードのようなアマルトゥブシン・エンクバートの美しい声に魅了されながらも、それを伴奏するオーケストラの音色に言葉以上の表現力を感じられた。東京ではこれらがすべて観客に伝わったのだと思う。
「椿姫」はソフィア・コッポラの演出とヴァレンティノの衣裳も観客の目を惹きつけ、「トスカ」は2008年に制作されたゼッフィレッリの豪奢な舞台に改めて感動させられた。

ローマ歌劇場はその大成功に満足して帰国することだろう。

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ローマ歌劇場2023年日本公演「椿姫」カーテンコールより

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ローマ歌劇場2023年日本公演「トスカ」カーテンコールより

翻訳:田口道子


ローマ歌劇場「トスカ」9月26日(火)のキャスト

指揮:ミケーレ・マリオッティ
Direttore:Michele Mariotti

演出・美術:フランコ・ゼッフィレッリ
Regia e Scenografia:Franco Zeffirelli

合唱監督:チーロ・ヴィスコ
Maestro del Coro:Ciro Visco

衣裳:アンナ・ビアジョッティ
Costumi:Anna Biagiotti

照明:マルコ・フィリベック
Luci:Marco Filibeck

再演演出:マルコ・ガンディーニ
Ripresa della regia:Marco Gandini

舞台美術補:カルロ・チェントラヴィーニャ
Ripresa della scenografia:Carlo Centolavigna






フローリア・トスカ:ソニア・ヨンチェヴァ
Floria Tosca:Sonya Yoncheva

マリオ・カヴァラドッシ:ヴィットリオ・グリゴーロ
Mario Cavaradossi:Vittorio Grigolo

スカルピア男爵:ロマン・ブルデンコ
Il Barone Scarpia:Roman Burdenko

堂守:ドメニコ・コライアンニ
Sagrestano:Domenico Colaianni

チェーザレ・アンジェロッティ:ルチアーノ・レオーニ
Cesare Angelotti:Luciano Leoni

スポレッタ:サヴェリオ・フィオーレ
Spoletta:Saverio Fiore

シャルローネ:リオ・ポール・シャロット
Sciarrone:Leo Paul Chiarot

看守:ファビオ・ティナッリ
Un  Carceriere:Fabio Tinalli

牧童:高瀬久遠
Pastorello:Quon Takase



ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団
Orchestra e Coro del Teatro dell'Opera di Roma

NHK東京児童合唱団
NHK Tokyo Children Chorus




◆上演時間◆
第1幕 15:00-15:50
休憩   25分
第2幕 16:15-16:55
休憩   25分
第3幕  17:20-17:50

2023年9月24日

ローマ歌劇場「トスカ」9月24日(日)のキャスト

指揮:ミケーレ・マリオッティ
Direttore:Michele Mariotti

演出・美術:フランコ・ゼッフィレッリ
Regia e Scenografia:Franco Zeffirelli

合唱監督:チーロ・ヴィスコ
Maestro del Coro:Ciro Visco

衣裳:アンナ・ビアジョッティ
Costumi:Anna Biagiotti

照明:マルコ・フィリベック
Luci:Marco Filibeck

再演演出:マルコ・ガンディーニ
Ripresa della regia:Marco Gandini

舞台美術補:カルロ・チェントラヴィーニャ
Ripresa della scenografia:Carlo Centolavigna






フローリア・トスカ:ソニア・ヨンチェヴァ
Floria Tosca:Sonya Yoncheva

マリオ・カヴァラドッシ:ヴィットリオ・グリゴーロ
Mario Cavaradossi:Vittorio Grigolo

スカルピア男爵:ロマン・ブルデンコ
Il Barone Scarpia:Roman Burdenko

堂守:ドメニコ・コライアンニ
Sagrestano:Domenico Colaianni

チェーザレ・アンジェロッティ:ルチアーノ・レオーニ
Cesare Angelotti:Luciano Leoni

スポレッタ:サヴェリオ・フィオーレ
Spoletta:Saverio Fiore

シャルローネ:リオ・ポール・シャロット
Sciarrone:Leo Paul Chiarot

看守:ファビオ・ティナッリ
Un  Carceriere:Fabio Tinalli

牧童 :高瀬久遠
Pastorello:Quon Takase



ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団
Orchestra e Coro del Teatro dell'Opera di Roma

NHK東京児童合唱団
NHK Tokyo Children Chorus



◆上演時間◆
第1幕 15:00-15:50
休憩   25分
第2幕 16:15-16:55
休憩   25分
第3幕  17:20-17:50

2023年9月22日

〈オペラ座ガラ ーヌレエフに捧ぐー〉購入者限定、パリ・オペラ座バレエ団2024年日本公演先行販売について

既報のとおり、本年7月に開催した〈オペラ座ガラーヌレエフに捧ぐー〉を先行販売期間(2023330日(木)21:00412日(水)18:00)NBS WEBチケットでご購入いただいたお客様は、一般発売に先駆けてパリ・オペラ座バレエ団2024年日本公演のチケットをご購入いただけます。

 該当のお客様にはすでにメールにてご案内をお送りしておりますが、念のために当ホームページでも改めてご案内申し上げます。

 

【特別先行販売期間】期間外のお申し込みはお受付できません。

925日(月)2100104日(水)1800

 

【ご購入方法】

NBS WEBチケットに〈オペラ座ガラ-ヌレエフに捧ぐ-〉をご購入いただいた会員IDとパスワードでログインいただき、以降は画面のご案内にしたがってお手続きください。

>>>NBS WEBチケット

 

【ご注意事項】必ずお読みください。

SE席まで全席種販売します。

セット券をご希望の方は必ず「セット券」の枠よりお手続きください。

ご購入はお一人様につき5枚までとさせていただきます。

〈バレエの祭典〉の会員席が優先となります。予めご了承ください。

下記の日程は会員券に加え団体の予約が複数入っておりますためS席の残席が少なくなっております。予めご了承ください。

 「白鳥の湖」28日(木)1830

 「マノン」216日(金)1900、2月17日(土)13:30

 

【不正転売防止にご協力のお願い】

チケットの不正転売は法律で固く禁じられております。

定価以上でチケットを譲渡された場合、販売した側のみならず、購入した側にも罰則が科せられることもございますいかなる理由があろうとも、不正転売されたチケットは無効となりますので、公演をご覧いただくことができません。

また、不正転売が確認された場合、該当の方は以降弊財団の主催する全ての公演チケットを購入できなくなります。

不正転売防止に向けて皆さまのご協力を切にお願い申し上げます。

2023年9月21日

ローマ歌劇場「トスカ」9月21日(木)のキャスト

指揮:ミケーレ・マリオッティ
Direttore:Michele Mariotti

演出・美術:フランコ・ゼッフィレッリ
Regia e Scenografia:Franco Zeffirelli

合唱監督:チーロ・ヴィスコ
Maestro del Coro:Ciro Visco

衣裳:アンナ・ビアジョッティ
Costumi:Anna Biagiotti

照明:マルコ・フィリベック
Luci:Marco Filibeck

再演演出:マルコ・ガンディーニ
Ripresa della regia:Marco Gandini

舞台美術補:カルロ・チェントラヴィーニャ
Ripresa della scenografia:Carlo Centolavigna






フローリア・トスカ:ソニア・ヨンチェヴァ
Floria Tosca:Sonya Yoncheva

マリオ・カヴァラドッシ:ヴィットリオ・グリゴーロ
Mario Cavaradossi:Vittorio Grigolo

スカルピア男爵:ロマン・ブルデンコ
Il Barone Scarpia:Roman Burdenko

堂守:ドメニコ・コライアンニ
Sagrestano:Domenico Colaianni

チェーザレ・アンジェロッティ:ルチアーノ・レオーニ
Cesare Angelotti:Luciano Leoni

スポレッタ:サヴェリオ・フィオーレ
Spoletta:Saverio Fiore

シャルローネ:リオ・ポール・シャロット
Sciarrone:Leo Paul Chiarot

看守:ファビオ・ティナッリ
Un  Carceriere:Fabio Tinalli

牧童:末光朔大
Pastorello:Sakuhiro Suemitsu


ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団
Orchestra e Coro del Teatro dell'Opera di Roma

NHK東京児童合唱団
NHK Tokyo Children Chorus



◆上演時間◆
第1幕 15:00-15:50
休憩   25分
第2幕 16:15-16:55
休憩   25分
第3幕  17:20-17:50

2023年9月19日

【レポート】ローマ歌劇場2023年日本公演「トスカ」初日レポート

ローマ歌劇場2023年日本公演のもう一つの演目「トスカ」が開幕しました。主演にソニア・ヨンチェヴァ、ヴィットリオ・グリゴーロ、ロマン・ブルデンコというスター・ソリストたちを迎え、音楽監督のミケーレ・マリオッティの指揮のもと歌劇場のオーケストラ、合唱、児童合唱が一体となって息つく間もないほどの緊迫感溢れるドラマを紡いだ舞台に、最後は会場が揺れんばかりの怒涛のような喝采。その様子を「椿姫」に続き、ライターの小田島久恵さんにレポートしていただきました。

***

ローマ歌劇場『トスカ』の初日公演が9月17日、神奈川県民ホールで行われた。フランコ・ゼッフィレッリ版の壮麗なローマの装置が舞台で再現されるのは、この歌劇場にとっても15年ぶり。第1幕の聖アンドレア・デッラ・ヴァッレ教会の巨大なバロック様式の聖母の彫像が美しい。燭台に輝くたくさんの蝋燭の灯りも煌めく星のようで、美術・装置の全てが「目の悦び=オピュレンス」の演出家であるゼッフィレッリの美学を象徴している。教会の礼拝堂のセットは、フィレンツェのカトリック修道院で育った彼の原風景でもあった。

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スカルピアの恐怖和音、脱獄者アンジェロッティ(ルチアーノ・レオーニ)が暗躍する不吉なモティーフから、呑気な堂守(ドメニコ・フライアンニ)のユーモラスな歌が続き、「絵具をくれ」と画家カヴァラドッシ(ヴィットリオ・グリゴーロ)が『妙なる調和』を歌い出すと、ホールに花火のような爆発が起こった。ドラマティックに美声をうねらせ、主役テノールの「華」をこれでもかと解き放ってくる。
グリゴーロはいつもの3倍以上の(?)熱気を込めて最初の見せ場を演じたので、拍手もなかなか鳴り止まない。限界までフェルマータを効かせた「濃い」アリアで、古臭さはなく、却って現代的に感じられた。

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表題役のソニア・ヨンチェヴァはエンパイアスタイルの水色の歌姫のコスチュームを麗しく着こなし、瞬間湯沸かし器のように気性の激しい女性を演じた。グリゴーロとヨンチェヴァの二重唱は第1幕からパワー全開で、音程もテンポも神業かと思わるほどぴったり合っている。ヨンチェヴァの声には清冽な母性と神秘性があり、女神のようだが人間臭い表現もふんだんにする。この主役二人の間には共通の大きな目的があったはずだ。「この舞台で必ず成功しなければならない」ということ。人気歌手には底知れぬ孤独があり、守らなければならない名誉や信頼がある。究極の目的は聴衆へ愛を伝えることだ。トスカとカヴァラドッシのカップルにつねに危険がまとわりついていて、歌手の二人も同様なのだと痛感した。過去にも『トスカ』で共演してきただけあって固い信頼感で結ばれていたが、ローマ歌劇場では殊更に堅い結束感でオーケストラに対して歌手の誇りを見せて(聴かせて)いた。

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音楽監督のミケーレ・マリオッティは2回目の『椿姫』の翌日に『トスカ』を振ったが、プッチーニのオペラに関しては、物語の焦点を決めて、そのポイントに向かってジワジワと緊張感を高めていく計画を立てていたようだ。記者会見で語っていた「トスカが『殺人を行う』ということを、今日的な状況の中でいかに考えるか...」という問題である。ポイントは「殺人」で、それは実に徹底していた。

スカルピアのロマン・ブルデンコは上品な姿で、字幕のニュアンスも悪役にしては礼儀正しかったが、スコアに書かれている役の嫌らしさや残虐性は、オケが蛇のように表した。壮麗で邪悪な『テ・デウム』(ゼッフィレッリ版は圧巻)から、悪の毒が沁み出していく。第2幕でトスカは何度でも拒絶するが、スカルピアは粘りつくように執拗に迫って来る。恐怖を煽っておきながら、拷問の縄を緩めるように「救い」もチラチラちらつかせる。悪趣味なフェティッシュにトスカは窒息寸前になり、「とうとう」あの場面がやってくるのだ。

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その直前の重要なアリア『歌に生き、愛に生き』ではヨンチェヴァの歌い出しが素晴らしく、指揮者とオケが1幕から敷いてきた丹念なレールの上で、苦渋に満ちた悲劇の花を一気に咲かせた。第2幕のファルネーゼ宮の場面ではありとあらゆる残酷な音楽を聴くことになるが、冒頭でトスカと合唱が歌う祝賀演奏も不気味の極みを尽くしていた。合唱は霊力に溢れ、緻密で素晴らしい。

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マリオッティは本気で「オペラを化石のようなものにしたくない」と考えているのだ。トスカが窮地に追い込まれて行った殺人を、現代のさまざまな理不尽と結びつけて考えさせる。理屈ではなく、身体が、魂が、オペラによって刺激され思考を始めるように、そんなふうにドラマを作っている。リアルな心理効果を与える聴覚の冒険が金・管・打のパートの隅々まで行われていた。

第3幕では第1幕でも大活躍だったNHK児童合唱団の高瀬久遠さんが牧童を素晴らしく歌い、カーテンコールではグリゴーロからハイタッチで讃えられていた。第3幕では、続けて歌われるところで大きな拍手が湧き、中断するという珍しい事件も起こった。これから逃避行する二人が愛を固め、ユニゾンを歌い出す瞬間に喝采が起こったのだが、そうした観客のリアクションさえ自然なことに思えた。

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ローマ歌劇場で『トスカ』が初演されたのは1900年1月。ローマの名所を舞台にしたご当地オペラは、その時代のスーパーマエストロとスター演出家、スター歌手たちによって歌い継がれて来た。最もイタリアオペラ的なゼッフィレッリ版が15年の時を経て復活したのは嬉しい奇跡で、ここにはオペラの真の本質が凝縮している。ゼッフィレッリはコンサバとは正反対の人で、この演出から見えてくるのもオペラの未来的な可能性なのだ。

サンタンジェロ城からのトスカの落下の後、余韻の静寂を待たず嵐のような喝采が起こった。ローマ歌劇場の『トスカ』はエンターテインメントを超える、超越的な愉悦と覚醒の世界だった。この種の感動は、オペラでしか起こらないし、他のジャンルでは起こらない。「オペラが未来永劫生き続ける理由」を、伝統あるローマ歌劇場が教えてくれたことは、大きな示唆に富んでいる。観た人の人生を変えるオペラだった。

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取材・文 小田島久恵 フリーライター
photo: Kiyonori Hasegawa



2023年9月18日

ローマ歌劇場「椿姫」9月18日(月・祝)のキャスト

 指揮:ミケーレ・マリオッティ
Direttore:Michele Mariotti

演出:ソフィア・コッポラ
Regia:Sofia Coppola

合唱監督:チーロ・ヴィスコ
Maestro del Coro:Ciro Visco

美術:ネイサン・クロウリー
Scene:Nathan Crowley

衣裳:ヴァレンティノ・ガラヴァーニ   マリア・グラツィア・キウリ     ピエルパオロ・ピッチョーリ
Costumi:Valentino Garavani          Maria Grazia Chiuri        Pierpaolo Piccioli

振付:ステファヌ・ファヴォラン
Coreografia:Stéphane Phavorin

照明:ヴィニーチョ・ケーリ
Luci:Vinicio Cheli

照明補:ヤコポ・パンターニ
Riprese da:Jacopo Pantani

ビデオ:ロレンツォ・ブルーノ、イゴール・レンツェッティ
Video:Lorenzo Bruno, Igor Renzetti





ヴィオレッタ・ヴァレリー:リセット・オロペサ
Violetta Valery:Lisette Oropesa

フローラ・ベルヴォア:エカテリネ・ブアチゼ
Flora Bervoix:Ekaterine Buachidze
 
アルフレード・ジェルモン:フランチェスコ・メーリ
Alfredo Germont:Francesco Meli

ジョルジョ・ジェルモン:アマルトゥブシン・エンクバート
Giorgio Germont:Amartuvshin Enkbath

アンニーナ:マリアム・スレイマン
Annina:Mariam Suleiman

ドゥフォール男爵:ロベルト・アックールソ
Il Barone Douphol:Roberto Accurso

ドビニー侯爵:マッティア・ロッシ
Marchese d'Obigny:Mattia Rossi

グランヴィル医師:アンドリー・ガンチェク
Dottor Grenvil:Andrii Ganchuk

ガストン子爵 :エドゥアルド・ニアーヴェ
Gastone:Eduardo Niave

受託人:ダニエレ・マッシミ
Un Commissionario:Daniele Massimi

フローラの召使い:マウリツィオ・カッシャネッリ
Un Domestico di Flora:Maurizio Cascianelli



ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団、ローマ歌劇場バレエ団
Orchestra, Coro e Corpo di Ballo del Teatro dell'Opera di Roma





◆上演時間◆
第1幕 15:00-15:35
休憩   30分
第2幕第1場 16:05-16:45
休憩    20分
第2幕第2場  17:05⁻17:30
休憩    20分
第3幕  17:50-18:25








2023年9月17日

ローマ歌劇場「トスカ」9月17日(日)のキャスト

指揮:ミケーレ・マリオッティ
Direttore:Michele Mariotti

演出・美術:フランコ・ゼッフィレッリ
Regia e Scenografia:Franco Zeffirelli

合唱監督:チーロ・ヴィスコ
Maestro del Coro:Ciro Visco

衣裳:アンナ・ビアジョッティ
Costumi:Anna Biagiotti

照明:マルコ・フィリベック
Luci:Marco Filibeck

再演演出:マルコ・ガンディーニ
Ripresa della regia:Marco Gandini

舞台美術補:カルロ・チェントラヴィーニャ
Ripresa della scenografia:Carlo Centolavigna






フローリア・トスカ:ソニア・ヨンチェヴァ
Floria Tosca:Sonya Yoncheva

マリオ・カヴァラドッシ:ヴィットリオ・グリゴーロ
Mario Cavaradossi:Vittorio Grigolo

スカルピア男爵:ロマン・ブルデンコ
Il Barone Scarpia:Roman Burdenko

堂守:ドメニコ・コライアンニ
Sagrestano:Domenico Colaianni

チェーザレ・アンジェロッティ:ルチアーノ・レオーニ
Cesare Angelotti:Luciano Leoni

スポレッタ:サヴェリオ・フィオーレ
Spoletta:Saverio Fiore

シャルローネ:リオ・ポール・シャロット
Sciarrone:Leo Paul Chiarot

看守:ファビオ・ティナッリ
Un  Carceriere:Fabio Tinalli

牧童:高瀬 久遠
Pastorello:Quon Takase


ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団
Orchestra e Coro del Teatro dell'Opera di Roma

NHK東京児童合唱団
NHK Tokyo Children Chorus





◆上演時間◆
第1幕 15:00-15:50
休憩   25分
第2幕 16:15-16:55
休憩   25分
第3幕  17:20-17:50








2023年9月16日

ローマ歌劇場「椿姫」9月16日(土)のキャスト

 指揮:ミケーレ・マリオッティ
Direttore:Michele Mariotti

演出:ソフィア・コッポラ
Regia:Sofia Coppola

合唱監督:チーロ・ヴィスコ
Maestro del Coro:Ciro Visco

美術:ネイサン・クロウリー
Scene:Nathan Crowley

衣裳:ヴァレンティノ・ガラヴァーニ   マリア・グラツィア・キウリ     ピエルパオロ・ピッチョーリ
Costumi:Valentino Garavani          Maria Grazia Chiuri        Pierpaolo Piccioli

振付:ステファヌ・ファヴォラン
Coreografia:Stéphane Phavorin

照明:ヴィニーチョ・ケーリ
Luci:Vinicio Cheli

照明補:ヤコポ・パンターニ
Riprese da:Jacopo Pantani

ビデオ:ロレンツォ・ブルーノ、イゴール・レンツェッティ
Video:Lorenzo Bruno, Igor Renzetti





ヴィオレッタ・ヴァレリー:リセット・オロペサ
Violetta Valery:Lisette Oropesa

フローラ・ベルヴォア:エカテリネ・ブアチゼ
Flora Bervoix:Ekaterine Buachidze
 
アルフレード・ジェルモン:フランチェスコ・メーリ
Alfredo Germont:Francesco Meli

ジョルジョ・ジェルモン:アマルトゥブシン・エンクバート
Giorgio Germont:Amartuvshin Enkbath

アンニーナ:マリアム・スレイマン
Annina:Mariam Suleiman

ドゥフォール男爵:ロベルト・アックールソ
Il Barone Douphol:Roberto Accurso

ドビニー侯爵:マッティア・ロッシ
Marchese d'Obigny:Mattia Rossi

グランヴィル医師:アンドリー・ガンチェク
Dottor Grenvil:Andrii Ganchuk

ガストン子爵 :エドゥアルド・ニアーヴェ
Gastone:Eduardo Niave

受託人:ダニエレ・マッシミ
Un Commissionario:Daniele Massimi

フローラの召使い:マウリツィオ・カッシャネッリ
Un Domestico di Flora:Maurizio Cascianelli


ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団、ローマ歌劇場バレエ団
Orchestra, Coro e Corpo di Ballo del Teatro dell'Opera di Roma





◆上演時間◆
第1幕 15:00-15:35
休憩   30分
第2幕第1場 16:05-16:45
休憩    20分
第2幕第2場  17:05⁻17:30
休憩    20分
第3幕  17:50-18:25








2023年9月14日

【レポート】ローマ歌劇場2023年日本公演「椿姫」初日レポート

昨日9月13日に「椿姫」で開幕したローマ歌劇場2023年日本公演。4年ぶりの本格的な海外歌劇場引越し公演とあって、会場の東京文化会館は観客の方々の期待を感じさせる熱気に包まれました。イタリア・オペラ界の星と目される気鋭の音楽監督ミケーレ・マリオッティの指揮のもと、リセット・オロペサ、フランチェスコ・メーリ、アマルトゥブシン・エンクバートという強力なソリスト陣、歌劇場のオーケストラ、合唱、バレエ団が総力を挙げて取り組んだ初日の舞台を、ライターの小田島久恵さんにレポートしていただきました。

***

ローマ歌劇場『椿姫』の初日、ヒロインを演じたリセット・オロペサは、彼女こそがオペラの女神であり、究極のヴィオレッタであることを日本の聴衆に知らしめた。可憐な容姿でヴァレンティノの衣裳がよく似合い、第1幕の長大なアリアでも余裕を失うことなく、超高音もためらわずに勇敢に響かせた。感情表現は豊かだが、それが決してくどくならないのは、声質に不思議な神秘性が感じられるからだろう。この役をひたすらヴェリズモ的に演じて、泥臭くなってしまう歌手もいるが、オロペサの感情表現はあくまでも音楽的で、気品があり、オペラとして目指している次元が高い。いくら聴いていても「もっと聴きたくなる」声で、いくつかの響きは黄金期のマリア・カラスの録音を思い起こさせた(体格は全く違うというのに!)。微かに古典的な優美さがあり、何より物語の悲劇性が真に迫って伝わってくる。

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アルフレード役のフランチェスコ・メーリは若々しい美声でヴィオレッタへの愛を歌い、二重唱では甘い陶酔をロマンティックに伝えた。第2幕第2場でヴィオレッタを罵倒して札束を叩きつけるシーンも、ここではアルフレードの心情に思わず共感してしまう。メーリが演じるのは純粋な心の青年で、世間知らずで直情的で、愛がすべてだと信じている。同時にアルフレードは地上の豊かさや肉親の愛ともつながっている。

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第2幕第1場で息子を説得しにやってくるジェルモンを、モンゴル出身のアマルトゥブシン・エンクバートが演じ、見事な第一声から聴衆を驚かせた。ホール全体がこの歌手の声で振動しており、大自然の大きさに包み込まれているような心地になる。倍音がユニークで、声量もパワフルだが、一本調子にならず演劇的な説得力があるのが素晴らしい。「プロヴァンスの海と陸」の後に、長く熱狂的な拍手喝采が起こったのは自然なことだった。オペラ全体でのこの場面の重要さを改めて認識したのも、ジェルモンの声によるところが大きかった。

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ソフィア・コッポラ演出/ヴァレンティノ・ガラヴァーニ衣裳デザインの本プロダクションは2016年の初演時に映画化され、2018年の来日公演でも上演されたが、そのときの印象がほぼ吹き飛んでしまうほど、2023年の上演は新鮮で刺激的だった。喝采を浴びてピットに入った新音楽監督のミケーレ・マリオッティは、前奏曲の冒頭から弦楽器に繊細で悲劇的なフレージングを求め、この瞬間からオペラの終幕まで、オーケストラは物語のための緻密なサウンドを奏で続けた。一音たりとも惰性で鳴っていない。テンポも強弱も秒単位で変化していく。不安や悲しみを掻き立てる場面では、オーケストラが歌手に先んじて暗い色彩の音を敷き、歌手たちの感情が高揚するポイントではドラマティックなアクセントをつけていく。合唱が盛大に響き渡るとき、オーケストラも獰猛なほどワイルドに咆哮する。

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開幕記者会見でマリオッティは「『椿姫』は稽古のたび、上演のたびに新しい作品に感じられる」と語り、「自分がヴィオレッタなら、どうしてジェルモンの言うとおりにしたのかよく考えた」とも語っている。そこで、「ヴェルディ中期の」といった様式感や既成のさまざまなことからいったん意識を切り離し、心理表現としてオーケストラは何をすべきかを、ひとつひとつ検証していったのではないか。オペラ指揮者としてのキャリアは長いものの1979年生まれと若い世代で、広い視野でオペラを若返らせようとしている。音楽監督としての任期は2022年からスタートしているが、歴史も誇りもある歌劇場オーケストラを、ここまで新しくするには奏者たちとの間に葛藤や衝突もあったのではないか? そしてオーケストラはマリオッティについていくことに決めたのだ。オペラが始まってすぐにそれを察知した。カーテンコールに現れたマリオッティが、舞台に捧げられた花をピットに投げていた姿が印象的だった。

ソフィア・コッポラの演出は、2018年に観たときに見逃していた美点を、今回は幾つも見つけることが出来た。「オーソドックスでおとなしい」演出というのが第一印象だったが、エキセントリックな読み替えなどしなくても、「これは女の愛の物語である」ということを深く伝えてくれれば最善の演出なのだ。第3幕で、何度も手紙を読み返しながら恋人の帰りを待つヴィオレッタは、大きなベッドに枕を二つ並べて、自分の横を大きく空けて床に臥せっている。その描写が切なかった。ネイサン・クロウリーの美術はどの幕も美しく、屋外の自然の風景や光の効果が卓越している。ラストで、ヴィオレッタが一瞬蘇りを果たし、その後死を迎えるシーンで、照明が見事な効果を上げるのだが、その瞬間、オロペサの神がかり的な演技とともにホール全体が零度になった肌感覚があった。これは新しい『椿姫』で、歴史あるローマ歌劇場も新しく生まれ変わりつつある。「今、何かすごいことが起こっている」と思わずにいられない、熱狂の初日公演だった。

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取材・文 小田島久恵 フリーライター
Photos:Kiyonori Hasegawa

2023年9月13日

ローマ歌劇場「椿姫」9月13日(水)のキャスト

 指揮:ミケーレ・マリオッティ
Direttore:Michele Mariotti

演出:ソフィア・コッポラ
Regia:Sofia Coppola

合唱監督:チーロ・ヴィスコ
Maestro del Coro:Ciro Visco

美術:ネイサン・クロウリー
Scene:Nathan Crowley

衣裳:ヴァレンティノ・ガラヴァーニ   マリア・グラツィア・キウリ     ピエルパオロ・ピッチョーリ
Costumi:Valentino Garavani          Maria Grazia Chiuri        Pierpaolo Piccioli

振付:ステファヌ・ファヴォラン
Coreografia:Stéphane Phavorin

照明:ヴィニーチョ・ケーリ
Luci:Vinicio Cheli

照明補:ヤコポ・パンターニ
Riprese da:Jacopo Pantani

ビデオ:ロレンツォ・ブルーノ、イゴール・レンツェッティ
Video:Lorenzo Bruno, Igor Renzetti





ヴィオレッタ・ヴァレリー:リセット・オロペサ
Violetta Valery:Lisette Oropesa

フローラ・ベルヴォア:エカテリネ・ブアチゼ
Flora Bervoix:Ekaterine Buachidze
 
アルフレード・ジェルモン:フランチェスコ・メーリ
Alfredo Germont:Francesco Meli

ジョルジョ・ジェルモン:アマルトゥブシン・エンクバート
Giorgio Germont:Amartuvshin Enkbath

アンニーナ:マリアム・スレイマン
Annina:Mariam Suleiman

ドゥフォール男爵:ロベルト・アックールソ
Il Barone Douphol:Roberto Accurso

ドビニー侯爵:マッティア・ロッシ
Marchese d'Obigny:Mattia Rossi

グランヴィル医師:アンドリー・ガンチェク
Dottor Grenvil:Andrii Ganchuk


ガストン子爵 :エドゥアルド・ニアーヴェ
Gastone:Eduardo Niave

受託人:ダニエレ・マッシミ
Un Commissionario:Daniele Massimi

フローラの召使い:マウリツィオ・カッシャネッリ
Un Domestico di Flora:Maurizio Cascianelli


ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団、ローマ歌劇場バレエ団
Orchestra, Coro e Corpo di Ballo del Teatro dell'Opera di Roma





◆上演時間◆
第1幕 15:00-15:35
休憩   30分
第2幕第1場 16:05-16:45
休憩    20分
第2幕第2場  17:05⁻17:30
休憩    20分
第3幕  17:50-18:25








2023年9月12日

【レポート】ローマ歌劇場2023年日本公演開幕記者会見

 世界最高峰の歌手陣を迎えて『椿姫』(ヴェルディ)『トスカ』(プッチーニ)の上演を行うローマ歌劇場。2018年以来5年ぶりとなる引越公演は、パンデミック後に実現する大規模な海外公演として、聴衆だけでなく劇場側にとっても大きな期待を集めている。2022年から音楽監督を務めるミケーレ・マリオッティが二つの作品を指揮し、オペラ歌劇場全体が「若返り」を果たしていることも見逃せない。

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 2021年にローマ歌劇場総裁に着任したフランチェスコ・ジャンブローネ氏は、イタリア音楽界の要職を歴任し、パレルモ大学、フィレンツェ大学、ベッリーニ音楽院で教鞭をとっている。

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ローマ歌劇場総裁 フランチェスコ・ジャンブローネ

「日本の皆様が心から歓迎してくださり、大変な情熱をもって我々を受け入れてくださることに心から感謝しています。パンデミックを乗り越えて、再び大勢のオーケストラやスタッフをともなって公演が出来ることが何より嬉しいのです。今年は偉大なイタリアオペラ『椿姫』と『トスカ』を日本で上演します。『椿姫』ではヴァレンティノ・ガラヴァーニが衣裳をデザインし『トスカ』では今年生誕100年を迎えるフランコ・ゼッフィレッリが演出と装置を担当しました。ゼッフィレッリの『トスカ』は2008年以来上演されている、我々の素晴らしいプロダクションです。音楽面でもマリオッティ氏を迎え、今一番世界で活躍しておられる歌手の方々を揃えました」

 2011年のボローニャ歌劇場の来日公演以来、日本でも評価の高い指揮者ミケーレ・マリオッティは、ローマ歌劇場の音楽監督着任後から、新時代を象徴するプログラミングを行っている(2025/2026シーズンにはワーグナーの『ローエングリン』を上演予定)。来日公演ではイタリアオペラの名作を振る。

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ローマ歌劇場音楽監督 ミケーレ・マリオッティ

「『椿姫』と『トスカ』は両作品ともとても有名です。傑作というのはいつ聴いても新しく感じられ、毎回初演のような気持ちです。稽古をすればするほど新しい発見があり、2023年に新しい気持ちでこれらの楽譜を見ることには、何か意味があるのではないかと思います。これらの作品は女性に対する攻撃が題材になっているオペラなのです。『トスカ』の場合、2幕は完全に強い権力が女性を支配する物語として描かれています。トスカはそれに対抗して最終的に殺人を犯してしまいますが、本当に殺人というのは悪いことなのか? 勿論殺人は罪ですが、この場合の真実というものを深く考えさせられます。『椿姫』の場合は、ヴィオレッタは社会的な犠牲者として描かれますが、私はヴィオレッタというのは物凄く性格の強い女性だとつねづね考えているのです。なぜ彼女がジェルモンの言うことをそのまま聞いてアルフレードを諦めることにしたのか? 彼女は病に冒されていて、先の命が短いということを知っている。自分が恋人を諦めることによって彼が新しいファミリーを作り、新しい命が生まれることを選んだのではないでしょうか。それで、ジェルモンの言うとおりにしたのだと思います」

 マリオッティの『椿姫』の解釈に感動した様子で、この役を演じるリセット・オロペサが続ける。世界中の歌劇場が注目する若きソプラノは、驚異的な歌唱力と演技力の持ち主で、その実力は2022年の来日リサイタルでも実証済みだ。

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『椿姫』ヴィオレッタ役 リセット・オロペサ

「マエストロと歌劇場の皆さまと、ここに来られたことを嬉しく思います。『トスカ』と『椿姫』はとても違うように見えながら、共通項があります。はっきりと言えるのは、二人の女性が巨大な力...それが社会であれ一人の人間であれ...大きな力の犠牲者であったということです。トスカは、悪者の犠牲者です。一方ヴィオレッタは社会の犠牲になっていく女性。そして二人の女性は神に許しを求める...そんな瞬間がきます。ヴィオレッタと神との関係はとても複雑です。彼女はつねに罪人として生きている。罪を抱えていて、つぐないをしようと懸命ですが、救ってもらえない。彼女は病と社会の犠牲になり、救済はもたらされないわけです。それでも、音楽は本当に綺麗です。マエストロの解釈で歌えることを嬉しく思います」

 オロペサも絶賛するソニア・ヨンチェヴァは、現在最も理想的な『トスカ』を歌うスーパー・ディーヴァ。今シーズンもスカラ座やウィーン国立歌劇場への出演が絶賛を浴びたが、日本ではこの公演がオペラ・デビューとなる。 

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『トスカ』トスカ役 ソニア・ヨンチェヴァ

「2022年の来日コンサートでは、聴衆の皆様が本当に温かく迎えてくださって、とても素敵な思い出が出来ました。私の人生の中でもとても暖かな思い出です。今回は素晴らしい舞台装置と素晴らしい指揮で、イタリアを代表するオペラを歌えることを嬉しく思います。私自身はローマ歌劇場に参加するのは初めてなのです。トスカは何度も歌ってきましたが、歌うたびに登場人物に驚かされます。彼女はとても無邪気で情熱的な女性。この素晴らしい作品については、若い世代の人たちにもぜひ考えていただきたい。そういう作品です。注目してくださる皆様と協力して、次の世代に伝えていきたいと思っています」

 カヴァラドッシ役のグリゴーロに「グリゴーロサン」とマイクを渡すヨンチェヴァを受けて、それまでかけていたサングラスを外して、静かに英語で語り始めたグリゴーロ。

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『トスカ』カヴァラドッシ役 ヴィットリオ・グリゴーロ

「マエストロや素晴らしい音楽家の方々と同じステージに立てることを嬉しく思います。『トスカ』は私にとって宝物です。幼い頃からこのオペラの中で宝探しをしていました。1990年に初めてトスカの舞台に立ち(牧童役)、成長して、カヴァラドッシ役をここにいるソニアさんとともに演じたことを思い出しました。トスカは私にとって思い出であり、夢であり、挑戦です。そして、歌う場所、演出、マエストロが変われば、同じ舞台にはなりません。現在という時代は、人々が本当に満ち足りた気持ちになれるつながりというものが失われてしまっているのではないかと思います。現代人はメールや携帯に頼ってしまって、実際的な感触を失い、つながりを見失っているのかも知れません。ローマ歌劇場では、触れるような、香りを嗅ぐような『生きている感覚のオペラ』が体験できます。何より、それを感じていただきたいと思っています」

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 登壇者が語り終えるたびに大きな拍手が起こるという、例外的な記者会見だった。9月13日の『椿姫』でローマ歌劇場の来日公演は幕を開ける。


取材・文 小田島久恵 フリーライター
Photos:Shoko Matsuhashi

2023年9月 6日

パリ・オペラ座バレエ団2024年日本公演 公式サイトオープン!

来年2月に来日するパリ・オペラ座バレエ団。日本公演の公式サイトをオープンいたしました! 上演演目は同団の代名詞"ヌレエフ版"の「白鳥の湖」と、待望の日本初披露となる「マノン」。ジョゼ・マルティネスを新芸術監督に迎えた新生パリ・オペラ座の4年ぶりの来日公演、どうぞご期待ください。



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公式サイトはこちらから

2023年9月 4日

【速報】東京バレエ団 特別公演〈上野水香 オン・ステージ〉全国ツアー 浜松・横須賀公演 開催決定

このたび、東京バレエ団 特別公演〈上野水香 オン・ステージ〉全国ツアー 浜松・横須賀公演の開催が決定いたしました。上野の代表作のひとつであるベジャール振付の名作「ボレロ」をはじめとする多彩な演目を、東京バレエ団とともに上演します! 開催地、日時などは下記にてご確認ください。

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東京バレエ団 特別公演
〈上野水香 オン・ステージ〉全国ツアー

【浜松公演】
2024年3月30日(土) 13:00開演
会場: アクトシティ浜松・大ホール

【横須賀公演】
2024年3月31日(日) 16:00開演
会場:横須賀芸術劇場・大劇場



演目
「ボレロ」ほか


※その他演目は決定次第公式ホームページ等で発表いたします。
※音楽は特別録音による音源を使用します。
※チケット情報など公演の詳細の発表は11月上旬頃を予定しております。

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