2018年9月アーカイブ

2018年9月26日

【重要】10/1(月)以降、NBSチケットセンターでの電話予約の際、クレジットカードでのご決済が承れなくなります

 日頃よりNBS(日本舞台芸術振興会)の公演にあたたかいご声援をたまわり、誠にありがとうございます。

 このたび、割賦販売法の改正に伴い、10月1日(月)以降、NBSチケットセンターでの電話予約の際、クレジットカードでのご決済が承れなくなります。


 ただし、NBS WEBチケット(インターネット予約)では、今まで通り、クレジットカードでのご決済を承ります。


 チケットをご購入の際、クレジットカードでのご決済をご希望の場合は、セブン-イレブンでのお支払いの際にクレジットカードでご決済いただくか、NBS WEBチケットをご利用くださいますようお願い申し上げます。


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TEL:03-3791-8888(平日10:00-18:00/土曜10:00-13:00 日祝休)

2018年9月22日

ローマ歌劇場「マノン・レスコー」9月22日(土)のキャスト

ジャコモ・プッチーニ作曲 「マノン・レスコー」 全4幕
Giacomo Puccini  Manon Lescaut  Dramma lirico in quattro atti


指揮:ドナート・レンツェッティ
Direttore:Donato Renzetti
演出:キアラ・ムーティ
Regia:Chiara Muti
合唱監督:ロベルト・ガッビアーニ
Maestro del Coro:Roberto Gabbiani
美術:カルロ・チェントラヴィーニャ
Scene:Carlo Centolavigna
衣裳:アレッサンドロ・ライ
Costumi:Alessandro Lai
振付:ラッファエーレ・シチニャーノ
Movimenti Mimici:Raffaele Sicignano
照明:ヴィンセント・ロングエマーレ
Luci:Vincent Longuemare



マノン・レスコー:クリスティーネ・オポライス
Manon Lescaut:Kristine Opolais
レスコー:アレッサンドロ・ルオンゴ
Lescaut:Alessandro Luongo
騎士デ・グリュー:グレゴリー・クンデ
Il Cavaliere Renato Des Grieux:Gregory Kunde
ジェロンテ・デ・ラヴォワール:マウリツィオ・ムラーロ
Geronte de Ravoir:Maurizio Muraro
エドモンド:アレッサンドロ・リベラトーレ
Edmondo:Alessandro Liberatore
宿屋の主人:ヴィンチェンツォ・サントーロ
L'oste:Vincenzo Santoro
音楽家:ガイア・ペトローネ
Un musico:Gaia Petrone
舞踊教師:アンドレア・ジョヴァンニーニ
Il maestro di ballo:Andrea Giovannini
点灯夫:ジャンルーカ・フローリス
Il lampionaio:Gianluca Floris
軍曹:カルロ・マリンヴェルノ
Sergente degli arcieri:Carlo Malinverno
船長:ロレンツォ・グランテ
Il Comandante di Marina:Lorenzo Grante

ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団
Orchestra e Coro del Teatro dell'Opera di Roma



◆上演時間◆


第1幕    15:00-15:45
休憩        30分
第2幕    16:15-16:55
休憩        30分
第3幕(転換5分)第4幕   17:25-18:15

2018年9月20日

ローマ歌劇場「マノン・レスコー」9月20日(木)のキャスト

ジャコモ・プッチーニ作曲 「マノン・レスコー」 全4幕
Giacomo Puccini  Manon Lescaut  Dramma lirico in quattro atti


指揮:ドナート・レンツェッティ
Direttore:Donato Renzetti
演出:キアラ・ムーティ
Regia:Chiara Muti
合唱監督:ロベルト・ガッビアーニ
Maestro del Coro:Roberto Gabbiani
美術:カルロ・チェントラヴィーニャ
Scene:Carlo Centolavigna
衣裳:アレッサンドロ・ライ
Costumi:Alessandro Lai
振付:ラッファエーレ・シチニャーノ
Movimenti Mimici:Raffaele Sicignano
照明:ヴィンセント・ロングエマーレ
Luci:Vincent Longuemare



マノン・レスコー:クリスティーネ・オポライス
Manon Lescaut:Kristine Opolais
レスコー:アレッサンドロ・ルオンゴ
Lescaut:Alessandro Luongo
騎士デ・グリュー:グレゴリー・クンデ
Il Cavaliere Renato Des Grieux:Gregory Kunde
ジェロンテ・デ・ラヴォワール:マウリツィオ・ムラーロ
Geronte de Ravoir:Maurizio Muraro
エドモンド:アレッサンドロ・リベラトーレ
Edmondo:Alessandro Liberatore
宿屋の主人:ヴィンチェンツォ・サントーロ
L'oste:Vincenzo Santoro
音楽家:ガイア・ペトローネ
Un musico:Gaia Petrone
舞踊教師:アンドレア・ジョヴァンニーニ
Il maestro di ballo:Andrea Giovannini
点灯夫:ジャンルーカ・フローリス
Il lampionaio:Gianluca Floris
軍曹:カルロ・マリンヴェルノ
Sergente degli arcieri:Carlo Malinverno
船長:ロレンツォ・グランテ
Il Comandante di Marina:Lorenzo Grante

ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団
Orchestra e Coro del Teatro dell'Opera di Roma



◆上演時間◆


第1幕    15:00-15:45
休憩        30分
第2幕    16:15-16:55
休憩        30分
第3幕(転換5分)第4幕   17:25-18:15

2018年9月19日

アリシア・アマトリアン(シュツットガルト・バレエ団) スペシャル・インタビュー

 ドイツの名門、シュツットガルト・バレエ団の日本公演まであと1か月半! 振付家ジョン・クランコの傑作『オネーギン』、『白鳥の湖』の上演を心待ちにしているバレエファンの方も多いのではないでしょうか? 

 そんな傑作を彩るのはバレエ団が誇る魅力的なダンサーたち。本日は『オネーギン』、『白鳥の湖』でいずれも初日のヒロインをつとめるアリシア・アマトリアンのスペシャル・インタビューをお贈りします。



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---- スペイン北部のサンセバスチャン出身のアマトリアンさんは、弱冠14歳の時にジョン・クランコ・バレエ学校に入学して以来、シュツットガルトでキャリアを歩んできました。

 「地元のサマースクールでジョン・クランコバレエ学校の教師のレッスンを受け、シュツットガルトで勉強するように勧められたことがきっかけです。家族の許を離れるのは辛かったけれど、今ではシュツットガルトは私のもう一つの故郷、バレエ団は家族のような存在になりました」


---- バレエ学校のカリキュラムは、どのような内容でしたか。

 「オーソドックスなバレエのトレーニングを受けました。でも在学中からバレエ団の公演でクランコ作品をそれこそ浴びるように見ますから、スクール出身者は自然とクランコ振付のスタイルを吸収しているんですよ」


---- クランコの聖地でクランコ作品を踊る......。それはダンサーにとって、どのような感覚なのでしょうか。

 「何物にも代えられない喜びと、身の引き締まるような緊張感を感じます。歴代のダンサーが踊るクランコ作品を見てきたシュツットガルトの観客は、世界でいちばん厳しい目を持っていますから。といっても、彼らはとてもオープンで、現役ダンサー達なりの演技を受け入れてくれます。いにしえの偉大なダンサーを模倣する必要はありません。私達は、臆することなくチャレンジできるんです」


---- 11月の日本公演で共演するフリーデマン・フォーゲルさんも、シュツットガルト生え抜きのダンサーです。

 「彼は一緒に勉強し、何度も共演してきたパートナーです。舞台の上で、互いの気持ちを感じ合えるので、同じ作品で同じ役柄を演じても、型通りの演技にはなりません。たとえば『オネーギン』のヒロイン、タチヤーナに扮した私が何気なく身じろぎをすると、オネーギンになりきったフリーデマンは、思いもよらない視線を返してくる。すると、私の心にいつもと違う感情が湧き上がり、二人の関係に微妙な変化が生じます。これが信頼できるパートナーと作り上げる、生の舞台の醍醐味ですね」


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---- もう一つの演目、『白鳥の湖』もクランコの振付・演出による全幕作品です。

 「尽きない魅力を持った作品です。なかでもクランコ版独自の悲痛な場面で締めくくられる第四幕は、踊るたびに心を揺さぶられます。このフィナーレに到達するために全幕が構成されたと思える程に、ドラマチック。二人が踊る別れのデュエットは、クランコ作品の真髄だと思います。オデットは王子との愛を貫けるかもしれない、という微かな望みを抱くけれど、次の瞬間、全てを失い、白鳥の姿に戻らなくてはならない。こんなに悲しい別れがあるでしょうか」


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---- 王子は湖畔でオデットに愛を誓いますが、舞踏会に現れた悪魔の娘オディールに求婚してしまいます。アマトリアンさんは、王子とオデットの愛をどう受け止めていますか。

 「オデットと王子は、湖畔で出会った途端、恋に落ちました。一目、見ただけでも、それが真実の愛だと二人には分かるのよ。私自身、一目惚れした男性と結婚したんですもの! 王子がオディールに求婚したのは、彼女がオデットだと信じていたから。彼にはオデットのために全てを捧げる決意があって、その結果、命を落としてしまう。つまり王子は、オディールにもてあそばれたのです」


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---- クランコ版『白鳥の湖』は主人公の心の動きを細やかに描き出す一方で、古典作品ならではのテクニックの見せ場もふんだんにあります。

 「オデットが湖畔で踊るソロからオディールが舞踏会で披露するグラン・フェッテまで、ほんとうに難しい技巧を踊りこなさなくてはなりません。白鳥の化身になりきるために、手脚の一つひとつの関節をしなやかに、軽やかに使いこなすことも不可欠です。でも、いちばん大切なのは、踊りを通して物語を語り、観客の心に訴えかけること。『白鳥の湖』は、バレリーナとしての自分が試される大作です。起伏に富んだドラマを演じ、技巧を凝らしたデュエットやソロを踊り終えて舞台の幕が下りた時、心身ともに空っぽになり、虚脱感を感じるほどです」


---- タマシュ・デートリッヒ新・芸術監督に率いられた初のシーズンが始まろうとしています。

 「タマシュは、バレエ団に新たなエネルギーを与えてくれるでしょう。ケネス・マクミランの『うたかたの恋』など、レパートリーに新たな作品が加わることも楽しみです。個人的には、マクミランの『マノン』を踊ることを夢見ていますが、実現するかどうかは、運に任せます。1999年に入団してから、思い描いていた以上に素晴らしいチャンスに恵まれてきたので、これまで通り、全力で踊り続けること。これが今の私の目標です」


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取材・文:上野房子(ダンス評論家)



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2018年9月17日

ローマ歌劇場「椿姫」9月17日(月祝)のキャスト

ジュゼッペ・ヴェルディ作曲 「椿姫」 全3幕
Giuseppe Verdi  La Traviata  Opera in tre atti


指揮:ヤデル・ビニャミーニ
Direttore:Jader Bignamini
演出:ソフィア・コッポラ
Regia:Sofia Coppola
合唱監督:ロベルト・ガッビアーニ
Maestro del Coro:Roberto Gabbiani
美術:ネイサン・クロウリー
Scene:Nathan Crowley

衣裳:ヴァレンティノ・ガラヴァーニ、マリア・グラツィア・キウリ、ピエールパオロ・ピッチョーリ
Costumi:Valentino Garavani, Maria Grazia Chiuri, Pierpaolo Piccioli
振付:ステファヌ・ファヴォラン
Coreografia:Stéphane Phavorin

照明:ヴィニーチョ・ケーリ
Luci:Vinicio Cheli

演出補:マリーナ・ビアンキ
Regista collaboratore:Marina Bianchi

美術補:レイラ・フテイタ
Scenografo collaboratore:Leila Fteita
ビデオ:イゴール・レンツェッティ、ロレンツォ・ブルーノ
Video:Igor Renzetti, Lorenzo Bruno

再演演出:アリアンナ・サルツァーノ
Regia ripresa da:Arianna Salzano

再演照明:ジャンカルロ・アミコ
Luci ripresa da:Giancarlo Amico



ヴィオレッタ・ヴァレリー:フランチェスカ・ドット
Violetta Valéry:Francesca Dotto
フローラ・ベルヴォア:エリカ・ベレッティ
Flora Bervoix:Erika Beretti
アルフレード・ジェルモン:アントニオ・ポーリ
Alfredo Germont:Antonio Poli
ジョルジョ・ジェルモン:アンブロージョ・マエストリ
Giorgio Germont:Ambrogio Maestri
アンニーナ:キアラ・ピエレッティ
Annina:Chiara Pieretti
ドゥフォール男爵:ロベルト・アックールソ
Barone Douphol:Roberto Accurso
ドビニー侯爵:アンドレア・ポルタ
Marchese D'Obigny:Andrea Porta
グランヴィル医師:グラツィアーノ・ダッラヴァッレ
Dottor Grenvil:Graziano Dallavalle
ガストーネ子爵:ピエトロ・ピコーネ
Gastone:Pietro Picone

ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団、ローマ歌劇場バレエ団
Orchestra, Coro e Corpo di Ballo del Teatro dell'Opera di Roma



◆上演時間◆


第1幕    15:00-15:35

休憩        30分

第2幕 第1場 16:05-16:45

休憩        20分

第2幕 第2場 17:05-17:30

休憩        20分

第3幕    17:50-18:30

2018年9月16日

ローマ歌劇場「マノン・レスコー」9月16日(日)のキャスト

ジャコモ・プッチーニ作曲 「マノン・レスコー」 全4幕
Giacomo Puccini  Manon Lescaut  Dramma lirico in quattro atti


指揮:ドナート・レンツェッティ
Direttore:Donato Renzetti
演出:キアラ・ムーティ
Regia:Chiara Muti
合唱監督:ロベルト・ガッビアーニ
Maestro del Coro:Roberto Gabbiani
美術:カルロ・チェントラヴィーニャ
Scene:Carlo Centolavigna
衣裳:アレッサンドロ・ライ
Costumi:Alessandro Lai
振付:ラッファエーレ・シチニャーノ
Movimenti Mimici:Raffaele Sicignano
照明:ヴィンセント・ロングエマーレ
Luci:Vincent Longuemare



マノン・レスコー:クリスティーネ・オポライス
Manon Lescaut:Kristine Opolais
レスコー:アレッサンドロ・ルオンゴ
Lescaut:Alessandro Luongo
騎士デ・グリュー:グレゴリー・クンデ
Il Cavaliere Renato Des Grieux:Gregory Kunde
ジェロンテ・デ・ラヴォワール:マウリツィオ・ムラーロ
Geronte de Ravoir:Maurizio Muraro
エドモンド:アレッサンドロ・リベラトーレ
Edmondo:Alessandro Liberatore
宿屋の主人:ヴィンチェンツォ・サントーロ
L'oste:Vincenzo Santoro
音楽家:ガイア・ペトローネ
Un musico:Gaia Petrone
舞踊教師:アンドレア・ジョヴァンニーニ
Il maestro di ballo:Andrea Giovannini
点灯夫:ジャンルーカ・フローリス
Il lampionaio:Gianluca Floris
軍曹:カルロ・マリンヴェルノ
Sergente degli arcieri:Carlo Malinverno
船長:ロレンツォ・グランテ
Il Comandante di Marina:Lorenzo Grante

ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団
Orchestra e Coro del Teatro dell'Opera di Roma



◆上演時間◆


第1幕    15:00-15:45
休憩        30分
第2幕    16:15-16:55
休憩        30分
第3幕(転換5分)第4幕   17:25-18:15

2018年9月15日

ローマ歌劇場2018年日本公演『マノン・レスコー』 ~ゲネプロ・レポート~

 ローマ歌劇場『マノン・レスコー』のゲネプロが、二日後に初日を控えた9/14に神奈川県民ホールで行われた。キアラ・ムーティの演出が話題のこのプロダクション、「演出は伝統的なもの」と記者会見では知らされていたが、舞台装置はかなりコンセプチュアルで、会見で語られたキアラの言葉通り「17世紀の文学作品に登場した砂漠」が、見え方は少しずつ異なるが、すべての幕に存在する。冒頭シーンは現代アートを見るような印象だったが、この「砂漠」の意図が終幕にむかって次第に明晰になっていく。衣装は17世紀の時代考証に添ったクラシカルなものだが、『椿姫』に負けず劣らず美しいもので、合唱団もこの衣装を纏って大活躍する。エキストラはバレエのパ・ド・ドゥ的な動きや同じポーズでの長い静止など、凝ったことをたくさん行っていた。脇役一人一人が演劇的に大変細かいことを行っていて、どこを見ていても飽きない。


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オーケストラが「聴いたこともない美しい音」


 オペラで第一声を放つエドモンド役のアレッサンドロ・リベラトーレは絶好調で、「ああ、素晴らしい、美しい夜」を朗々と歌い上げ、ローマ歌劇場合唱団も若者の元気な声でついていく。合唱もオーケストラも同じはずだが、『椿姫』とはガラリと性格が変わるのが面白い。デ・グリュー役のグレゴリー・クンデも本番の舞台のように惜しみなく歌う。デ・グリューが目惚れしたマノンの名前をオウム返しにして歌う「見たこともない美しい人」で、早くもオペラの陶酔は最初のピークを迎えた。テノールの独唱も素晴らしいが、オーケストラが「聴いたこともない美しい音」なのだ。指揮者のドナート・レンツェッティは、稽古ではオケと一緒に大きな声で歌っていたが、ゲネプロでは勿論歌わない。そのかわりに、オーケストラが全部マエストロの歌声のようであった。このオケのワイルドな性格がすべていい方向に舵取られていて、大胆でドラマティックでありながら、宝石のような高貴な輝きも解き放たれていた。


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オポライスはどこから見ても男を狂わせる魔性の女そのもの


 マノン・レスコー役のクリスティーネ・オポライスは背が高く舞台映えがし、金髪に水色のドレスがよく似合い、どのアングルから見ても男を狂わせる魔性の女そのものだ。憂いのある暗めの声だが、オーケストラの轟音を突き抜けて天井に届く特別な響きがあり、2幕の「この柔らかなレースに包まれても」は歌手の劇的表現の極致をみる思いだった。裏切ったデ・グリューとの再会の場面では、姿・声ともに凄みのある妖艶さで愛の二重唱を歌い上げる。マノンを囲う老いたジェロンテ・デ・ラヴォワールをバス・バリトンのマウリツィオ・ムラーロが演じたが、滑稽さと恐ろしさを同時に表現する難しい役を完璧にこなしていて、迫力のある美声だった。


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プッチーニが描いたマノンは、最初から自分の悲しい運命を予知している


 ジェロンテを愚弄してデ・グリューと逃げようとしたため捕らえられたマノンの運命は坂道を転がるようにスピーディに暗転していく。3幕のル・アーブルの港のシーンでは、罪を犯した若い女たちが藁袋のように扱われ、エキストラの女優たちが真剣な演技を見せた。背後をゆっくり横切る船のセットが美しい。4幕は最も暗く、流刑地ニュー・オーリンズの何もない砂漠の中で、瀕死のマノンとデ・グリューが互いを支え合う。ずっと舞台の上にあった砂漠がここで初めて全面に出てくるのだが、マノンの歌詞によって伝えられる恐怖を、観客も同時に感じる恐ろしい世界だった。文字通りの地の果てで、命をつないでくれるものは何もない。「プッチーニが描いたマノンは、最初から自分の悲しい運命を予知している」と語ったキアラは、さまざまな意図をこめて最初から舞台に砂漠を置いたのだろう。


 オポライスはラストシーンで最も強く輝いた。終幕へ向かって全力でマノンの悲劇を体現し、クンデもドラマの炎の中に身を投じていった。劇的カタルシスは凄まじく、ゲネプロであることを忘れるほどで、歌劇場スタッフと見学者たちから長い拍手が巻き起こる。オポライスは何度も何度もオケピに投げキッスをし、指揮者のレンツェッティは見事なヒロインを演じ切ったオポライスに尊敬の意を表し、そのレンツェッティにキアラ・ムーティが感謝の抱擁をしていた。作品という作曲家の遺言を引き継ぐ音楽家たちの情熱によって、至高のプッチーニの上演が果たされた夜だった。



取材・文:小田島久恵(音楽ライター)



ローマ歌劇場2018年日本公演 公式HPはこちら>>>

ローマ歌劇場「椿姫」9月15日(土)のキャスト

ジュゼッペ・ヴェルディ作曲 「椿姫」 全3幕
Giuseppe Verdi  La Traviata  Opera in tre atti


指揮:ヤデル・ビニャミーニ
Direttore:Jader Bignamini
演出:ソフィア・コッポラ
Regia:Sofia Coppola
合唱監督:ロベルト・ガッビアーニ
Maestro del Coro:Roberto Gabbiani
美術:ネイサン・クロウリー
Scene:Nathan Crowley

衣裳:ヴァレンティノ・ガラヴァーニ、マリア・グラツィア・キウリ、ピエールパオロ・ピッチョーリ
Costumi:Valentino Garavani, Maria Grazia Chiuri, Pierpaolo Piccioli
振付:ステファヌ・ファヴォラン
Coreografia:Stéphane Phavorin

照明:ヴィニーチョ・ケーリ
Luci:Vinicio Cheli

演出補:マリーナ・ビアンキ
Regista collaboratore:Marina Bianchi

美術補:レイラ・フテイタ
Scenografo collaboratore:Leila Fteita
ビデオ:イゴール・レンツェッティ、ロレンツォ・ブルーノ
Video:Igor Renzetti, Lorenzo Bruno

再演演出:アリアンナ・サルツァーノ
Regia ripresa da:Arianna Salzano

再演照明:ジャンカルロ・アミコ
Luci ripresa da:Giancarlo Amico



ヴィオレッタ・ヴァレリー:フランチェスカ・ドット
Violetta Valéry:Francesca Dotto
フローラ・ベルヴォア:エリカ・ベレッティ
Flora Bervoix:Erika Beretti
アルフレード・ジェルモン:アントニオ・ポーリ
Alfredo Germont:Antonio Poli
ジョルジョ・ジェルモン:アンブロージョ・マエストリ
Giorgio Germont:Ambrogio Maestri
アンニーナ:キアラ・ピエレッティ
Annina:Chiara Pieretti
ドゥフォール男爵:ロベルト・アックールソ
Barone Douphol:Roberto Accurso
ドビニー侯爵:アンドレア・ポルタ
Marchese D'Obigny:Andrea Porta
グランヴィル医師:グラツィアーノ・ダッラヴァッレ
Dottor Grenvil:Graziano Dallavalle
ガストーネ子爵:ピエトロ・ピコーネ
Gastone:Pietro Picone

ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団、ローマ歌劇場バレエ団
Orchestra, Coro e Corpo di Ballo del Teatro dell'Opera di Roma



◆上演時間◆


第1幕    15:00-15:35

休憩        30分

第2幕 第1場 16:05-16:45

休憩        20分

第2幕 第2場 17:05-17:30

休憩        20分

第3幕    17:50-18:30

2018年9月14日

キアラ・ムーティが語る『マノン・レスコー』

先日行われたローマ歌劇場2018年日本公演、開幕記者会見では『マノン・レスコー』の演出をしたキアラ・ムーティが本作の演出コンセプトをたっぷりと語ってくれました。演出家本人の語る作品への想い、どうぞお読みください。



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キアラ・ムーティ



 「『マノン・レスコー』はアヴェ・プレヴォーの文学作品(『騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語』1731年)が原作になっていて、プッチーニはジュール・マスネの『マノン』を見て大変感動し、同じ物語でオペラを書きました。プレヴォ―の原作は1700年代を舞台にした文学的にも非常に重要な作品です。二つのオペラは、一方はフランス的で、一方はイタリア的です。マスネの『マノン』では、マノンはとてもずる賢い派手好きな女性として描かれていて、音楽的にも有名なメヌエットに代表されるように非常に壮麗です。プッチーニの音楽はエモーショナルで、マノンは最初から自分の運命に何が起こるかを予感している女性です。男性に頼ることよって自分の運命が操られてしまう...限定されてしまうということを知っているのです。マノンは自分の意志をもっていました。自分自身が幸せになりたい。そのために、お腹がすいていたり貧乏でいたりということは避けたい。しかし、最後は愛に生きて死を迎えてしまう。重要なのは、1700年の世界を砂漠の上に作り上げたということです。最後マノンは砂漠で朽ち果て、彼女自身が自分を「砂漠のように枯れ果てた存在である」と口にして死んでいきます。幸せを求めていたけれど、それが果てせず死んでいく。その舞台が砂漠なのです」


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 「自分自身が女性であるということは、確かにオペラのヒロイン像を創り上げていくのに役に立っている部分があるかも知れません。女性特有のニュアンスであるとか...16歳から18歳くらいの女性が経験すること、青春時代の初恋のときめきといった気持ちを演じるのに、女性の立場から助言することも出来ます。同時に、私の師匠のジョルジョ・ストレーレルは『作品の中に入り込んでいくことが重要だ』と教えてくれました。 

『マノン・レスコー』は女性のことだけを語っているわけではなく、社会のことだけを語っているのでもない。マノンを愛人にするジェロンテは、かなり男性的な要素があると思います。作品の中に入っていくことに関しては、女性であるとか男性であるということは、あまり関係がないのではないかと思います」


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 「マノンを演じるクリスティーネ・オポライスは信じがたいほどの女優で、彼女は歌手である以前に女優なのです。声、声、声だけの歌手もいますが...オポライスに演技をつけながら、私自身が感動してしまったほど。デ・グリュー役のグレゴリー・クンデも素晴らしい歌手です。また、この来日公演ではエキストラの日本のダンサーや俳優たちに助けられています。イタリアと日本という全く違う文化の中で、プッチーニの世界を創り上げていくことは大変なのではないかと思います。皆さん努力を惜しまずに、朝から晩まで辛い顔ひとつせずに稽古につきあってくださる。このことに感動していますし、お礼を申し上げたい。残念ながらイタリアではこのような経験はなかなか得られないのです」



取材・文:小田島久恵(音楽ライター)



ローマ歌劇場2018年日本公演 公式HPはこちら>>>

2018年9月12日

ローマ歌劇場2018年日本公演『マノン・レスコー』 音楽稽古レポート

 初来日となる旬のディーバ、クリスティーネ・オポライスを主役に迎えて、9月16日に神奈川県民ホールで初日を迎えるローマ歌劇場『マノン・レスコー』。ゲネプロでもなくハウプト・プローベでもない、舞台に横並びになった歌手たちとオーケストラによるリハーサルが9月11日に東京文化会館で行われた。舞台セットは、翌日に上演される『椿姫』のままで、そこにクリスティーネ・オポライス、デ・グリュー役のグレゴリー・クンデ、ジェロンデ役のマウリツィオ・ムラーロ、エドモンドのアレッサンドロ・リベラトーレが並んだ。彼らは舞台の左側に並び、少し離れた右側に一人だけレスコー役のアレッサンドロ・ルオンゴがスタンバイしている。ソロ歌手は皆リラックスした私服だが、オポライスだけはリハーサルでの装いも華やかで、シルバーのジャケットとノースリーブのトップス、長い脚を際立たせるスリムパンツが印象的だった。


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 午前10時半から行われたリハーサルは、最初に各幕のハイライト部分の調整が行われ、10分の休憩をはさんだ後に一幕が始まった。華やかなイントロダクションの音楽が始まった瞬間、歌手たちも浮き浮きと身体を動かす。歌手全員が、プッチーニの音楽が好きでたまらないといった様子だ。ベテランのマエストロ、ドナート・レンツェッティの指揮は芳醇の極みを尽くしたサウンドをローマ歌劇場オーケストラが引き出し、それは色彩に例えるなら黄金の音だった。『マノン...』のどの録音からも聞こえなかったフルートの華やぎ、ハープの陶酔、弦のきらめきが立体的に飛び出し、ホールを満たした。ムーティ時代に鍛えられた楽員が半分以上いることも心強いが、熟練した指揮者であるレンツェッティはこのオーケストラから格別の響きを引き出す秘術を知っているようだった。


 歌手たちも本番並みに惜しみなく歌う。デ・グリューのクンデは上機嫌で、素晴らしい冒頭を歌ったエドガルド役のリベラトーレと若者同士の晴れやかな歌を歌う。テンポは変幻自在で、アッチェレランドが多用され、青春のドキドキするような胸の鼓動を音楽で表しているかのようだ。マノン・レスコーとデ・グリューの出会いのシーンは音楽的な興奮がピークに達したところで描かれるが、宿命の男女が向き合う瞬間は聖堂の中にいる心地がし、プッチーニが教会オルガニストの家系に生まれた音楽家であることが思い出された。


「最高の女優」と演出のキアラ・ムーティから絶賛されたオポライスは、硬質な中にふくよかな伸びやかさをもつ声で、その個性を一言で言い表すのが難しい。華やかさの中に厳しさがあり、無限の優しさや女性らしさも秘められている。音程は正確で、発声には高貴な気品が感じられる。デ・グリュー役のクンデによる「見たこともない美しい人」は前半の大きな聴きどころ。歌とオーケストラが溶け合ったときの至福は、言葉に尽くしがたい。


 この日のリハーサルは歌手全員が雲の上で遊ぶ音楽の神々のようで、皆プッチーニの王国にいる幸福感を噛みしめていた。ピットからは、始終マエストロ・レンツェッティの歌声が聞こえる。合唱部分もマエストロが大声で歌い、オーケストラもぞんぶんに歌う。濃密な歌とワイルドなエモーションに満ちたこの音は、「ローマの音」なのだろうか。劇場オーケストラのアイデンティティを感じた。


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 2幕では、レスコーとジェロンテはそのままで、デ・グリューとマノンはカヴァー歌手が歌った。マノン役のスヴェトラーナ・カシヤンはボリショイ劇場などで歌っている歌手らしいが、オポライスより小柄だがパワフルな発声で、美しい声を聴かせた。オポライスほどのカリスマ性はまだないが、実力派の歌手として今後出てくる逸材かも知れない。そして、この2幕でも、オーケストラが...やはり途轍もなく素晴らしい。レスコー役のルオンゴが、オケの音の渦の中にいることが嬉しくて仕方ない、という仕草で踊るように歌っていた。オペラ歌手が危険なパッセージも勇敢に歌うことができるのは、作曲家のスコアから大きな勇気をもらうからなのだろう。舞台を見守るプッチーニの「存在」をあらゆる瞬間に感じるリハーサルだった。終了は午後2時。歌手たちはこの後、舞台セットが組まれている神奈川県民ホールへ向かい、演劇面での調整を行った。1894年からローマ歌劇場のレバートリーとして上演されてきた名作『マノン・レスコー』の日本公演は、着々と完成に近づいている。


取材・文:小田島久恵(音楽ライター)



ローマ歌劇場2018年日本公演 公式HPはこちら>>>

ローマ歌劇場「椿姫」9月12日(水)のキャスト

ジュゼッペ・ヴェルディ作曲 「椿姫」 全3幕
Giuseppe Verdi  La Traviata  Opera in tre atti


指揮:ヤデル・ビニャミーニ
Direttore:Jader Bignamini
演出:ソフィア・コッポラ
Regia:Sofia Coppola
合唱監督:ロベルト・ガッビアーニ
Maestro del Coro:Roberto Gabbiani
美術:ネイサン・クロウリー
Scene:Nathan Crowley

衣裳:ヴァレンティノ・ガラヴァーニ、マリア・グラツィア・キウリ、ピエールパオロ・ピッチョーリ
Costumi:Valentino Garavani, Maria Grazia Chiuri, Pierpaolo Piccioli
振付:ステファヌ・ファヴォラン
Coreografia:Stéphane Phavorin

照明:ヴィニーチョ・ケーリ
Luci:Vinicio Cheli

演出補:マリーナ・ビアンキ
Regista collaboratore:Marina Bianchi

美術補:レイラ・フテイタ
Scenografo collaboratore:Leila Fteita
ビデオ:イゴール・レンツェッティ、ロレンツォ・ブルーノ
Video:Igor Renzetti, Lorenzo Bruno

再演演出:アリアンナ・サルツァーノ
Regia ripresa da:Arianna Salzano

再演照明:ジャンカルロ・アミコ
Luci ripresa da:Giancarlo Amico



ヴィオレッタ・ヴァレリー:フランチェスカ・ドット
Violetta Valéry:Francesca Dotto
フローラ・ベルヴォア:エリカ・ベレッティ
Flora Bervoix:Erika Beretti
アルフレード・ジェルモン:アントニオ・ポーリ
Alfredo Germont:Antonio Poli
ジョルジョ・ジェルモン:アンブロージョ・マエストリ
Giorgio Germont:Ambrogio Maestri
アンニーナ:キアラ・ピエレッティ
Annina:Chiara Pieretti
ドゥフォール男爵:ロベルト・アックールソ
Barone Douphol:Roberto Accurso
ドビニー侯爵:アンドレア・ポルタ
Marchese D'Obigny:Andrea Porta
グランヴィル医師:グラツィアーノ・ダッラヴァッレ
Dottor Grenvil:Graziano Dallavalle
ガストーネ子爵:ピエトロ・ピコーネ
Gastone:Pietro Picone

ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団、ローマ歌劇場バレエ団
Orchestra, Coro e Corpo di Ballo del Teatro dell'Opera di Roma



◆上演時間◆


第1幕    15:00-15:35

休憩        30分

第2幕 第1場 16:05-16:45

休憩        20分

第2幕 第2場 17:05-17:30

休憩        20分

第3幕    17:50-18:30

2018年9月11日

速報! 英国ロイヤル・オペラ2019年日本公演 開催期間、演目、出演者発表

 これまでも日本で数々の名演を披露してきた現代を代表する名指揮者、アントニオ・パッパーノ。自身が音楽監督をつとめる英国ロイヤル・オペラ(以下ROH)の任期最後の日本公演を行うことが決定しました。2002年にパッパーノが就任して以来、ROHは飛躍的にレパートリーを拡充し、オーケストラ、合唱のレベルを向上させました。これはひとえに、劇場で長い下積みを重ね、オペラを熟知しているパッパーノの力によるものだと、英国の厳しいメディアも認めているところです。そんなパッパーノの17年間の集大成となるのが、2019年の日本公演です。どうぞご期待ください。



■開催期間
2019年9月13日(金)~9月24日(火)


■演目/出演者
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲 キース・ウォーナー演出
『オテロ』  
【指揮】アントニオ・パッパーノ    
【演出】キース・ウォーナー     
【出演】グレゴリー・クンデ(オテロ)、フラチュヒ・バセンツ(デズデモナ)、ジェラルド・フィンリー(ヤーゴ) 他


600_2796ashm_1746 OTELLO PRODUCTION IMAGE (C) ROH. PHOTO BY CATHERINE ASHMORE.jpg

シャルル・グノー作曲 デヴィッド・マクヴィカー演出
『ファウスト』  
【指揮】アントニオ・パッパーノ   
【演出】デヴィッド・マクヴィガー  
【出演】ヴィットリオ・グリゴーロ(ファウスト)、ソーニャ・ヨンチェヴァ(マルグリート)、イルデブランド・ダルカンジェロ(メフィストフェレス) 他


600_FAUST 2495ashm_1115 - PRODUCTION IMAGE (C) CATHERINE ASHMORE.jpg

※公演日程、会場、料金等の詳細は近日発表予定です。いましばらくお待ちください。

photos:Catherine Ashmore/ROH

2018年9月10日

ローマ歌劇場2018年日本公演 『マノン・レスコー』主演 クリスティーネ・オポライスからのメッセージ

 昨日開幕したローマ歌劇場2018年日本公演。今回の公演では『椿姫』に主演するフランチェスカ・ドット、『マノン・レスコー』に主演するクリスティーネ・オポライスがともに記念すべき日本デビューをむかえます。

 クリスティーネ・オポライスから、日本のファンに向けてビデオメッセージが届きましたのでご紹介します。チャーミングな素顔が垣間見える、素敵なメッセージです。



ローマ歌劇場2018年日本公演 公式HPはこちら>>>

2018年9月 9日

ローマ歌劇場「椿姫」9月9日(日)のキャスト

ジュゼッペ・ヴェルディ作曲 「椿姫」 全3幕
Giuseppe Verdi  La Traviata  Opera in tre atti


指揮:ヤデル・ビニャミーニ
Direttore:Jader Bignamini
演出:ソフィア・コッポラ
Regia:Sofia Coppola
合唱監督:ロベルト・ガッビアーニ
Maestro del Coro:Roberto Gabbiani
美術:ネイサン・クロウリー
Scene:Nathan Crowley

衣裳:ヴァレンティノ・ガラヴァーニ、マリア・グラツィア・キウリ、ピエールパオロ・ピッチョーリ
Costumi:Valentino Garavani, Maria Grazia Chiuri, Pierpaolo Piccioli
振付:ステファヌ・ファヴォラン
Coreografia:Stéphane Phavorin

照明:ヴィニーチョ・ケーリ
Luci:Vinicio Cheli

演出補:マリーナ・ビアンキ
Regista collaboratore:Marina Bianchi

美術補:レイラ・フテイタ
Scenografo collaboratore:Leila Fteita
ビデオ:イゴール・レンツェッティ、ロレンツォ・ブルーノ
Video:Igor Renzetti, Lorenzo Bruno

再演演出:アリアンナ・サルツァーノ
Regia ripresa da:Arianna Salzano

再演照明:ジャンカルロ・アミコ
Luci ripresa da:Giancarlo Amico



ヴィオレッタ・ヴァレリー:フランチェスカ・ドット
Violetta Valéry:Francesca Dotto
フローラ・ベルヴォア:エリカ・ベレッティ
Flora Bervoix:Erika Beretti
アルフレード・ジェルモン:アントニオ・ポーリ
Alfredo Germont:Antonio Poli
ジョルジョ・ジェルモン:アンブロージョ・マエストリ
Giorgio Germont:Ambrogio Maestri
アンニーナ:キアラ・ピエレッティ
Annina:Chiara Pieretti
ドゥフォール男爵:ロベルト・アックールソ
Barone Douphol:Roberto Accurso
ドビニー侯爵:アンドレア・ポルタ
Marchese D'Obigny:Andrea Porta
グランヴィル医師:グラツィアーノ・ダッラヴァッレ
Dottor Grenvil:Graziano Dallavalle
ガストーネ子爵:ピエトロ・ピコーネ
Gastone:Pietro Picone

ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団、ローマ歌劇場バレエ団
Orchestra, Coro e Corpo di Ballo del Teatro dell'Opera di Roma



◆上演時間◆


第1幕    15:00-15:35

休憩        30分

第2幕 第1場 16:05-16:45

休憩        20分

第2幕 第2場 17:05-17:30

休憩        20分

第3幕    17:50-18:30

2018年9月 8日

ローマ歌劇場2018年日本公演『椿姫』~ゲネプロ・レポート~

 9月9日に初日迎えるローマ歌劇場『椿姫』のゲネプロが、9月7日に東京文化会館大ホールで行われた。現地では初演のチケットが早くから連日ソールド・アウトになり、制作に投入された膨大な予算も話題となったプロダクションである。オペラの全容は既に映画を観て知っていたが、生で観る舞台の印象はすべてが違っていた。クラシカルな中に際立ってフレッシュな感覚がある。


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 幕が開くと目に飛び込んでくるのは豪華なヴィオレッタの屋敷のサロン。ネイサン・クロウリーによる舞台美術は美しく、視界の半分を占める巨大な白い階段に圧倒される。この階段は絵画的かつシュールで、砂漠を模した心象風景のようでもある。緑がかったブルーを基調にした背景、大きな三つのシャンデリアは、華美というより屋敷の主のシックな趣味の良さ伝えてくる。ヴァレンティノの衣装には素晴らしい様式美があり、屋敷に集まる優雅な装束の人々は一枚の絵のように完璧だった。


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 ヴィオレッタ役のフランチェスカ・ドットは20代の若い歌手で、声質はクリアでくせのないリリック・ソプラノ。ベテラン歌手が重めの声で歌うことも多い役だが、もともと原作では23歳で死ぬ役。若さだけでなく、ドットの演技には貴重な気品と清潔感が漂っていて、自分を囲うドゥフォール男爵にも、父親にいたずらをしかける娘のような無邪気な表情を見せる。ヴィオレッタは娼婦というより、まだ世の中のすべてを知らない無垢な娘なのだ。客人たちは彼女をマリー・アントワネットのように恭しげに扱い、全員が善良な心を持っているようだ。冒頭ではやや線が細く感じられたドットの歌唱は、緻密な表現を積み重ねてどんどん説得力を増し、一幕終わりの長大なアリアでは超高音も成功させていた。アルフレード役のアントニオ・ポーリも素晴らしい安定感で、「乾杯の歌」から快調な声を聴かせた。


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 二幕で登場するジョルジュ・ジェルモンはファルスタッフ役で有名なバリトン、アンブロージョ・マエストリが好演。ソフィア・コッポラはジェルモンにもかなり細かい演技をつけていて、威厳の中に優しく繊細な心があることを、落ち着かない手の動きや視線などで表していた。ジェルモンとヴィオレッタのやりとりは「家族の大切さ」ということを観る者に強く思わせる。いつも年長者が世間の常識を押し付けるシーンとして観ていたが、ここではヴィオレッタは息子を想う父親の温かい心に負けて、恋人から去ることを決意するのだ。体格のいいアルフレード役のポーリが、さらに包容力のあるマエストリの身体にすっぽりと埋まってしまう感じも、実の父と息子のようで説得力があった。 


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 2幕2場のフローラのパリの屋敷のシーンでは、舞台を埋め尽くすヴァレンティノの衣装に目の至福を覚えずにはいられない。ヴィオレッタの大きく膨らんだ特徴的なドレスは「ヴァレンティノの赤」と呼ばれる象徴的な色で、唯美主義者のデザイナーの美意識がふんだんに発揮されている(実際に着てみるととても重く、所作が大変なのだそう)。緊迫感のあるドラマが展開されるこの場面では、ローマ歌劇場合唱団も大活躍する。大変クオリティが高い。ローマ歌劇場バレエ団によるバレエも加わり、現在の劇場の健全さを実感できた。


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 最も感動的な3幕で、フランチェスカ・ドットは驚異的なヴィオレッタ像を描き出した。病に侵されて余命いくばくもないヴィオレッタが、この場面で一番美しく、清純そのものの声は天使を思わせた。熟練したソプラノは風前の灯火のようなピアニッシモの至芸を見せたり、呪われた運命にトスカのごとき怒りを発火させたりするが、全くそれとは違う。このヴィオレッタは正に「世の中をよく知っているようでまだ何も知らない」無垢な女性であった。青春の只中にいて、青春を回顧する清らかな歌声に、このオペラを観て初めて感じる深い悲しみが走った。「道を踏み外した女=ラ・トラヴィアータ」とはこういう話だったのか。ゲネプロであることを忘れるラストシーンで、見学客からも名残惜しそうな長い長い拍手が続いた。前回の来日公演では辛口の批評もあったローマ歌劇場オーケストラは、ヤデル・ビニャミーニのメリハリのある指揮で機知にとんだ精彩あるサウンドを聴かせ、ドラマティックで、歌手にも奉仕的だった。ビニャミーニはこのプロダクションの初演の指揮者でもある。オーソドックスとは違う、心理的な新しさを内包したローマ歌劇場の『椿姫』は、世界一有名なヒロイン・オペラの最先端を創造していた。


取材・文:小田島久恵(音楽ライター)



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2018年9月 6日

ローマ歌劇場2018年日本公演 開幕記者会見レポート

 9月9日の『椿姫』(東京文化会館)を皮切りに、全7回の引っ越し公演を行うローマ歌劇場。既に歌手と劇場スタッフは3日に来日し、二つの演目に分かれて入念な稽古を行っている。同時進行中の二演目のリハーサルの合間を縫って、劇場芸術監督、指揮者、主役歌手、演出家を囲む記者会見が9月5日に行われた。創設以来、伝統の継承を守りながら、未来へとつながる芸術を創造し続けてきたローマ歌劇場の現在を伝える貴重な会見となった。


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 アレッシオ・ウラッド(ローマ歌劇場 芸術監督)

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「合唱や衣装・芸術スタッフとともに来日し、最良の公演が出来るよう取り組んでいます。2014年の引っ越し公演は、私たちの劇場の歴史に残る感動的な公演でした。日本の観客の皆さんの拍手は世界のどの国より温かい。ヴェルディ『椿姫』とプッチーニ『マノン・レスコー』はイタリア・オペラを代表する二本の柱ともいえる名作です。私たちの劇場でこの二つのイタリアの作品を紹介できることを誇りに思います」


 ドナート・レンツェッティ(『マノン・レスコー』指揮)

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 「オハヨウゴザイマス(日本語で)。『マノン・レスコー』はプッチーニが最初に成功したオペラで、まだヴェルディの人気が圧倒的だった1893年に発表されました。オーケストレーションにはフランスの潮流やワーグナーの影響もみられ、イタリア・オペラの新しい時代を切り開いた作品といえます。老いた者が若い恋人を求め、若者の恋が勝つ。しかしそこには死が待っていた...というプッチーニの悲劇性が表現された、内面に強く訴える作品です」

 
キアラ・ムーティ(『マノン・レスコー』演出)

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 「イタリアの芸術において音楽は高い地位にあり、他の芸術をも巻き込む大きな力を持っています。プッチーニはマスネの『マノン』を見て非常に気に入り、このオペラを手掛けたわけですが、華やかで圧倒的なメヌエットに囲まれたフランスオペラと、イタリア的なエモーションに貫かれたプッチーニの世界は非常に異なっています。素晴らしい「女優」であるクリスティーネ・オポライスを迎えてこの作品を創造したことは大きな幸運でした。芸術に理解の深い日本の皆様の前で上演できることをとても嬉しく思っています」


クリスティーネ・オポライス(『マノン・レスコー』マノン役)

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「何から語ったらいいのか...とにかく舞台を観にいらしてください。愛、愛、そして情熱...それが描かれています! このオペラでは時代に関わらず、女性が犯してしまう間違いが描かれていて、それは富と愛を両方得たいという無理な願いです。マノンは非常に若く、人生の厳しさを知り始めたそのときに死を迎えてしまうのです」


 ソフィア・コッポラ演出の『椿姫』では今年三回目来日となるヤデル・ビニャミーニがピットに入る。ヴァレンティノ・ガラヴァーニによる豪華絢爛な衣装も見どころだ。


ヤデル・ビニャミーニ(『椿姫』指揮)

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「このプロダクションの初演の指揮を務めさせていただいたことはとても幸運でした。再び劇場に戻ってこられたことを嬉しく思います。大変フレッシュで新しい感覚のプロダクションです。若い歌手の方々も素晴らしく、合唱のクオリティも大変高い。日本の皆様に音楽的にも満足いただけるよう演奏いたします」


フランチェスカ・ドット(『椿姫』ヴィオレッタ役)

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 「イタリアの代表として、イタリアのオペラをイタリア語で上演できることを嬉しく思っています。空港に到着した瞬間から私を魅了してやまない日本で過ごす時間を、私の人生の記憶に刻みたいと思います。ヴィオレッタという役を通して私のメッセージが伝わるよう、皆様の前で演じたいです」


アントニオ・ポーリ(『椿姫』アルフレード役)

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「これまでに7回来日していますが、そのうち3-4回はアルフレードを演じています。アルブレードはデビューして2.3年の若いテノールに任されることの多い役ですが、声楽的な要素だけでなく、演劇的にも人間的な成長が求められる役だと考えています。面白いことに、私はローマ歌劇場でアルフレードを歌うまでこの役は未経験だったのですが、そこからあれよあれよという間に100回以上この役を歌うことになりました。成長とともに変化してきたアルフレードを日本の皆様の前で演じたいと思っています」


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 伝統、イタリア文化の継承...という言葉とともに「未来」「フレッシュ」「真実の愛」という言葉も飛び交った会見。圧倒的なイタリア・オペラのパワーの中に、繊細で純粋なイタリア精神が宿ったモダンな上演が準備されている。


取材・文:小田島久恵(音楽ライター)


ローマ歌劇場2018年日本公演 公式ホームページはこちら>>>


義援金のご報告

 さる第15回世界バレエフェスティバルでは、会場内に「平成307月豪雨災害義援金」基金箱を設置いたしました。皆さまからお預かりした義援金は日本赤十字社を通じ、豪雨災害にあわれた皆様を支援する活動に役立てていただきます。ここに送金が完了したことをご報告申し上げます。

 この度ご協力くださった皆様に心より御礼申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。


公益財団法人日本舞台芸術振興会


平成30年7月豪雨災害義援金

募集期間:第15回世界バレエフェスティバル公演期間 7月27()815()

送金先:日本赤十字社

送金日:平成3097

送金金額:463,308円

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