2010年7月アーカイブ

NBS2011年ラインナップ

NBSが贈る2011年公演ラインナップをご紹介します。NBSにとって、2011年は創立30周年を迎える節目の年となります。オペラ、バレエを愛する皆さまに支えられた30年への感謝と、今後の飛躍を期して、この一年も、皆さまのご期待に応える公演をお届けしてまいります。
オペラ・ファンにとっては、春にはフィレンツェ歌劇場、秋にはバイエルン国立歌劇場と、一年のうちに、イタリア・オペラとドイツ・オペラの真髄をお楽しみいただける贅沢な機会が到来します。
バレエファンには、マラーホフ率いる、ベルリン国立バレエ団、英国が誇る二大バレエ団の一つ、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団と、ビック・カンパニーの来日公演のほか、マニュエル・ルグリが新たな世界を繰り広げるプロジェクト、またニコラ・ル・リッシュとパリ・オペラ座バレエ団のエトワールたちによる新企画など、幅広い魅力を堪能していただける一年です。どうぞお楽しみに。

1月

ベルリン国立バレエ団
マラーホフ振付『シンデレラ』(全2幕)、エイフマン振付『チャイコフスキー』(全2幕)

ウラジーミル・マラーホフ率いるドイツ最大のバレエ団、ベルリン国立バレエ団が、6年ぶりに来日します。
マラーホフ自身の振付・演出によって、バレリーナをヒロインとした華やかなシンデレラ・ストーリーが描かれる「シンデレラ」と、現代ロシアを代表する振付家ボリス・エイフマンによる「チャイコフスキー」がプログラムされました。マラーホフ演じるチャイコフスキーに期待と注目が高まります。どうぞお楽しみに。

 
3月

フィレンツェ歌劇場
『トスカ』、『運命の力』

フィレンツェはオペラ発祥の地。ズービン・メータ率いるフィレンツェ歌劇場が日本のオペラ・ファンのために用意したのは、プッチーニの「トスカ」とヴェルディの「運命の力」。イタリア・オペラを代表する作曲家二人の傑作が選ばれました。
イタリア・オペラの正統が息づく、フィレンツェ歌劇場の公演は、オペラ・ファンの誰もが望む見応えをもたらすものです。

 
5月

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団
ピーター・ライト振付『眠れる森の美女』
フレデリック・アシュトン振付『ダフニスとクロエ』、『真夏の夜の夢』

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団(BRB)は、英国が誇る二大バレエ団の一つ。3年ぶりとなる来日公演には、ピーター・ライト振付「眠れる森の美女」、ロイヤル・スタイルの生みの親であるフレデリック・アシュトンの2作「ダフニスとクロエ」「真夏の夜の夢」を上演する二つのプログラムが用意されました。「眠れる森の美女」には人気プリマのタマラ・ロホが、またアシュトン・プロには、これがBRBとのサヨナラ公演となる吉田都が出演します。

 
5月

ウィーン・クラシックス

ウィーン・フィルのファゴット奏者ミヒャエル・ウェルバを中心に、ウィーン・フィルの腕利きメンバーたちによって結成されたウィーン・クラシックス。2008年の初来日公演では、ウィーン伝統の優雅さと華麗さ、そして現代のエネルギーに満ちた音楽を存分に楽しませてくれました。3年ぶりの再来となる今回は、さらに練りに練ったプログラムで極上の室内楽の楽しみを味わわせてくれることとなるでしょう。
 
6月

バルバラ・フリットリ ソプラノ・リサイタル

2009年に行われたバルバラ・フリットリの日本での初リサイタルに来場された方なら、その感動と熱狂を思い起こすだけでも興奮してしまうのではないでしょうか。すでにオペラでの確固たる評価を得ているとはいえ、近年はさらに新しいレパートリーにも続々と挑んで成功を獲得しているフリットリ。いままさにノリにノッている世界の歌姫の、あの興奮のステージが再び日本のファンを虜にしようとしています!
 
7月

<マニュエル・ルグリとウィーンの仲間たち>

パリ・オペラ座バレエ団を離れたマニュエル・ルグリが、次の活動の場とするのはウィーン国立歌劇場バレエ団。ダンサーとしての活動に加え、芸術監督としての手腕にも、世界が注目を寄せています。アーティストとして、新たなスタートを切ったルグリが、日本のファンのためだけに贈るのがこの公演。彼の厳しい目によって選ばれたウィーンの仲間たち、新鋭や気鋭が集められるここでは、スーパースター、マニュエル・ルグリの魅力が全開!
 
8月

<ニコラ・ル・リッシュと華麗なるスターたち>

弱冠21歳でエトワールに昇進し、いまやトップ・エトワールとして"バレエの殿堂"パリ・オペラ座バレエ団を担うニコラ・ル・リッシュ。この公演は、彼を中心に、オペラ座のトップ・スターが集められる新企画です。宝石のようなきらめきを放つスターたちの共演は、バレエ・ファンにとって何よりの魅力といえるでしょう。
 
9月~10月

バイエルン国立歌劇場
『ローエングリン』、『ロベルト・デヴェリュー』、『ナクソス島のアリアドネ』

ドイツのオペラ界のみならず、世界のオペラ界をリードするバイエルン国立歌劇場は、その威信をかけた極め付けの3作によって日本のオペラ・ファンを唸らせることになるでしょう。ヨナス・カウフマン、エディタ・グルベローヴァ、アドリエンヌ・ピエチョンカをはじめとする超ド級の歌手を揃え、初演以来話題沸騰の「ローエングリン」と「ナクソス島のアリアドネ」、決定版の呼び声高い「ロベルト・デヴェリュー」で上陸します。

 
10月

エディタ・グルベローヴァ ソプラノ・リサイタル

並外れた実力によって、トップ・プリマとして世界の第一線に君臨する"コロラトゥーラの女王"グルベローヴァ。一点の翳りもなく、常にトップに立ち続けてきたそのキャリアは、人気・実力の両面において入れ替わりの激しい現代においては、もはや偉業といえるものです。日本の聴衆に贈られるリサイタルでは、回を重ねるごとに増す感動に驚嘆すらさせられてきました。「100パーセントではなく、110パーセントを心掛ける」という歌姫は、またもや聴衆を驚かせる珠玉の歌唱を聴かせてくれることとなるはずです。
 
10月~11月

シルヴィ・ギエム<さよなら、トウ・シューズ>
フレデリック・アシュトン振付『田園の出来事』、『マルグリットとアルマン』

世界の頂点を極めたスーパーバレリーナ、ギエムが、トウ・シューズをはいて踊る最後のパフォーマンス!
ダンサーとしての限りない可能性を追求しながらも、「ポワントはこれで最後。日本の観客の皆様に感謝を込めて踊ります」とギエム。名演の誉れ高い「田園の出来事」と「マルグリットとアルマン」をフューチャーした2つのプログラムを、ギエムが選んだ仲間と東京バレエ団の共演でお贈りします。
 
11月~12月

ウィーン室内合奏団

ウィーン・フィルのメンバーによる室内アンサンブルのなかでも最も長い歴史をもつ団体の一つウィーン室内合奏団は、結成40年を経て、新たな歴史をスタートさせました。2011年は、ウィーン・フィル初の女性コンサートマスターを迎えた新メンバーによる初来日となります。このアンサンブルが誇るウィーン伝統の響き、典雅な調べはそのままに、新たな意欲という魅力がどう展開されていくのか。新生ウィーン室内合奏団のお披露目となるこの機会、どうぞお聴き逃しなく!
 

ヨーロッパを席巻する、マラーホフ率いるドイツ最大のベルリン国立バレエ団2011年日本公演の公演日程が決定いたしました。


マラーホフ振付。バレリーナの成長と成功を華やかに描くシンデレラ・ストーリー!

「シンデレラ」全2幕

Cinderella26.jpg振付・演出:ウラジーミル・マラーホフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
装置・衣裳:ヨルディ・ロイク
照明:フランツ・ペーター・ダヴィゥド
台本協力:セルジュ・オネゲル

1月15日(土)1:30p.m.
1月15日(土)6:00p.m.
1月16日(日)3:00p.m.




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マラーホフの渾身の演技が、偉大な芸術家の魂を浮かび上がらせる!
「チャイコフスキー」全2幕

Tschaikowsky_Foto_Sandra Hastenteufel__76,1.jpg振付・演出:ボリス・エイフマン
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
装置・衣裳:ヴァチェスラフ・オクネフ
照明:グレーブ・フィルシュテインスキー

1月20日(木)6:30p.m.
1月22日(土)3:00p.m.
1月23日(日)3:00p.m.




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ダンサー総出演。一夜限りのスペシャル・パフォーマンス!
<マラーホフ・ガラ>

1月18日(火)6:30p.m.

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●会場:東京文化会館

●9月下旬より一斉発売開始予定!


●予定される主な来日メンバー
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※各演目の配役、<マラーホフ・ガラ>の詳細は8月下旬に発表いたします。
※表記の情報は2010年7月26日現在の予定です。バレエ団の都合、ダンサーの怪我等の理由により、変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。変更に伴う払い戻し、他日への振替には応じかねます。正式な発表は公演当日になります。

東京バレエ団「M」に元モーリス・ベジャール・バレエ団小林十市が"シ(死)"役で出演することが決定いたしました。
"シ(死)"役のオリジナルキャストである小林十市は、1993年の初演時、切れ味鋭いテクニックと飄軽自在な演技で、この役に独自の刻印を与えました。現在は俳優として活躍する彼が、「M」で、ダンサーとして7年ぶりに舞台に戻ってきます!


10-07.26M_01.jpg小林十市 「M」出演にあたってのコメント

「ダンサーとしての成熟期に身体の不調のために余儀なく引退し、ダンサーとして完結していないという思いが残っていました。ベジャールさんの追悼公演でも踊れないことがもどかしかった。一昨年頃から、徐々に再び踊ることができるのではという感触をつかむことができたこと、そして(BBL芸術監督の)ジルの勧めもあり、出演を決意しました。12月の本番に向けて、夏から万全の準備を整えていきます!」


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また下記のとおり公演詳細も決定いたしました。

モーリス・ベジャール振付「M」

振付・演出・衣裳コンセプト:モーリス・ベジャール
音楽:黛 敏郎、C.ドビュッシー、J.シュトラウス二世、E.サティ、R.ワーグナー
※音楽は特別録音によるテープを使用します。


■公演日程
12月18日(土) 3:00p.m. 
12月19日(日) 3:00p.m. 

■会場:東京文化会館

■予定される主な配役
イチ:高岸直樹
ニ:後藤晴雄
サン:木村和夫
シ(死):小林十市
聖セバスチャン:長瀬直義
女:吉岡美佳(12/18)、上野水香(12/19)
海上の月:小出領子(12/18)、渡辺理恵(12/19)
オレンジ:高木綾(12/18)、吉川留衣(12/19)
ローズ:西村真由美(12/18)、奈良春夏(12/19)
ヴァイオレット:井脇幸江(12/18)、田中結子(12/19)

■入場料(税込) 
S=¥10,000 A=¥8,000 B=¥6,000 C=¥5,000 D=¥4,000 E=¥3,000 
※未就学児童のご入場はお断りします。

◇ペア割引券  ※NBS電話予約のみで受付
S席ペア割=¥19,000  A席ペア割=¥15,000  B席ペア割=¥11,000

◇エコノミー券 ¥ 2,000 
※イープラスのみでのみで11/20(土)より発売。お一人様2枚まで。 

◇学生券 ¥1,500 
※NBS WEBチケットのみで11/20(土)より発売。25歳までの学生が対象。公演当日、学生証必携 

■前売開始日:9月4日(土)10:00a.m.より

■NBS WEBチケット先行抽選予約:8/12(木)10:00~8/26(木)18:00

■お問い合わせ・お申込み:NBSチケットセンター 03-3791-8888

当ホームページや公演チラシ等で発表しておりました、「トスカ」のトスカ役のマルティナ・セラフィンは妊娠のため、アディーナ・ニテスクに変更となります。ご了承ください。


フィレンツェ歌劇場2011年日本公演
「トスカ」 


トスカ:マルティナ・セラフィン → アディーナ・ニテスク

NBSが創立30年にあたって企画した、音楽界、バレエ界の常識を超えたスーパー・ガラ、<奇跡の饗演>の公演情報ページを公開しました。

ズービン・メータ×イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団×モーリス・ベジャール・バレエ団×東京バレエ団がお届けする空前絶後のスーパー・ガラ。総勢300名による奇跡の公演、お見逃しなく!

●<奇跡の饗演>公演情報ページ>>>

7月11日(日)、東京バレエ団第24次海外公演の11公演目となるミラノ・スカラ座での「ザ・カブキ」をもって、東京バレエ団の海外公演が通算700回を達成いたしました。


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Photo: Brescia - Amisano -Teatro alla Scala


東京バレエ団が初の海外公演を行ったのは、創立2年目の1966年。ソ連(当時)のモスクワ、レニングラード、カザンの3都市を巡演し22回の公演を行いました。以来、44年にわたり、ヨーロッパを中心に24回の海外公演を重ね、この日、ミラノ・スカラ座で700回という記念すべき公演を迎えたのです。これまでに訪れた都市は、実に30ヶ国148都市に及びます(7/11現在)。

東京バレエ団がオペラの殿堂ミラノ・スカラ座の舞台に立つのは、今回が4回目。1986年の第9次海外公演(「ザ・カブキ」4公演、<ミックス・プロ>2公演)、1993年の第14次海外公演(「M」3公演)、1999年の第18次海外公演(「ザ・カブキ」3公演)で計12公演を行い、いずれも大きな反響を呼びました。東京バレエ団を運営する日本舞台芸術振興会(NBS)では、1981年の初来日公演以来、6度にわたりミラノ・スカラ座の公演を招聘しており、昨年(2009年)の公演ではミラノ・スカラ座の日本公演通算100回を達成。その際にスカラ座ジェネラル・マネージャーのマリア・ディ・フレーダ氏から東京バレエ団の海外公演700回目をぜひスカラ座の舞台で達成して欲しいと招聘の申し出があり、4回目となるスカラ座公演が決定したのです。こうした経緯もあり、スカラ座のスタッフ総動員で今回の公演をサポートしてくださいました。
ワールドカップ決勝戦の日、しかもキックオフと開演が30分しか違わないこともあり、サッカーの人気が高いイタリアでは当初チケットの売れ行きが懸念されていました。しかし、スカラ座スタッフが熱心なプロモーションを展開してくれたこともあり、当日券を求める長い列ができ、ほぼ満員。思い思いに着飾ったミラノっ子たちが華やかに客席を埋め尽くしました。
日本の芸術団体がイタリアで偉大な記録を達成する瞬間に立ち会うために、ローマから駆けつけてくださった安藤裕康在イタリア日本大使のほか、城守茂美在ミラノ日本総領事、NBSや東京バレエ団と縁の深い歌劇場、バレエ団の関係者も多数来場。イタリア国営放送のRaiのカメラもニュース番組のために会場にスタンバイしたなか、定刻どおりに「ザ・カブキ」の幕が上がりました。

記念すべき海外での700回目の公演で主役の由良之助を演じたのは、高岸直樹。1986年の「ザ・カブキ」初演で初舞台を踏んだ高岸は、翌1987年に由良之助に抜擢されて以来23年間にわたりこの役を演じ続け、1999年にベルリン国立歌劇場で海外公演通算600回を達成の舞台にも立っています。自身にとって2年ぶり64回目となる由良之助役を23年間のさまざまな思いを込めて、力強く熱演。日本の伝統芸能とバレエという東西の文化を見事に融合したモーリス・ベジャールの傑作に、ミラノっ子たちは身を乗り出さんばかりに舞台に見入り、場面ごとに心のこもったあたたかい拍手が贈られます。殊に討ち入りのシーンで四十七士が勢ぞろいした際にはひときわ大きな拍手が起こり、いよいよ終幕へ。本懐を遂げた四十七士が切腹して果て、照明が落ちると一瞬の静けさの後、万雷の拍手とブラヴォーの声が湧き上がります。カーテンコールでスカラ座が用意いてくれた「東京バレエ団海外公演 700回おめでとうございます」とイタリア語と日本語で書かれた看板が下りてくると、客席は一段と沸き立ち、その後東京バレエ団からこの日を迎えられた感謝をこめて作られた特製の手ぬぐいを舞台上のダンサーが客席に投げると、熱気は最高潮に。ミラノ・スカラ座で手ぬぐいが撒かれるのはもちろん今回がはじめてのこと。ダンサーたちが感謝の気持を込めて力いっぱい投げる手ぬぐいを、観客たちは必死にキャッチしようとします。そして、最後には客席内がひとつになり、総スタンディングオベーションで、公演の成功と記録の達成への祝福の拍手が贈り続けられました。


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スカラ座初!手ぬぐい撒きの模様。
photo Brescia - Amisano -Teatro alla Scala

 
東京バレエ団にとって、今回の700回達成公演は大きな節目となりましたが、すでに来年以降の海外公演の計画が進行中です。これからも世界で活動を続ける東京バレエ団にご注目ください。

なお、東京バレエ団はこの後、コモ(イタリア)、リヨン(フランス)、ラッコルジーニ(イタリア)の3都市で計4公演を行い、7月20日に帰国いたします。また帰国後8月13日~15日に、ゆうぽうとホールで本ツアーの帰朝報告公演(<ベジャール・ガラ>)を開催いたします。


●東京バレエ団総監督 佐々木忠次 コメント


スカラ座は私にとって、オペラの引越し公演を16年間の交渉の末、29年前の1981年に初めて実現した特別な思い入れがある劇場です。以来、6回に及ぶ日本公演を通じて、スカラ座にはたくさんの友人がいます。今回、700回目の公演をスカラ座で実現できたのも、長い友好関係があってのことかと思います。私が46年間、絶えず愛情を注ぎ続けてきた東京バレエ団が、海外での700回目の記念公演をスカラ座の友人たちと共に祝えることに無上の喜びを感じています
ただ、楽しみにしていたこの記念すべき公演に、私自身は健康上の理由で出席できないことが残念でなりません。


●700回達成公演「ザ・カブキ」に主演した 高岸直樹コメント


ミラノ・スカラ座で、700回という記念すべき公演の舞台に立てたことは感慨深いものがあります。自分自身がというより、(総監督の)佐々木さんがこれまでで築き上げてきた東京バレエ団の海外公演700回を達成できたこと、イタリアのお客様の気持ちの通った拍手と声援に励まされ、バレエ団がひとつになって公演を終えられたことを、本当に嬉しく思っています。

アリーナ・コジョカルがはじめて日本で「ジゼル」を演じた2006年8月の世界バレエフェスティバル全幕特別プロのハイライト映像を公開いたしました。

東京バレエ団「ジゼル」公演情報ページでご覧いただけます。

■アリーナ・コジョカル「ジゼル」ハイライト映像>>>

NBS(財団法人日本舞台芸術振興会)は、おかげさまで2011年に30周年を迎えます。
30周年を無事迎えることができますのも、舞台芸術を愛好する皆さまのご支援があったからに他なりません。これまでNBSを支えてくださった多くの皆さま心よりお礼申し上げます。

30周年を迎えるに際し、企画したのがNBSの活動の柱をなす3つのプロジェクトで構成された《NBS 夢フェスト30》です。
3つのプロジェクトの1本目はモーリス・ベジャールの作品を通じての兄弟カンパニーであるベジャール・バレエ団と東京バレエ団の合同公演を、ズービン・メータ指揮のイスラエル・フィルがオーケストラ・ピットに入って演奏するという空前絶後の、そして、NBSの活動を象徴する祝祭ガラです。
2本目は、2011年の春に同じくメータ指揮により、イタリア・オペラの醍醐味をお届けするフィレンツェ歌劇場日本公演。そして3本目は、2011年秋に気鋭のケント・ナガノ率いるバイエルン国立歌劇場によって、ドイツ・オペラの粋を披露いたします。
この1年を通してのビック・プロジェクトを通して、これまでのNBSの30年の集大成というものをお見せしたいと思っております。

各公演の発売に先駆け、この《NBS 夢フェスト30》の3つのプロジェクトをご覧いただく、特別鑑賞会の会員を募集いたします。舞台芸術を愛する皆さまにぜひご参加いただけることを願っております。


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《NBS 夢フェスト30》の詳細はこちらからご覧ください>>>

英国ロイヤル・バレエ団日本公演「ロミオとジュリエット」で、渾身の舞台を見せ、客席を感動の渦に巻き込んだアリーナ・コジョカル。
短い滞在中の忙しい時間の合間を縫って、9月に上演する「ジゼル」に向けてのプランを、演劇・舞踊ライターの岩城京子さんに聞いていただきました。


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アリーナ・コジョカル インタビュー

岩城京子(演劇・舞踊ライター)


この役を踊ることで彼女はロイヤルバレエ団のプリンシパルに任命され、この役を踊ることで昨年大怪我から復帰した。アリーナ・コジョカルがつねにキャリアの節目節目で見事に演じきってきたロマンティック・バレエ『ジゼル』。村娘の愛らしさ、恋人への一途さ、踊ることへの喜び、亡者ウィリの儚さ。ジゼルに求められる資性は彼女自身のなかに既にあり、だからこそ彼女はこの古典バレエに嘘のない新鮮な命を与える。「ジゼルを踊るときは、あえてプランを持たずに舞台に立ちます」と大胆な発言をする彼女に、9月の日本公演に向けて話しを訊いた。


----ジゼルの役づくりは「前もってプランしない」ということですが、それは具体的にどういうことでしょう? 基本プランは練習で作っておき、あとは自由に舞台上で演じるということでしょうか。

10-07.01Giselle_01.jpgいいえ、基本プランさえも持たずに舞台に立つのです。そして第一幕の冒頭でアルブレヒトをぱっと見たとき、その瞬間に、その日の物語のすべてが決まるのです。もしかするとそれはふたりの四度目の出逢いかもしれない。もしかするとそれはまだ二度目のデートかもしれない。あるいはそれはアルブレヒトの「結婚してくれないか」という申し出にすでにジゼルが「イエス」と応えたあとの再会かもしれない。つまり毎回毎回、その日のアルブレヒトと目があったとき、そこからストーリーが即興で決まっていくのです。


----あなたの造形するジゼルは、心が痛くなるほどアルブレヒトを信頼しきった目で見つめつづけますね。

私のジゼルはほとんどの場合、100%アルブレヒトを信頼していますからね。でもだからこそ、裏切られたときに正気を失うほど心が傷つけられる。少し込み入った話をしますと、実はおおもとの『ジゼル』のリブレットには、ジゼルの父親が登場するんです。そして一説では彼は貴族だったといわれている。つまりジゼルの母親は、娘が自分と同じ轍を踏むことを恐れていて、だからアルブレヒトに対して非常に懐疑的なんです。だけどジゼル自身は、まったく彼を疑わずに信じている。本当に心から愛している。だからこそ「狂気の場面」の最後、彼女は息を引きとる直前に、一瞬だけ正気を取り戻してアルブレヒトの腕に走りこむ。ジゼルはもうあの時点で、アルブレヒトを許しているんですよね。


----私生活でもパートナーであるヨハン・コボーとは、幾度となく『ジゼル』を踊られていますね。

ええ、でも踊るたびに新鮮な発見があります。たとえば私たちはこのあいだの五月にルーマニアで『ジゼル』を踊ったんですが、その公演前のリハーサルで、自分たちでも驚くような体験をしました。思わず二人でリハーサルを終えたあとに「今のはなんだったの、映像に残しておけばよかった、世界中の人に見せたかった!」って叫んでしまいました(笑)。なんて言いますか、本当にこの演目のなかで何をしてもいいような、完全なる自由、を感じることができたのです。このルーマニアでの発見をもとに、いままでにない『ジゼル』を、日本のお客様にお見せできれば嬉しいです。


photo:Kiyoonri Hasegawa



■アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボー主演「ジゼル」7月3日(土)10時より前売開始!
 >>>公演詳細はこちら

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