2017年2月アーカイブ

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photo:Naoki Kurozu/PIA


 今週開幕するパリ・オペラ座バレエ団日本公演に向けて、主要メンバー出席のもと都内で開幕記者会見が行われました。
 
 先週、東京で舞台に立っていた芸術監督のオレリー・デュポンは、スケジュールの都合で一時帰国しており不在だったものの、パリ・オペラ座総裁のステファン・リスナー、バレエ・ミストレスのクロティルド・ヴァイエ、主演ダンサーとしてマチアス・エイマン、ジョシュア・オファルト、リュドミラ・パリエロ、アマンディーヌ・アルビッソンらのエトワールに加えて、昨年大みそかにドラマティックな昇進を果たしたもっとも新しいエトワールのレオノール・ボラック、「ラ・シルフィード」でジェイムズ役を踊ることになり大注目のプルミエ、ユーゴ・マルシャンが顔をそろえ、会場はパリ・オペラ座ならではの華やかな空気に包まれました。

 会見ではまず、リスナー総裁が「ラ・シルフィード」と〈グラン・ガラ〉の「ダフニスとクロエ」他2作品の見どころを説明。つづいてダンサーたちが、出演する演目への取り組みと日本公演への意気込みを熱く語りました。

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 ステファン・リスナー(パリ・オペラ座総裁)。左はレオノール・ボラック


small_trim_IMG_7320.jpgアマンディーヌ・アルビッソン。「ラ・シルフィード」をユーゴ・マルシャンと踊る。〈グラン・ガラ〉では「ダフニスとクロエ」のクロエを。


small_IMG_7631.jpgユーゴ・マルシャン。「ラ・シルフィード」のジェイムズを踊る。外国で主演するのは初めての経験だそう。
 
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ョシュア・オファルト。「ラ・シルフィード」」のジェイムズと、〈グラン・ガラ〉では「テーマとヴァリエーション」「アザー・ダンス」出演と大活躍。


small_trim_IMG_7521.jpgリュドミラ・パリエロ。「ラ・シルフィード」のタイトル・ロールと「アザー・ダンス」を踊る。

small_IMG_7391.jpgマチアス・エイマン。「ラ・シルフィード」のジェイムズ、〈グラン・ガラ〉では「テーマとヴァリエーション」「アザー・ダンス」に出演。今回の日本公演では大活躍。

small_trim_IMG_7247.jpg昨年末にエトワールに昇格したばかりのレオノール・ボラック。今回は「ラ・シルフィード」でジェイムズの婚約者エフィーと、〈グラン・ガラ〉「ダフニスとクロエ」でダフニスを誘惑するリュセイオンという正反対のキャラクターを踊る。

small_IMG_7479.jpgバレエ・ミストレスのクロティルド・ヴァイエ(左)。

 また後半、記者からの質問がデュポン芸術監督体制下のバレエ団の様子に及ぶと、マチアス・エイマン、リュドミラ・パリエロ、バレエ・ミストレスのクロティルド・ヴァイエらがマイクを回しあって熱心に答える場面も。新生オペラ座バレエ団のチームワークの良さを感じさせて、開幕目前の公演への期待を高めました。


■パリ・オペラ座バレエ団2017年日本公演

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東京バレエ団
<ウィンター・ガラ>
「中国の不思議な役人」「イン・ザ・ナイト」「ボレロ」
 
 
◆主な配役◆
 

「中国の不思議な役人」
振付:モーリス・ベジャール 音楽:ベラ・バルトーク  
 
無頼漢の首領:森川茉央
第二の無頼漢―娘:入戸野伊織
ジークフリート:ブラウリオ・アルバレス
若い男:二瓶加奈子


「イン・ザ・ナイト」
振付:ジェローム・ロビンズ 音楽:フレデリック・ショパン  
 
沖 香菜子-秋元康臣
川島麻実子-ブラウリオ・アルバレス
上野水香-柄本 弾
 
ピアノ:松木慶子
  

「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール 音楽:モーリス・ラヴェル

オレリー・デュポン

杉山優一  岸本秀雄 森川茉央 永田雄大
 
 
 
 
※「イン・ザ・ナイト」はピアノ演奏、「中国の不思議な役人」「ボレロ」の音楽は特別録音によるテープを使用します。


「中国の不思議な役人」19:00 - 19:35

休憩    20分

「イン・ザ・ナイト」19:55 - 20:20

休憩    15分

「ボレロ」20:35 -20:55

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 東京バレエ団『ボレロ』出演のために、パリ・オペラ座バレエ団芸術監督、オレリー・デュポンが来日。公演初日を翌日に控えた2月21日に開催された共同会見の場で、開幕まであとわずかとなったパリ・オペラ座バレエ団日本公演への意気込みを語った。

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 エトワールとして活躍した当時からの華やかさに加え、芸術監督としての風格をも感じさせるにこやかな表情で登場したデュポン。会見冒頭、「今回の日本公演は、私が芸術監督に就任して初めてのツアー。東京ではこれまでたくさん踊る機会をいただき、大好きな街でもある。とても光栄に思っています」と挨拶した。

 前芸術監督バンジャマン・ミルピエ辞任ののち、昨年秋からパリ・オペラ座バレエ団を率いているが、自身の仕事については、「クラシックの演目に敬意を払うこと、バレエ団のレベル、クオリティに注意すること、ダンサーたちがコンテンポラリー作品に向かって開かれた存在であることに留意すること」という。「ダンサーとしての活動も続けています。今も、ダンサーたちと一緒に毎日レッスンを受けていますが、それはダンサーたちの長所を発見するいい機会でもある」とも。

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 さらに、「芸術監督のもう一つの仕事は、エトワールの任命とその準備」と話す。昨年末には、新たに二人のエトワールを任命している。レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェは、日本公演の舞台にエトワールとして初めて登場。『ダフニスとクロエ』のダフニス役に選ばれたルーヴェは、デュポンの相手役という重責を担う。「芸術監督と踊るのは、彼にとってストレスであり、プレッシャーでしょう。が、とても知的なダンサーですから、稽古の中で徐々に進歩を遂げています」と気遣う。プルミエ・ダンスールのユーゴ・マルシャンも、『ラ・シルフィード』のジェイムズ役での登場が決まった。「ルーヴェと同世代のダンサーで、将来を嘱望されています。今回は、皆さんにすべての新たな世代のダンサーたちを紹介できるいい機会に。芸術監督には、決して人選を誤ってはいけないという、重い責任があるのです」。

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 日本公演のプログラムは前任のミルピエが選んだものだが、全幕作品のピエール・ラコット版『ラ・シルフィード』と、〈グラン・ガラ〉(『テーマとヴァリエーション』、『アザー・ダンス』、『ダフニスとクロエ』)の2プログラム、全4作品の上演が予定されている。

 「『ラ・シルフィード』はロマンティック・バレエの重要な作品ですが、これには思い出があります。初めて踊った時は3週間しか時間がなく、振付を覚えきれないところも。本番ではそこがインプロヴィゼーションのようになってしまって、ただひたすら、ラコットのスタイルに忠実であり続ける努力をしながら、素知らぬ顔をして踊っていました。ラコットは苦笑いをしていました(笑)。〈グラン・ガラ〉の『テーマとヴァリエーション』は、ダンサーにとって非常に難しい作品。昨年キューバを訪れた際、(初演ダンサーの)アリシア・アロンソと会い、たくさん質問をしてきたので、今回それが活きるのではないかと思います。『アザー・ダンス』は、ジェローム・ロビンズの、非常に精密につくられた作品。『ダフニスとクロエ』は、ミルピエとのクリエイションが、とても良い雰囲気の中で行われたことを覚えています」

 これらの作品の共通点について、「キーワードは音楽性」と話すデュポン。新世代の活躍が大いに期待されるオペラ座バレエ団が、それをいかに舞台に示すのか、間もなく明らかとなる。パリ・オペラ座バレエ団日本公演は、3月2日(木)に初日を迎える。



レポート/加藤智子




東京バレエ団
<ウィンター・ガラ>
「中国の不思議な役人」「イン・ザ・ナイト」「ボレロ」


◆主な配役◆


「中国の不思議な役人」
振付:モーリス・ベジャール 音楽:ベラ・バルトーク  

無頼漢の首領:柄本 弾
第二の無頼漢―娘:宮川新大
ジークフリート:森川茉央
若い男:伝田陽美


「イン・ザ・ナイト」
振付:ジェローム・ロビンズ 音楽:フレデリック・ショパン  

沖 香菜子-秋元康臣
川島麻実子-ブラウリオ・アルバレス
上野水香-柄本 弾

ピアノ:松木慶子


「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール 音楽:モーリス・ラヴェル

オレリー・デュポン

杉山優一 岸本秀雄 森川茉央 永田雄大




※「イン・ザ・ナイト」はピアノ演奏、「中国の不思議な役人」「ボレロ」の音楽は特別録音によるテープを使用します。


「中国の不思議な役人」19:00 - 19:35

休憩 20分

「イン・ザ・ナイト」19:55 - 20:20

休憩 15分

「ボレロ」20:35 -20:55




 マルク・モローはオペラ座バレエ学校で5年学び、2004年にカンパニーに入団した。マニュエル・ルグリの目にとまった彼は、NHKで放映された番組「スーパーバレエレッスン」で生徒の一人を務めている。スジェにあがったのは2011年で、『ジゼル』の収穫のパ・ド・ドゥ、『ラ・シルフィード』のパ・ド・ドゥ、『白鳥の湖』のパ・ドゥ・トロワ、そして『リーズの結婚』のコーラス役などで、明るく鮮やかなステップを披露。その一方、前回2014年のオペラ座来日ツアーでは『ドン・キホーテ』でジプシーの頭を踊り、またオペラ座でも『パキータ』でイニゴ、『ダフニスとクロエ』のドルコンというように、少々ダークな匂いのするドゥミ・ソリストに配されることも少なくない。

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(写真は「オネーギン」より photo:Ann Ray/OnP)

 振付家パンジャマン・ミルピエはオペラ座での創作『トリアード』で降板したジェレミー・ベランガールの代わりにマルクを起用。それがきっかけで、『アモヴェオ』の再創作をミルピエがアメリカで準備した時には、2名のオペラ座のダンサーとともに渡米している。『ダフニスとクロエ』では主役にも抜擢され、さらに『トゥギャザー・アローン』では、エトワールだったオレリー・デュポンと組ませるというチャンスも与えられ、というようにマルクはミルピエ作品には不可欠なダンサー。

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(写真は「イン・クリーシス」より photo:Julien Benhamou/OnP)

 もちろん、『クリア・ラウド・ブライト・フォーワード』『ラ・ニュイ・サシェーヴ(夜が果てる)』の創作にも参加。マルクの豊かな音楽性、シャープな動き、繊細さが魅了するのはミルピエだけに限らず、ウエイン・マクレガーの『アレア・サンズ』、ジャスティン・ペックの『イン・クリーシス』『黄昏時』の創作にも参加している。入団13年目を迎えた彼は、技術面も演技面もしっかりした中堅ダンサーという存在だ。

濱田琴子(ジャーナリスト、在パリ)


■マルク・モローは「ダフニスとクロエ」3/10(金)、3/12(日)に出演!
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 今年24歳のユーゴ・マルシャン。「自分はダンスをするんだ!」と8歳のときに突然思いたち、バレエを習い始めた。オペラ座バレエ学校には第五ディヴィジョンで入り、飛び級で第三ディヴィジョンに。この時に、『スカラムーシュ』『ヨンダリング』『ペッシェ・ドゥ・ジュネス』の公演(2009)で来日しているのだが、代役だったのでずっと舞台裏にいたそうだ。

 バレエ団に入団したのは2011年、18歳の時である。人一倍大柄なゆえクラシック作品のコール・ド・バレエの中では浮いてしまう感があったのか、入団当時はあまり活躍ができなかった。しかし、クラシック・バレエのしっかりした基礎を持ち、舞台空間で圧倒的な存在感を放つ彼はバンジャマン・ミルピエ前芸術監督の高い評価を受け、スジェの時代からソリストに抜擢されるようになる。映画「ミルピエ~パリ・オペラ座に挑んだ男」の中で見ることができる創作『クリア・ラウド・ブライト・フォーワード』では、レオノール・ボラックとの美しいパ・ド・ドゥが彼のために創られた。

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(写真は「マノン」より Photo Julien Benhamou - OnP)

 これまですでに主役を踊っているのは、『くるみ割り人形』『マノン』『ロミオとジュリエット』『ラ・バヤデール』と、まるでエトワールなみ。いつの日か『オネーギン』『椿姫』といった、ストーリー性が高い作品で、人間がしっかりと描かれている主役が踊れたら、と夢見ている。クラシック作品に限らず、彼はコンテンポラリー・バレエでの活躍も目覚しく、最近ではフォーサイスの『ブレイク・ワークス1』の創作に参加した。ネオ・クラシック作品もお手の物の彼。日本ツアーの直後には、オペラ・バスチーユでバランシンの『真夏の夜の夢』のオベロン役が控えている。

濱田琴子(ジャーナリスト、在パリ)








 このたびパリ・オペラ座バレエ団より、マチュー・ガニオとエルヴェ・モローが怪我のため3月の日本公演に参加できないという連絡が入りました。
 マチュー・ガニオは日本公演の「ラ・シルフィード」のリハーサルに熱心に取り組んでいたところ、ふくらはぎに怪我を負い、長期間の休養が必要との医師の診断が下されました。また、エルヴェ・モローはここしばらく深刻な腰痛をかかえており、日本公演出演のためにあらゆる治療と薬をもって早期回復の努力を試みていましたが、公演を目前に控えたいま、参加を断念せざるを得ないとのことです。
 
 これにともない、パリ・オペラ座バレエ団より、日本公演の配役を下記のように変更する旨の連絡がありました。
 「ラ・シルフィード」については、マチュー・ガニオが出演予定だった3月3日と5日は代わりまして、ユーゴ・マルシャンがジェイムズ役を踊ります。マルシャンは、先ごろエトワールに任命されたジェルマン・ルーヴェと同期で、ルーヴェと並んで次期エトワールとしてパリ・オペラ座バレエ団が期待をかけている若手スターで、振付家のピエール・ラコットと芸術監督のオレリー・デュポンがベストの配役として選びました。
 
 〈グラン・ガラ〉の「テーマとヴァリエーション」「ダフニスとクロエ」、加えて「アザー・ダンス」についても、マチュー・ガニオとエルヴェ・モローの降板に伴い、本人たちの出演日に加えて、他日の公演も以下のように変更となる旨、パリ・オペラ座バレエ団より連絡がありました。
 NBSといたしましては、当初の配役から大きく変わらないように重ねて申し入れ、そのための配役の提案もいたしましたが、パリ・オペラ座バレエ団からは、リハーサル時間や芸術上の観点から現状における最善策との返答がありました。
 
 このように当初発表させていただいた配役が大幅に変更になってしまうことについて、主催者としては不本意であり、たいへん遺憾に思っております。
 マチュー・ガニオとエルヴェ・モローの出演を楽しみにされていた方々、また当初の配役での公演を楽しみにしていた方々にはたいへん申し訳なく、深くお詫び申し上げます。しかしながら、やむを得ない事態としてなにとぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、エルヴェ・モローとマチュー・ガニオ本人から日本の観客の皆様へのメッセージが届いております。また、新たに「ラ・シルフィード」に主演するユーゴ・マルシャンと「ダフニスとクロエ」に主演するマルク・モローのバイオグラフィーも掲載いたしますのでご一読いただければ幸いです。
 
 NBS/公益財団法人日本舞台芸術振興会
 
 



「ラ・シルフィード」
■ 3月3日(金)18:30
ジェイムズ:マチュー・ガニオ → ユーゴ・マルシャン
パ・ド・ドゥ:マリーヌ・ガニオ、マルク・モロー → マリーヌ・ガニオ、アルチュ・ラヴォー
■ 3月4日(土)13:30
パ・ド・ドゥ:ジェニファー・ヴィソッチ、パブロ・レガサ → ジェニファー・ヴィソッチ、マルク・モロー
■ 3月5日(日)15:00
ジェイムズ:マチュー・ガニオ → ユーゴ・マルシャン
パ・ド・ドゥ:マリーヌ・ガニオ、マルク・モロー → マリーヌ・ガニオ、アルチュ・ラヴォー

〈グラン・ガラ〉
■ 3月9日(木)18:30
「テーマとヴァリエーション」ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ → ミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン
「ダフニスとクロエ」ダフニス:エルヴェ・モロー → ジェルマン・ルーヴェ
「アザー・ダンス」マチアス・エイマン → ジョシュア・オファルト
■ 3月10日(金)18:30
「ダフニスとクロエ」ダフニス:ジェルマン・ルーヴェ → マルク・モロー
■ 3月11日(土)13:30
「テーマとヴァリエーション」ヴァランティーヌ・コラサント、ジョシュア・オファルト → ヴァランティーヌ・コラサント、フランソワ・アリュー
「ダフニスとクロエ」ダフニス:エルヴェ・モロー → ジェルマン・ルーヴェ
■ 3月11日(土)18:30
「テーマとヴァリエーション」ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ → ドロテ・ジルベール、ジョシュア・オファルト
「ダフニスとクロエ」ダフニス:エルヴェ・モロー → ジェルマン・ルーヴェ 
ドルコン:マルク・モロー → ジェレミー=ルー・ケール
■ 3月12日(日)15:00
「ダフニスとクロエ」ダフニス:ジェルマン・ルーヴェ → マルク・モロー

(2017年2月15日現在)

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エルヴェ・モローからのメッセージ

親愛なる日本の皆様へ

 大変心苦しいお知らせを申し上げなければなりません。深刻な腰痛問題のために、パリ・オペラ座バレエ団の3月の日本公演に関し、どうしても参加を断念せざるを得ない状況となりました。このキャンセルについて、お客様、ならびにご関係者の皆様に心よりお詫びを申し上げます。
 ご想像頂けるかと思いますが、もう間もなく、東京の皆様にお会いできること、そして再びオレリーと踊れるということを私自身、何よりも楽しみにしていました。ですからこれは私にとり本当に悲しい決断でした......。
 3月初旬に日本で「ダフニスとクロエ」を踊るために、あらゆる治療と薬を頼りにけがの早期回復を図ってまいりましたが、残念ながら現時点でも腰の痛みがひどく、静養期間を延ばさざるを得なくなりました。
 一刻も早くけがを直し、舞台に戻り、そうしてまたできるだけ早く、日本で皆様のために踊る機会を与えられることを心の底より願っております。

心からの愛をこめて

エルヴェ・モロー



マチュー・ガニオからのメッセージ

親愛なる日本の皆様へ

 日本の皆様の前で、ふたたび「ラ・シルフィード」を、そして「テーマとヴァリエーション」を踊ることをずっと心待ちにしてきました。
 残念ながら、ふくらはぎに重症を負い、長期にわたる休養が必要な状況となりました。そのため、このたび、日本の皆様を訪問することがどうしても叶わなくなってしまいました。
 この事故について本当に申し訳なく、残念に思っております。できるだけ早く完治させるつもりです。そうしてできるだけ近い将来に、また皆様にお会いできることを望んでおります。
 日本の皆様が、パリ・オペラ座バレエ団の舞台を堪能してくださいますことを祈っております。
 ご理解に心から感謝しお礼申し上げます。

マチュー・ガニオ

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ユーゴ・マルシャン バイオグラヴィー
(プルミエ・ダンスール)
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  2007年、ナント国立地方音楽院で首席となったのち、パリ・オペラ座バレエ学校に入学。2011年、18歳でパリ・オペラ座バレエ団に入団。2014年、コリフェに昇進。ヴァルナ国際バレエコンクールで銅賞を獲得。2015年、スジェに昇進。カルポー賞、AROP(パリ・オペラ座振興会)賞を受賞した。2016年、プルミエ・ダンスールに昇進した。バランシン「ヴァイオリン・コンチェルト」、フォーサイス「パ。/パーツ」、キリアン「タールと羽」「詩編交響曲」、マクミラン「マノン」のデ・グリュー、マクレガー「感覚の解剖学」、ミルピエ「夜の終わり」、ヌレエフ版「白鳥の湖」のパ・ド・トロワ、「くるみ割り人形」のドロッセルマイヤー/王子、「ラ・バヤデール」のソロル、「ロミオとジュリエット」のロミオ、ロビンズ「ゴルトベルク変奏曲」などを踊る。
 オペラ座での初演作品に、ミルピエ「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」(2015)、バランシン「デュオ・コンチェルタンテ」(2016)、フォーサイス「ブレイク・ワークスⅠ」(2016)などがある。


マルク・モロー
 バイオグラヴィー
(スジェ)
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1998年、パリ・オペラ座バレエ学校に入学。2004年、17歳でパリ・オペラ座バレエ団に入団。2009年、コリフェに昇進。2010年、AROP(パリ・オペラ座振興会)賞を受賞した。2011年、スジェに昇進。振付家ミルピエの信頼が厚く、「ダフニスとクロエ」初演ではダフニス役をアマンディーヌ・アルビッソンを相手に踊った。またミルピエ振付「トゥギャザー・アローン」ではオレリー・デュポンを相手に踊っている。



ENBには世界随一のバレエ団になりうる大きな可能性を感じていた

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英国ロンドン第二のバレエ団、イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)を、たった4年の間に個性的でエキサイティングな世界一流のバレエ団へと鮮やかに変身させてみせたタマラ・ロホ 。今回満を持しての来日公演にあたって、芸術監督としてのビジョン、そして公演への意気込みを語ってくれた。

- ENBの芸術監督に就任されるずっと以前から、芸術監督になるための勉強をされていたと伺っていますが、あなたにとっての理想のバレエ団とは、どのようなものだったのでしょうか。

「私の目標は、優れた芸術の創造、一流アーティストの育成、 独自のレパートリーの発展 、そして現代の観客の心に訴える 古典作品の上演を可能とするようなバレエ団をつくることでした。私は以前、ENBでダンサーとして踊っていたので彼らをよく知っていましたし、ツアー・カンパニーであるということもあって、ENBには世界随一のバレエ団になりうる大きな可能性を感じていました」

- ENB芸術監督に就任されて、まずどんなことに取り組まれましたか。

「 核となるアーティスティック・チームの再編です。経験あるバレエ・マスターたちを新たに迎え、バレエ団のレベルを技術的・芸術的に向上させることを目指しました」

- ロイヤル・バレエ団というエスタブリッシュメントが存在するロンドンで、具体的にどのようにしてENBというブランドを確立されたのでしょうか。

「バレエ団内部でのアーティストの育成を通してです。加瀬栞、金原里奈など、 若い才能を伸ばしていくことは、とても重要だと考えています。また、 他のバレエ団とは違う独自のレパートリーを発展させていくことも大切です。まずは英国で他のバレエ団が上演していない『海賊』 の新制作を行い、そして、ピナ・バウシュの『春の祭典』など、現代の振付家による重要作品をレパートリーに加えました。アクラム・カーンといった、バレエ団とコラボレーションすることの少ない振付家による新作も手がけています」

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ヌレエフの遺志を継ぎたいと思って上演した『海賊』

- 今回の日本公演で上演される『海賊』についてお聞かせください。

「『海賊』は 、一晩で10人もの見ごたえのある ダンサーを観ることができる、ショーケース的な作品です。アン=マリー・ホームズ女史は、 私にも制作過程に関わらせてくれましたので、場面の順序を変えて物語にクリアな流れを作り、作品にリズムを生み出すこと、そしてキャラクター同士の関係性を明確にすることを目指しました」

- ボブ・リングウッドによる目を見張るばかりのセットと衣装も、作品に説得力を与えていたように思います。

「多文化都市ロンドンに拠点を置いている我々は、とても幸運です。ですから、インド、パキスタン、中東の伝統的な花嫁衣装を容易に入手することができました。それを裁断して作ったチュチュには、すべてが本物であるからこその美しさがあります」

- 『海賊』は、昨夏のパリ・オペラ座ガルニエ宮での公演も大成功を収めましたね。

「連日満員御礼となるほどの大盛況となり、 私自身にとってもたいへん誇りに思える公演となりました。というのも、『海賊』は、ルドルフ・ヌレエフがパリ・オペラ座バレエ団の芸術監督時代に制作したいと願いながら、その早すぎる死によって実現することのなかった作品だったからです。私にとってヌレエフは、芸術監督としての指標でもあり、パリ・オペラ座バレエ団において彼がおこなった改革、そして彼が育成した次世代のダンサーたちに受け継がれた遺産、 その優れた作品の数々、すべてにインスパイアされてきました。そんなヌレエフがやり残した最後の仕事である『海賊』をパリ・オペラ座で上演することで、彼の成し遂げたかった夢を完成させることができたように思っています」

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愛らしい、きらめく宝石のような『コッペリア』

- 今回のもう一つの上演作品である『コッペリア』も たいへん人気があります。その魅力を教えてください。

「『コッペリア』は、たいへん愛らしい、きらめく宝石のような 作品です。ロナルド・ハインド版には、物語に明確な流れがありますし、 ドールハウスのように美しいセットも魅力です。『海賊』に比べるとより古典的な作品になりますが、コミカルで軽いタッチの作品は、お子様連れのご家族にもぴったりだと思いますし、バレエを観たことがない方にも、きっと楽しんでいただけるはずです」


- 最後に、芸術監督としては初めてとなる日本公演に向けての抱負をお聞かせください。

「世界中の優れたバレエを観て目の肥えた日本の観客の皆様に、私たちのカンパニーをお披露目し、公演を楽しんでいただき、願わくはENBと恋に落ちていただけたらと思っています。そしてこの公演を機に日本の皆様と長期的な関係を築き、 古典作品だけでなく、アクラム・カーンの『ジゼル』など、多様な作品を日本でもどんどん上演していけることを願っています」


取材・文/實川絢子

photo:Jeff Gilbert(Tamara Rojo)、photo:Laurent Liotardo(stages)


オペラ座&ロイヤル 夢の共演
〈バレエ・スプリーム〉
BALLET SUPREME

■予定される出演者

【パリ・オペラ座バレエ団】
レオノール・ボラック(パリ・オペラ座バレエ団エトワール) 
マチアス・エイマン(パリ・オペラ座バレエ団エトワール)
ジェルマン・ルーヴェ(パリ・オペラ座バレエ団エトワール) 
ミリアム・ウルド=ブラーム(パリ・オペラ座バレエ団エトワール) 
ユーゴ・マルシャン(パリ・オペラ座バレエ団エトワール)
フランソワ・アリュー(パリ・オペラ座バレエ団プルミエ・ダンスール) 
オニール八菜(パリ・オペラ座バレエ団プルミエール・ダンスーズ)

【英国ロイヤル・バレエ団】
スティーヴン・マックレー(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
フェデリコ・ボネッリ(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
フランチェスカ・ヘイワード(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
サラ・ラム(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)  
ヤーナ・サレンコ(英国ロイヤル・バレエ団ゲスト・アーティスト) 
高田茜(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル) 
マルセリーノ・サンベ(英国ロイヤル・バレエ団ソリスト)
ベンジャミン・エラ(英国ロイヤル・ バレエ団ファースト・アーティスト)

■公演日程
Aプロ
7月26日(水) 18:30 
7月27日(木) 18:30 

Bプロ
7月29日(土) 13:00 
7月29日(土) 18:00.
7月30日(日) 14:00 

■予定される演目
「白鳥の湖」、「ドン・キホーテ」、「ロミオとジュリエット」、「ジゼル」などのパ・ド・ドゥをはじめ、ヌレエフ、バランシン、アシュトン、マクレガー、ウィールドンによる振付作品の数々を予定
※演奏は特別録音による音源を使用します。

■会場:文京シビックホール(都営地下鉄「春日」/東京メトロ「後楽園」下車)  

■入場料(税込み): S=\19,000 A=\17,000 B=\15,000 C=\12,000 D=\9,000 

■NBS WEBチケット先行発売[座席選択 S~C]: 3/21(火)21時~3/27(月)18時

■一斉発売:4/8(土)10時~

■チケットのお申し込み/お問い合わせ 
NBSチケットセンター 03-3791-8888 (平日10:00~18:00、土曜10:00~13:00)

■主催:公益財団法人日本舞台芸術振興会  後援:文京シビックホール(公益財団法人文京アカデミー)


チケットご購入の前に必ずお読みください。
※出演者は2017年1月30日現在の予定です。ダンサーの怪我等により変更になる可能性がございますので、あらかじめご了承ください。出演者・演目変更によるチケットの払い戻し、日にち変更等はお受けできません。最終的なプログラムは公演当日に会場で発表します。


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※昨夏、第27回〈バレエの祭典〉プレミアム・シーズンのラインナップ発表時に、本公演の"オペラ座"チームの代表としてオレリー・デュポンが参加するとお知らせいたしましたが、デュポン自身から、下記のような事情によってダンサーとして出演できない旨の申し出がありました。しかしながら本人も述べておりますように、デュポンはオペラ座チームのスーパーバイザーとして公演に関わってまいります。なにとぞご了承いただきますようお願い申し上げます。


オレリー・デュポンからのメッセージ

今回のプロジェクトは、私にとって新たな試みであり、私が選んだオペラ座のダンサーとともにプログラムを考え、準備を進め、皆様にお見せすることはとてもエキサイティングなことだと思っています。
このプロジェクトを提案された時は、もちろん、私自身もダンサーとして出演するつもりでした。
しかしながら、パリ・オペラ座バレエ団の芸術監督に着任したことにより、私がこの公演に参加することは出来ないだろうということがいまわかってきました。私が思うとおりに十分な準備をする時間が取れないからです。
もう踊るのをやめるということではありませんが、時間が足りないのです。私はいつも、日本の観客の皆様に素晴らしい舞台をお見せしたいと強く願っておりますので、今回は舞台に立つことを控えさせていただきたいという結論に至りましたことを、どうぞご理解くださいますようお願いいたします。
舞台には立ちませんが、私自身、スーパーバイザーとして、このプロジェクトに関わっていきます。プログラミング、リハーサルなどを通じて、私の選んだダンサーたちが素晴らしいパフォーマンスを皆様にお届けできるよう、惜しみなく、全面的にサポートするつもりです。
皆さまが、パリ・オペラ座バレエ団のダンサーたちとスティーヴン・マックレーを中心とするロイヤル・バレエ団のダンサーたちとの共演をお楽しみいただきますよう、心より願っております。

敬意をこめて
オレリー・デュポン


C'est un nouveau projet pour moi.
Je trouve très excitant de mettre en place un programme avec les danseurs de l'Opéra que j'ai choisi, et de vous proposer un programme que j'ai pensé avec eux.
Biensur, lorsque l'on m'a proposé le projet, je souhaitais danser avec eux.
Avec mes nouvelles fonctions a la direction de l'Opera, j'ai vite réalisé que je ne pourrai pas participer a ces spectacles car je n'ai pas le temps de me preparer correctement, comme je voudrai.
Cela ne veut pas dire que j'arrête de danser mais je n'ai pas assez de temps.
J'ai toujours très envie de presenter de jolis programmes au public japonais et je vous demande de bien vouloir comprendre la decision que j'ai pris de m'abstenir de danser cette fois ci.
Je ne serai pas présente sur scene, mais je continue de participer au projet en tant que superviseur.
Je vais faire tous mes efforts pour aider les danseurs que j'ai choisi, en programmation, en repetitions, etc... afin qu'ils vous présentent une tres belle soirée.
J'espère de tout mon coeur que vous apprécierez les spectacles réalisés ensemble par les danseurs de Ballet de l'Opera de Paris et les danseurs dirigés par Steven McRae du Royal Ballet.

Respectueusement
Aurelie Dupont

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