2015年11月アーカイブ

シュツットガルト・バレエ団2015年日本公演
オネーギン
ジョン・クランコによる全3幕のバレエ
アレクサンドル・プーシキンの韻文小説に基づく

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト


オネーギン:ジェイソン・レイリー

レンスキー:ダニエル・カマルゴ
オネーギンの友人

ラーリナ夫人:メリンダ・ウィサム
未亡人

タチヤーナ:アンナ・オサチェンコ
ラーリナ夫人の娘

オリガ:エリサ・バデネス
ラーリナ夫人の娘

彼女たちの乳母:ダニエラ・ランゼッティ

グレーミン公爵:ロバート・ロビンソン
ラーリナ家の友人

近所の人々、ラーリナ夫人の親戚たち/ 
サンクトペテルブルクのグレーミン公爵の客人たち:シュツットガルト・バレエ団


指揮:ジェームズ・タグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


◆上演時間

第1幕 14:00 - 14:45

休憩 20 分

第2幕 15:05-15:30

休憩 20 分

第3幕 15:50 -16:15

シュツットガルト・バレエ団2015年日本公演
オネーギン
ジョン・クランコによる全3幕のバレエ
アレクサンドル・プーシキンの韻文小説に基づく

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト


オネーギン:ロマン・ノヴィツキー

レンスキー:パブロ・フォン・シュテルネンフェルス
オネーギンの友人

ラーリナ夫人:メリンダ・ウィサム
未亡人

タチヤーナ:ヒョ・ジョン・カン
ラーリナ夫人の娘

オリガ:アンジェリーナ・ズッカリーニ
ラーリナ夫人の娘

彼女たちの乳母:ダニエラ・ランゼッティ

グレーミン公爵:マテオ・クロッカード=ヴィラ
ラーリナ家の友人

近所の人々、ラーリナ夫人の親戚たち/ 
サンクトペテルブルクのグレーミン公爵の客人たち:シュツットガルト・バレエ団


指揮:ジェームズ・タグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


◆上演時間

第1幕 14:00 - 14:45

休憩 20 分

第2幕 15:05-15:30

休憩 20 分

第3幕 15:50 -16:15

シュツットガルト・バレエ団2015年日本公演
オネーギン
ジョン・クランコによる全3幕のバレエ
アレクサンドル・プーシキンの韻文小説に基づく

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト


オネーギン:フリーデマン・フォーゲル

レンスキー:コンスタンティン・アレン
オネーギンの友人

ラーリナ夫人:メリンダ・ウィサム
未亡人

タチヤーナ:アリシア・アマトリアン
ラーリナ夫人の娘

オリガ:エリサ・バデネス
ラーリナ夫人の娘

彼女たちの乳母:ダニエラ・ランゼッティ

グレーミン公爵:ロバート・ロビンソン
ラーリナ家の友人

近所の人々、ラーリナ夫人の親戚たち/ 
サンクトペテルブルクのグレーミン公爵の客人たち:シュツットガルト・バレエ団


指揮:ジェームズ・タグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


◆上演時間

第1幕 14:00 - 14:45

休憩 20 分

第2幕 15:05-15:30

休憩 20 分

第3幕 15:50 -16:15

シュツットガルト・バレエ団「オネーギン」の主なキャストが決定いたしましたので、お知らせいたします。


11月21日(土)

 オネーギン:フリーデマン・フォーゲル
 タチヤーナ:アリシア・アマトリアン
 レンスキー:コンスタンティン・アレン
 オリガ:エリサ・バデネス
 グレーミン公爵:ロバート・ロビンソン


11月22日(日)

 オネーギン:ロマン・ノヴィツキー
 タチヤーナ:ヒョ・ジョン・カン
 レンスキー:パブロ・フォン・シュテルネンフェルス
 オリガ:アンジェリーナ・ズッカリーニ
 グレーミン公爵:マテオ・クロッカード=ヴィラ


11月23日(月・祝)

 オネーギン:ジェイソン・レイリー
 タチヤーナ:アンナ・オサチェンコ
 レンスキー:ダニエル・カマルゴ
 オリガ:エリサ・バデネス
 グレーミン公爵:ロバート・ロビンソン


※11月18日(水)現在の予定です。やむを得ない事情により変更となる場合がありますので、ご了承ください。

【第1部】

『ボリショイに捧ぐ』
振付:ジョン・クランコ 
音楽:アレクサンドル・グラズノフ 

アリシア・アマトリアン、コンスタンティン・アレン*

『Ssss..』よりソロ
振付:エドワード・クルグ 
音楽:フレデリック・ショパン
衣裳・装置:トーマス・ミカ
照明:エドワード・クルグ

パブロ・フォン・シュテルネンフェルス
ピアノ: アラステア・バナーマン


『リトル・モンスターズ』
振付:デミス・ヴォルピ 
音楽:エルヴィス・プレスリー
衣裳:カタリーナ・シュリップ

エリサ・バデネス、ダニエル・カマルゴ

『In 2』
振付:ファビオ・アドリジオ 
音楽:フィリップ・グラス

ミリアム・カセロヴァ、ロマン・ノヴィツキー*
ピアノ : カテリーネ・シュミット

『心室』
振付:イツィク・ガリリ 
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
衣裳・照明:イツィク・ガリリ

フリーデマン・フォーゲル、ジェイソン・レイリー
ピアノ: アリーナ・ゴドゥノフ


『バイト』
振付:カタジェナ・コジルスカ 
音楽:ガブリエル・プロコフィエフ

アンナ・オサチェンコ、コンスタンティン・アレン


【第2部】

『イニシャルR.B.M.E』第3楽章
振付:ジョン・クランコ 
音楽:ヨハネス・ブラームス
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ

アリシア・アマトリアン、フリーデマン・フォーゲル
エリザ・ギサルベルティ, アレクザンダー・マッゴーワン,
エレナ・ブシュエヴァ, ジェイムズ・フィッシャー
アヤラ・イトゥリオス・リコ, タイトス・ジャンセン,
アヌーク・ファン・デル・ヴァイデ, マテオ・クロッカード=ヴィラ
ジョアナ・ロマネイロ, マルティ・フェルナンデス・パシャ,
フリア・ベルグア・オレロ, ファビオ・アドリジオ
ピアノ: マリア・キオショーヴァ


『モペイ』
振付:マルコ・ゲッケ 
音楽:カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ
衣裳:マーク・ザッポーネ 
照明デザイン:ウド・ハバーラント

ロバート・ロビンソン*

『ファンファーレLX』
振付・美術:ダグラス・リー
音楽:マイケル・ナイマン

アンナ・オサチェンコ、ジェイソン・レイリー

『魅惑』
振付:デミス・ヴォルピ 
音楽:ニーナ・シモン

ヒョ・ジョン・カン

『じゃじゃ馬馴らし』よりパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ (シェイクスピアの原作に基づく)
音楽:ドメニコ・スカルラッティ 
編曲:クルト・ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:エリザベス・ダルトン

エリサ・バデネス、ダニエル・カマルゴ


【第3部】

『伝説』
振付:ジョン・クランコ 
振付:ヘンリク・ヴィエニャフスキ

アリシア・アマトリアン、フリーデマン・フォーゲル

『同じ大きさ?』
振付:ロマン・ノヴィツキー 
音楽:ハズマット・モディーン

マテオ・クロッカード=ヴィラ、ルイス・シュティンス、
アレクザンダー・マッゴーワン


『ホルベアの時代より』
振付:ジョン・クランコ 
音楽:エドヴァルド・グリーグ

ミリアム・カセロヴァ、コンスタンティン・アレン

『モノ・リサ』
振付:イツィク・ガリリ
音楽コンセプト・作曲:トーマス・ヘフス、イツィク・ガリリ
装置:イツィク・ガリリ
衣裳:ナターシャ・ランセン
照明デザイン: イツィク・ガリリ

ヒョ・ジョン・カン、ジェイソン・レイリー

『ドン・キホーテ』よりパ・ド・ドゥ
振付:マキシミリアーノ・グエラ 
音楽:ルトヴィク・ミンクス
装置・衣裳:ラモン・B. イヴァルス
照明デザイン:オッリ=ペッカ・コイヴネン

エリサ・バデネス、ダニエル・カマルゴ



指揮:ジェームズ・タグル、ヴォルフガング・ハインツ  
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
『Ssss..』よりソロ、『In2』『心室』はピアノ演奏、『リトル・モンスターズ』『バイト』『魅惑』『同じ大きさ?』『モノ・リサ』は特別録音による音源を使用します。



◆上演時間

第1部 18:30 - 19:20

休憩 15分

第2部 19:35 -20:20

休憩 15分

第3部 20:35 -21:25



*印は当初発表した配役から変更になっております(11/10ホームページ発表)。

シュツットガルト・バレエ団2015年日本公演
「ロミオとジュリエット」
ウィリアム・シェイクスピア原作による3幕のバレエ

振付:ジョン・クランコ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
初演:1962年12月2日、シュツットガルト


キャピュレット家
キャピュレット公:ローランド・ダレシオ
キャピュレット夫人:メリンダ・ウィザム
ジュリエット:エリサ・バデネス
ティボルト:ロマン・ノヴィツキー
パリス:コンスタンチン・アレン
乳母:ダニエラ・ランゼッティ


モンタギュー家
モンタギュー公:キリル・コルニロフ
モンタギュー夫人:エレナ・ブシュエヴァ
ロミオ:ダニエル・カマルゴ
マキューシオ:パブロ・フォン・シュテルネンフェルス
ベンヴォーリオ:ルイス・シュティンス

ヴェローナの大公:セドリック・ルップ
僧ローレンス:セドリック・ルップ
ロザリンド:アヌーク・ファン・デル・ヴァイデ
ジプシー:アンジェリーナ・ズッカリーニ、森田愛海、ロシオ・アレマン

カーニバルのダンサー:ルドヴィコ・パーチェ、ルイジ・ヤン、パウラ・レゼンデ
オスカン・アイク、ロジェ・クワドラド


ヴェローナの貴族と街の人々:シュツットガルト・バレエ団


指揮:ジェームズ・タグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


◆上演時間

第1幕 14:00 - 14:55

休憩 20分

第2幕 15:15 -15:45

休憩 20分

第3幕 16:05 - 16:45

シュツットガルト・バレエ団2015年日本公演
「ロミオとジュリエット」
ウィリアム・シェイクスピア原作による3幕のバレエ

振付:ジョン・クランコ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
初演:1962年12月2日、シュツットガルト


キャピュレット家
キャピュレット公:ローランド・ダレシオ
キャピュレット夫人:メリンダ・ウィザム
ジュリエット:アンナ・オサチェンコ
ティボルト:マッテオ・クロッカード=ヴィッラ
パリス:ジェームズ・フィッシャー
乳母:ダニエラ・ランゼッティ


モンタギュー家
モンタギュー公:キリル・コルニロフ
モンタギュー夫人:フリア・ベルグア・オレロ
ロミオ:ジェイソン・レイリー
マキューシオ:ロバート・ロビンソン
ベンヴォーリオ:マルティ・フェルナンデス・パイシャ

ヴェローナの大公:ルイス・シュティンス
僧ローレンス:ルイス・シュティンス
ロザリンド:アヌーク・ファン・デル・ヴァイデ
ジプシー:カタジェーナ・コズィエルスカ、エレナ・ブシュエヴァ、ロシオ・アレマン

カーニバルのダンサー:アレサンダー・マクガーワン、アグネス・スー、アウロラ・デ・モーリ
ファビオ・アドリシオ、マッテオ・ミッチーニ

ヴェローナの貴族と街の人々:シュツットガルト・バレエ団


指揮:ジェームズ・タグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


◆上演時間

第1幕 14:00 - 14:55

休憩 20分

第2幕 15:15 -15:45

休憩 20分

第3幕 16:05 - 16:45

 科学や文明の発展、人類の精神的深化・高揚に著しく貢献した人物の功績を讃えて贈られる国際賞、「京都賞」の第31回授賞式が11月10日に開催され、その思想・芸術部門に選ばれたハンブルク・バレエ団芸術監督/振付家のジョン・ノイマイヤーが来日、式典に出席しました。京都賞は、ダンス界では過去にモーリス・ベジャール、ピナ・バウシュも受賞しています。
 
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(左より)先端技術部門受賞の國武 豊喜 博士、基礎科学部門受賞のミシェル・マイヨール博士 
思想・芸術部門受賞のジョン・ノイマイヤー氏 (写真提供:稲盛財団)


 国立京都国際会館で行われた式典は、京都市交響楽団による演奏と奉祝能「小鍛冶」など雅やかな京都の文化につつまれながら始まり、高円宮妃殿下の祝辞につづいて本年度の受賞者がその功績とともに紹介されました。
 
「身体の持つ表現力を最大限に引き出し、 人間心理を巧みに表現した振付によって舞踊界をリードし続けている」など紹介されたノイマイヤーは、つぎのような挨拶の辞を述べました。

「その叙情性と気品あふれる文化で長年にわたって私を魅了している日本という国で、このような誉れ高い賞をいただくことは、私にとって特別なことです。日本に来るたびに、1986年にハンブルク・バレエ団と一緒に初めて来日した時のことを思い出します。ある時、公演後に私は観客に話しかける機会がありました。ドイツの文化的組織であるハンブルク・バレエ団を代表して舞台の上に立ちながら、ドイツ連邦と日本の国旗の間に立っていることに気づきました。アメリカ人である人間として私は、日本とドイツという、子ども時代の2つの敵国の旗の間に立ち、振付という仕事とアーティストたちを通じて、平和と和解への文化的な立場からのメッセージを発信しているのだということに、深く感動したのです。1986年2月に、J.S.バッハの『マタイ受難曲』を広島で公演中の出来事であり、アーティストであることに大きな誇りを感じるとともに、ある種の使命を感じました。この賞をいただくことは、私が率いるハンブルク・バレエ学校の生徒たちの励みにもなることです。私の生徒たちには、すべてを無条件に照らす光となって人々の心を感動させるアーティストになってほしいと願っています」

 なお授賞式と晩餐会には、折しも今週から日本公演を控えたシュツットガルト・バレエ団の芸術監督リード・アンダーソンとバレエ・マスターのタマシュ・デートリッヒらが招かれ、ノイマイヤーに祝いを述べました。


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「京都賞」晩餐会にて。(左から)元ハンブルク・バレエ団ソリストの大石裕香、
リード・アンダーソン、ジョン・ノイマイヤー、(右端)タマシュ・デートリッヒ 


 また翌日には記念講演会が開催され、ノイマイヤーも「ダンス─感情に生きたかたちを与える」と題して登壇。この講演はYOUTUBE京都賞公式チャンネルにて視聴することができます。

★ノイマイヤー「京都賞」記念講演会

フリーライターの佐藤友紀さんが、1945年にリチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン2世によって創られたミュージカル『回転木馬』、来年3月にハンブルク・バレエ団により日本初演となる、ノイマイヤー版『リリオム-回転木馬』の作曲を手がけたミシェル・ルグランについて、それぞれの魅力と功績を語るとともに、ノイマイヤー版への期待を綴ってくださいました。


佐藤友紀(フリーライター)


 うわっ、これってある意味、本家返りじゃないの!と『リリオム』がジョン・ノイマイヤーによってバレエ作品になると初めて聞いた時、ひとりで興奮してしまった。フェレンク・モナールのオリジナル戯曲としては残念ながら観たことはないが、リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン2世の手によるミュージカル版『回転木馬』は舞台も映画も何回も観ており、特に今は天国に暮らす主人公ビリー(*)の娘ルイーズ(**)が、友人たちにいじめられた後、不思議な男の誘いで踊るバレエ・シークエンスのシーンが大好きだったのだ。この場面、序曲と最も有名なナンバー"イフ・アイ・ラブド・ユー"で踊られるが、ブロードウェイ版ではABT(アメリカン・バレエ・シアター)のプリンシパル、キース・ロバーツが"不思議な男"を踊るなど、ダンスのクオリティがものすごく高い。ということは、ミュージカル『回転木馬』は、なまじ劇中歌が先述の"イフ・アイ・ラブド・ユー"や"6月は一斉に花開く""ミスター・スノー"そして誰もが感動する"ユール・ネバー・アローン"などの美しい歌曲に彩られていることによって、あまりダンス作品の様相を呈しないが、作り方によってはバレエにぴったりの内容だと合点がいった次第だ。
 モルナールの原作はブタペストが背景。これが『回転木馬』だとアメリカのメイン州の漁村になる。回転木馬の客引きをしていたビリーは、工場に勤めるウブな娘ジョリーを好きになり、2人は結婚するのだが、ビリーは職を失ってしまう。これだけでもミュージカルとしては十分暗い話なのに、この後、盗みを企てたビリーが事故で死に、ジュリーのお腹にはビリーとの忘れ形見が宿っていた。という物語の展開には息を飲むしかない。
 もっともモルナールの原作戯曲もミュージカル『回転木馬』も、ここから奇跡のような話が待っている。いや、奇跡を描くのであれば、むしろバレエ作品の方がいいだろうと誰もが納得すること必至の、しかもノイマイヤー振付作の曲づくりを手がけたのが、音楽界のレジェンド、ミシェル・ルグランなのである。
 フランス音楽の名門一家に生まれ育ち、パリのコンセルヴァトワール(国立高等音楽院)を主席で卒業したルグランは、早くからさまざまな音楽を作ってきた。ジャック・ドウミ監督とは『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人』たちを生み出し、ハリウッド製ミュージカルとは一線を画したかと思ったら『華麗なる賭け』『おもいでの夏』『栄光のル・マン』などではとっくに国境を超える活躍ぶり。しかもルグラン本人も認めているように、古典音楽の素養に「戦後、浴びるほど聴いていた」アメリカン・ジャズのテイストが絶妙にマッチし、日本では男性化粧品やビールのCM、あるいはフジフィルム化粧品のCMなどで使われる曲は半世紀近く前のものなのだ。どこか近未来的な香りもするスペシャルさ。こうしたルグラン特有のテイストが、この世に残した自分の息子、そして心から愛した女性の身を案じて、神から特別に許可をもらってこの世に戻ってきた主人公というファンタジックなストーリーを引き立てるのだろう。
 もちろん、映画での活躍ほど有名ではないが、ルグランには『壁抜け男』というパリのエスプリにあふれたミュージカル作品もある。バーブラ・ストライサンドが女性監督初のアカデミー賞を獲得しそうだった『愛のイエントル』の音楽とストーリーの組み立て方のダイナミズムにも改めて驚かされた。バレエでいうならば、リリカルな恋人同士のパ・ド・ドゥも、迫力満点の群舞にも、それぞれの冴えを見せるのがミシェル・ルグランなのだ。
『回転木馬』の初演時の観客席で、すすり泣いている女性客が多かったのは、皆、戦争で亡くなった夫や恋人にビリーの姿を重ね合わせていたからというサイドストーリーも胸にしみる。時を超えて、ノイマイヤー版『リリオム-回転木馬』も感動的なものになるに違いない。

(*)ノイマイヤー版ではリリオム。
(*)ノイマイヤー版では息子ルイスの設定。


◇ハンブルク・バレエ団公演概要はこちら>>>

シュツットガルト・バレエ団2015年日本公演
「ロミオとジュリエット」
ウィリアム・シェイクスピア原作による3幕のバレエ

振付:ジョン・クランコ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
初演:1962年12月2日、シュツットガルト

キャピュレット家
キャピュレット公:ローランド・ダレシオ
キャピュレット夫人:メリンダ・ウィザム
ジュリエット:アリシア・アマトリアン
ティボルト:ロマン・ノヴィツキー
パリス:コンスタンチン・アレン
乳母:ダニエラ・ランゼッティ

モンタギュー家
モンタギュー公:キリル・コルニロフ
モンタギュー夫人:エレナ・ブシュエヴァ
ロミオ:フリーデマン・フォーゲル
マキューシオ:ダニエル・カマルゴ
ベンヴォーリオ:パブロ・フォン・シュテルネンフェルス

ヴェローナの大公:ルイス・シュティンス
僧ローレンス:ルイス・シュティンス
ロザリンド:アヌーク・ファン・デル・ヴァイデ
ジプシー:アンジェリーナ・ズッカリーニ、森田愛海、ロシオ・アレマン

カーニバルのダンサー:ルドヴィコ・パーチェ、ルイジ・ヤン、パウラ・レゼンデ
オスカン・アイク、ロジェ・クワドラド

ヴェローナの貴族と街の人々:シュツットガルト・バレエ団

指揮:ジェームズ・タグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


◆上演時間

第1幕 18:30 - 19:25

休憩 20分

第2幕 19:45 -20:15

休憩 20分

第3幕 20:35 -21:15

間もなく開幕するシュツットガルト・バレエ団2016年日本公演。11月18日(水)のガラ公演〈シュツットガルトの奇跡〉では、創設者クランコの4つの小品とともに、現在の常任振付家であるマルコ・ゲッケとデミス・ヴォルピ、すでに日本でも作品が紹介されているイツィク・ガリリ、エドゥアルド・クルグなど活躍中の振付家たちの作品を、シュツットガルトのスターたちが総出演で上演。
最新のキャストとともに作品解説を掲載いたしますので、ご鑑賞前にぜひご一読ください。



『ボリショイに捧ぐ』
振付:ジョン・クランコ 音楽:アレクサンドル・グラズノフ 
出演:アリシア・アマトリアン、コンスタンティン・アレン★
創設者ジョン・クランコによる、20 世紀半ばに欧米を席巻したソビエトのバレエに想を得た作品。アクロバットのように大胆なリフトと完璧なラインが散りばめられている。


『Ssss..』よりソロ
振付:エドワード・クルグ 音楽:フレデリック・ショパン
出演:パブロ・フォン・シュテルネンフェルス
 ショパンの哀感に満ちた「ノクターン」を使用したソロ。ムーヴメントと音楽が響き合い、夜半の深く青い月の光に照らし出された世界を出現させる。


『リトル・モンスターズ』
振付:デミス・ヴォルピ 音楽:エルヴィス・プレスリー
出演:エリサ・バデネス、ダニエル・カマルゴ
 エルヴィス・プレスリーのヒットメドレーにのって、二人のダンサーは義務と欲望の間を行き交う。肩を寄せ合ったかと思うと、互いの手の届かないところに消え去ろうとする。


『In2』
振付:ファビオ・アドリジオ 音楽:フィリップ・グラス
出演:ミリアム・カセロヴァ、ロマン・ノヴィツキー★
 フィリップ・グラスのピアノ曲のスピード感と静けさに共鳴しながら、男女を惹きつける力と反発させる力の底流にあるものを探っていく。〈若手振付家の夕べ〉で初演された、優雅で洗練されたパ・ド・ドゥ。


『心室』
振付:イツィク・ガリリ 音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
出演:フリーデマン・フォーゲル、ジェイソン・レイリー
 フリーデマン・フォーゲルとジェイソン・レイリーのために創作された。二人の男性がしっかりと抱擁し合った後、深い友情と敵対心によって突き動かされる様子を描き出す。

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『バイト』
振付:カタジェナ・コジルスカ 音楽:ガブリエル・プロコフィエフ
出演:アンナ・オサチェンコ、コンスタンティン・アレン
熱烈に向き合う男女による、ダイナミックで、しなやかで、躍動的、なおかつユーモラスなパ・ド・ドゥ。根底にあるのは、親密な関係と支配欲とのスリリングなせめぎ合いだ。


『イニシャルR.B.M.E』第3楽章
振付:ジョン・クランコ 音楽:ヨハネス・ブラームス
出演:アリシア・アマトリアン、フリーデマン・フォーゲル、ほか
 クランコのミューズ、マリシア・ハイデに捧げられた第3楽章「M」はこの傑作の中核を為す場面。ある女性と男性の関係を描きつつ、愛について、愛を失うことについて語る。


『モペイ』
振付:マルコ・ゲッケ 音楽:カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ
出演:ロバート・ロビンソン★
バロック音楽を用いた遊び心に満ちたソロ。手と腕の細やかな波動と、憑かれたように激しく、時に奇想天外な全身の躍動を融合させた動きにゲッケ得意の手法がちりばめられている。


『ファンファーレLX』
振付・美術:ダグラス・リー 音楽:マイケル・ナイマン
出演:アンナ・オサチェンコ、ジェイソン・レイリー
 ダグラス・リーが芸術監督リード・アンダーソンの 60 歳の誕生日のサプライズとして創作したパ・ド・ドゥ。ガラ公演の人気演目。


『魅惑』
振付:デミス・ヴォルピ 音楽:ニーナ・シモン
出演:ヒョ・ジョン・カン
 ニーナ・シモンが愛敬たっぷりに歌うジャズ曲「グッド・ベイト」に身を任せ、女性が備えている神秘的な魅力について語るソロ。


『じゃじゃ馬馴らし』よりパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 
音楽:ドメニコ・スカルラッティ 編曲:クルト・ハインツ・シュトルツェ
出演:エリサ・バデネス、ダニエル・カマルゴ
 クランコの卓越した才気が生み出した、どうしようもなく自意識過剰の男と、男勝りの闘争心を持つ女のペアによる、バレエ史上類をみない愉快なパ・ド・ドゥ。


『伝説』
振付:ジョン・クランコ 振付:ヘンリク・ヴィエニャフスキ
出演:アリシア・アマトリアン、フリーデマン・フォーゲル
 ロシアの伝説的バレリーナ、ガリーナ・ウラーノワへのオマージュとしてクランコが創作。難易度の高い流麗なリフトを多用した詩情あふれる振付は、クランコの新生面を開いた。


『同じ大きさ?』
振付:ロマン・ノヴィツキー 音楽:ハズマット・モディーン
出演:マテオ・クロッカード=ヴィラ、ルイス・スティンス、アレクザンダー・マッゴーワン
 個性派バンド、ハズマット・モディーンの軽妙洒脱な音楽にのせて、現役ダンサーのロマン・ノヴィツキーが振付けた陽気な小品。地元観客の熱狂的な喝采を浴び、ヒット作品となった。


『ホルベアの時代より』
振付:ジョン・クランコ 音楽:エドヴァルド・グリーグ
出演:ミリアム・カセロヴァ、コンスタンティン・アレン
 超絶技巧と高度なリフトを満載した振付が、エドヴァルド・グリーグの音楽のスタイルと見事な調和を見せるパ・ド・ドゥ。ビルギット・カイルとハインツ・クラウスが初演。

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『モノ・リサ』
振付:イツィク・ガリリ 音楽コンセプト・作曲:トーマス・ヘフス、イツィク・ガリリ
出演:ヒョ・ジョン・カン、ジェイソン・レイリー
スポットライトが天井から吊り下げられ、音楽が鼓動のようなリズムを刻む中、二人のダンサーが出会い、激しい闘争を繰り広げるかのようなクールで先鋭的なパ・ド・ドゥ。


『ドン・キホーテ』よりパ・ド・ドゥ
振付:マキシミリアーノ・グエラ 音楽:ルトヴィク・ミンクス
出演:エリサ・バデネス、ダニエル・カマルゴ
全幕の最後に主人公のキトリとバジルが踊る、華麗なテクニックに溢れた、観客を熱狂させずにはおかないパ・ド・ドゥ。


★当初発表したキャストから変更になっております。ご了承ください(10月30日)。


photo:Bernd Weissbrod

いよいよ来週末の11月13日に初日を控えたシュツットガルト・バレエ団公演。現地から届いたスペシャルメッセージの締めくくりとして、芸術監督リード・アンダーソンの登場です。今回の日本公演の魅力と見どころを語りながら、天才振付家ジョン・クランコを創設者とするこの名門バレエ団の伝統と現在についても教えてくれています。「ロミオとジュリエット」「オネーギン」そしてガラ公演〈シュツットガルトの奇跡〉。どれも観たくなること請け合いです!






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ウィーン・フォルクスオーパー 公演概要

エメリッヒ・カールマン作曲 
『チャルダーシュの女王』 全3幕  Die Csárdásfürstin
ルドルフ・ビーブル指揮
ロベルト・ヘルツル演出

5月14日(土) 3:00p.m. 東京文化会館
5月15日(日) 3:00p.m. 東京文化会館
5月16日(月) 3:00p.m. 東京文化会館



J.シュトラウスⅡ作曲
『こうもり』 全3幕  Die Fledermaus
アルフレート・エシュヴェ/ゲーリット・ブリースニッツ指揮
ハインツ・ツェドニク演出

5月19日(木) 6:30p.m. 東京文化会館
5月20日(金) 6:30p.m. 東京文化会館
5月21日(土) 2:00p.m. 東京文化会館
5月22日(日) 2:00p.m. 東京文化会館



フランツ・レハール作曲
『メリー・ウィドウ』 全3幕  Die lustige Witwe
アルフレート・エシュヴェ指揮
アルトゥーロ・マレッリ演出

5月26日(木) 6:30p.m. 東京文化会館
5月27日(金) 6:30p.m. 東京文化会館
5月28日(土) 2:00p.m. 東京文化会館
5月29日(日) 2:00p.m. 東京文化会館



■入場料(税込)
S=¥39,000 A=¥34,000  B=¥29,000  C=¥23,000  D=¥18,000 
E=¥14,000  F=¥10,000

エコノミー券=¥8,000  学生券=¥6,000


■チケット発売

◇2演目/3演目セット券(S,A,B券)
 
NBSWEBチケット先行発売
 [座席選択]:11/20(金)9:00p.m.~11/23(月・祝)6:00p.m.

NBSチケットセンター 03-3791-8888
東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650

 電話受付:11/28(土)10:00p.m.より


◇一斉前売開始(全公演のS~D券)12月12日(土)10:00a.m.より

NBSチケットセンター 03-3791-8888
NBSWEBチケット先行発売
 [座席選択S~B券]:12/4(金)9:00p.m.~12/6(日)6:00p.m.



入場券ご購入にあたり、下記についてあらかじめご了承ください。
このチラシ表記の出演者は2015年10月26日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても、代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。出演者変更にともなうチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は当日発表とさせていただきます。

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