2013年5月アーカイブ

 今回の東京バレエ団『ラ・シルフィード』公演で注目されるのは、主役にキャスティングされた二組の若手スター──初日を踊る渡辺理恵と柄本弾、2日目に登場する沖香菜子と松野大乃の活躍です。柄本をのぞく3人が初役とあって、斎藤友佳理の指導は実に緻密。彼女のパートナーとしてジェイムズ役を踊ってきた高岸直樹も指導に加わり、バレエ・ミストレスの佐野志織を含め、斎藤と長く一緒に踊ってきた仲間との連携で、中身の濃い、充実のリハーサルが繰り広げられています。

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 この日のリハーサルは、第2幕、森の場面からスタート。シルフィードを追って森にやってきたジェイムズ、さらに客席全体をも魅了する、幻想的で美しい世界を創り上げていきます。
 斎藤いわく、ここでのシルフィードは、「自分の世界に戻って来て、1幕以上に生き生きとしている」。しかもそこには愛するジェイムズもいます。
「ねえみんな、私の彼を連れてきたの。紹介するわね」
「ほら、あそこにいるのは私の友達よ」
 心の中で会話するように、と促す斎藤が、うっとりとした雰囲気で"シルフィードのセリフ"を発すると、渡辺の動きはよりいっそうしなやかに。沖のシルフィードも、仲間たちにジェイムズを紹介する身振りにかわいらしさが際立っていきます。

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 本格的にパートナーを組むのは今回が初めてという渡辺と柄本。経験豊富な柄本が、確かなサポートで渡辺をリード、いっぽう、子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』で組んだ実績のある沖と松野は、常に改善策を提案し合っている姿が印象的です。男性のサポートがあやしい場面では、すかさず高岸が立ち上がり、「そこはもうちょっと前に押してあげたほうがいいかもしれないね」とアドバイス。ジェイムズをはじめ、すべての役柄を把握している斎藤も、男性舞踊手の実践的な助言は、高岸のフォローをあおぎます。

 続いては、幕開きのヴァリエーション。客席を一瞬にして作品の世界へと引き込まなければならない重要な場面だけに、「これは毎日必ずやりたいの」と、力が入ります。椅子でまどろむジェイムズの傍らで踊るシルフィード。「それはジェイムズに対して! 全部ジェイムズに向けて!」と、すべての振りに、愛しいジェイムズへの思いがこめられていることが強調されます。そこで斎藤から飛び出た言葉──「都はるみみたいにね!」。一瞬「?」、となった一同ですが、これは、ジェイムズに向けて差し伸べられた手を、「都はるみが感情をこめて歌うときの、あの手の動きのように」、という実に的確なアドバイス。効果はてきめん、シルフィードの演技は着実に輝きを増しています。

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 さらにジェイムズのヴァリエーション、アダージオと一日のリハーサルは盛りだくさんの内容。連日、稽古場の制限時間いっぱいまで続けられますが、さらに斎藤は「もう終わりだけど、ちょっと残っていてね。注意しておきたいことがたくさんあるの」。後輩たちに、できるだけ多くのことを伝えたい──彼女のそんな思いが、そこかしこに感じられるリハーサルでした。

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取材・文:加藤智子

撮影:引地信彦

2013年5月26日(日)3:00 p.m. / 会場:東京文化会館


<マラーホフの贈り物 ファイナル!> Bプロ


「シンデレラ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ

「椿姫」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメーカー

「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

「レ・ブルジョワ」
振付:ヴェン・ファン・コーウェンベルク 音楽:ジャック・ブレル
ディヌ・タマズラカル

「ライト・レイン」
振付:ジェラルド・アルピノ 音楽:ダグ・アダムズ
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ


【 休 憩 】


「バレエ・インペリアル」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ
東京バレエ団


【 休 憩 】


「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメーカー

「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル

「椿姫」より第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

「ヴォヤージュ」
振付::レナート・ツァネラ 音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
ウラジーミル・マラーホフ


ピアノ:青柳 晋(「椿姫」より第2幕のパ・ド・ドゥ)

※音楽は特別録音によるテープを使用します。(「椿姫」より第2幕のパ・ド・ドゥのみ、ピアノ伴奏)



◆上演時間

第1部 15:00 - 15:55

休憩 15分

第2部 16:10 - 16:50

休憩 15分

第3部 17:05 - 18:10

2013年5月25日(土)3:00 p.m. / 会場:東京文化会館


<マラーホフの贈り物 ファイナル!> Bプロ


「シンデレラ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ

「椿姫」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメーカー

「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

「レ・ブルジョワ」
振付:ヴェン・ファン・コーウェンベルク 音楽:ジャック・ブレル
ディヌ・タマズラカル

「ライト・レイン」
振付:ジェラルド・アルピノ 音楽:ダグ・アダムズ
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ


【 休 憩 】


「バレエ・インペリアル」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ
東京バレエ団


【 休 憩 】


「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメーカー

「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル

「椿姫」より第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

「ヴォヤージュ」
振付::レナート・ツァネラ 音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
ウラジーミル・マラーホフ


ピアノ:青柳 晋(「椿姫」より第2幕のパ・ド・ドゥ)

※音楽は特別録音によるテープを使用します。(「椿姫」より第2幕のパ・ド・ドゥのみ、ピアノ伴奏)



◆上演時間

第1部 15:00 - 15:55

休憩 15分

第2部 16:10 - 16:50

休憩 15分

第3部 17:05 - 18:10

<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2013>の公演概要が決定いたしました!
今回は、日本初演となるマッツ・エック振付「カルメン」、2009年に大きな話題を呼んだ「聖なる怪物たち」の2つのプログラムを上演。
今なお、新たなステージへと進化を続けるシルヴィ・ギエムにご期待ください。


<シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2013>

◇シルヴィ・ギエムの「カルメン」(マッツ・エック振付)

13-05.24_01.jpgシルヴィ・ギエムの「カルメン」 
 振付:マッツ・エック 
 音楽:ジョルジュ・ビゼー、
    ロディオン・シチェドリン
 
 出演:カルメン=シルヴィ・ギエム
    ホセ=マッシモ・ムッル
    東京バレエ団

「エチュード
 振付:ハラルド・ランダー 
 音楽:カール・チェルニー、
    クヌドーゲ・リーサゲル

 出演:東京バレエ団


【公演日】
2013年
11月14日(木)7:00p.m.
11月15日(金)7:00p.m.
11月16日(土)3:00p.m.
11月17日(日)3:00p.m.

【会場】東京文化会館

【入場料(税込み)】
 S=\17,000 A=¥15,000 B=¥13,000 C=¥9,000 D=¥6,000 E=¥4,000

【前売開始日】7月27日(土)10:00a.m.より一斉前売開始



◇「聖なる怪物たち」

13-05.24_02.jpg出演:シルヴィ・ギエム、アクラム・カーン
芸術監督・振付:アクラム・カーン
振付(ギエムのソロ):林懐民
振付(カーンのソロ):ガウリ・シャルマ・トリパティ
音楽:フィリップ・シェパード、 
   イヴァ・ビトヴァー、
   ナンド・アクアヴィヴァ、
   トニー・カサロンガの歌より
 
【公演日】
2013年
11月28日(木)7:00p.m.
11月29日(金)7:00p.m.
11月30日(土)3:00p.m.
12月1日(日)3:00p.m.

【会場】ゆうぽうとホール

【入場料(税込み)】
 S=\15,000 A=¥13,000 B=¥9,000  C=¥6,000 D=¥4,000

【前売開始日】7月27日(土)10:00a.m.より一斉前売開始


【お問い合わせ】NBSチケットセンター 03-3791-8888


※チケット先行予約、前売所等の詳細につきましては、決定次第、当ホームページにてお知らせいたします。


photo:Bill Cooper(「カルメン」)、Kiyonori Hasegawa(「聖なる怪物たち」)

2013年5月22日(水)6:30 p.m. / 会場:東京文化会館


<マラーホフの贈り物 ファイナル!> Aプロ


※出演者の都合により、5月9日に当ホームページでお知らせしておりました演目に変更が生じております。
 >>>詳細

「白鳥の湖」第2幕より
振付:レフ・イワーノフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、ウラジーミル・マラーホフ
東京バレエ団

「トゥー・タイムス・トゥー」
振付:ラッセル・マリファント 音楽:アンディ・カウトン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

「ギルティー」
振付:エドワード・クルグ 音楽:フレデリック・ショパン
マライン・ラドメーカー

「ラ・ペリ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:ヨハン・ブルグミュラー
吉岡美佳、ウラジーミル・マラーホフ

「海賊」より奴隷のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ 音楽:コンスタンティン・フリードリヒ・ペーター
ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル


【 休 憩 】


「シンデレラ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ

「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」
振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:ベンジャミン・ブリテン
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメーカー

「レ・ブルジョワ」
振付:ヴェン・ファン・コーウェンベルク 音楽:ジャック・ブレル
ディヌ・タマズラカル

「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア 音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ


ピアノ:菊池洋子 (「ギルティー」、「椿姫」)

※音楽は特別録音によるテープを使用します。(「ギルティー」、「椿姫」のみピアノ伴奏)



◆上演時間

第1部 18:30 - 19:35

休憩 35分

第2部 20:00 - 21:00



 『ラ・シルフィード』公演まで1カ月を切り、稽古場の熱気は上昇傾向、静かな緊張感に包まれています。
 今回の公演で振付指導にあたっているのは、東京バレエ団プリンシパルの斎藤友佳理。自身の代表作の一つであり、「大好きな作品」でもある『ラ・シルフィード』だけに、指導への思いには並々ならぬものがあるようです。稽古場の鏡の前の席に着く斎藤は、ダンサー全員のすべての動きを見逃すまいと、常に前傾姿勢。その目は、全役柄の振付はもちろん、コール・ド・バレエ一人ひとりのちょっとした動きの違いまでも捉えていきます。

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 この日のリハーサルは第2幕の冒頭、魔女マッジの登場から。
 よろよろと長い杖をついて、禍々しいオーラを放ちながら現れたのは木村和夫。その手が力強く振り上げられると、6人の手下たちが結集、邪悪な空気が一気にその場を包みます。
「手! 手を止めないで!」。
 斎藤がするどく指摘したのは、彼らの不気味な手の動き。
「上体は常に動かして! 下は衣裳で隠れて見えなくなるから、何も伝わらないよ」。
 どんなに必死に踊っていても、「お客さんに伝わらないようでは意味がない」とは、斎藤が口癖のようにたびたび発する言葉です。
 やがて、中央の妖しい鍋から魔法のヴェールが取り出されます。マッジ=木村は、のちにシルフィードの命を奪う呪いのヴェールを高々と頭上に振りかざし、意気揚々。ここで斎藤がずっと気にしていたのが、小道具のヴェールのこと。ミストレスの佐野志織にも、「ちょっと長さが足りないと思うのだけど?」としきりに問いかけます。木村と、2日目にマッジを踊る後藤晴雄にも、ヴェールをより効果的に扱うようにと、具体的な指示が出されました。


 続いては、2幕の大きな見せ場となるコール・ド・バレエ。"白いバレエ"の代名詞、『ラ・シルフィード』最大の見せ場であり、この群舞が美しいか否かで舞台の印象が大きく変わる、重要な場面です。
 そのカギとなるのは、一人ひとりが正しいポジションをキープしながら、最大限のパフォーマンスを発揮すること。
「顔の角度! そこ違うよ!」
「かかと、かかと! かかと見えてる!」
 たった一人のちょっとしたポジションの間違いも見逃さない──。ときに斎藤の指導の声は、厳しく響きます。
「もっと明るく! もっとコケテッィシュに!」
「そこはアクセントが必要なの!」 
 斎藤の声に応えるかのように、シルフィードたちのふっと顔を横に向けるその仕草が、グンと魅力的に。

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 さらに女性ダンサーたちに多くの指摘がとんだのは、「上体を前に!」。普段よりも上体をずっと前にキープしないと、シルフィードの美しい佇まいは実現できないとのこと。この注意はくどいほどに繰り返されます。ついには、「"上体が前過ぎ"って私に言われたら、それは勲章ね(笑)」とまで!

 クリアすべき課題はまだ残っているものの、稽古場のダンサーたちは確実にステップアップを続けています。

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取材・文:加藤智子

撮影:引地信彦

2013年5月21日(火)6:30 p.m. / 会場:東京文化会館


<マラーホフの贈り物 ファイナル!> Aプロ


「白鳥の湖」第2幕より
振付:レフ・イワーノフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、ウラジーミル・マラーホフ
東京バレエ団

「トゥー・タイムス・トゥー」
振付:ラッセル・マリファント 音楽:アンディ・カウトン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

「ギルティー」
振付:エドワード・クルグ 音楽:フレデリック・ショパン
マライン・ラドメーカー

「ラ・ペリ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:ヨハン・ブルグミュラー
吉岡美佳、ウラジーミル・マラーホフ

「海賊」より奴隷のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ 音楽:コンスタンティン・フリードリヒ・ペーター
ヤーナ・サレンコ、ディヌ・タマズラカル


【 休 憩 】


「シンデレラ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ

「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」
振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:ベンジャミン・ブリテン
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメーカー

「レ・ブルジョワ」
振付:ヴェン・ファン・コーウェンベルク 音楽:ジャック・ブレル
ディヌ・タマズラカル

「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オリガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア 音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ


ピアノ:菊池洋子 (「ギルティー」、「椿姫」)

※音楽は特別録音によるテープを使用します。(「ギルティー」、「椿姫」のみピアノ伴奏)



◆上演時間

第1部 18:30 - 19:35

休憩 35分

第2部 20:00 - 21:00



出演者の都合により、5月9日に当ホームページでお知らせしておりました演目に変更が生じました。

ウラジーミル・マラーホフは「ラ・ペリ」「白鳥の湖」第2幕、「ヴォヤージュ」を踊る予定でしたが、来日後に左脚ふくらはぎに違和感を覚えたため、マラーホフ本人の希望により、急きょ「ヴォヤージュ」に代え「シンデレラ」に変更することになりました。なお、当初予定になかった「瀕死の白鳥」(マウロ・キャンディア振付)も追加して踊ります。

マリア・アイシュヴァルトとマライン・ラドメーカーは、Aプロで「伝説」と「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」の2作品を踊る予定でしたが、NBSホームページで5月9日に発表させていただいた通り、所属のシュツットガルト・バレエ団の都合で日本到着が公演初日当日になるため、ペアで踊るのは「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」1曲にさせていただき、新たにラドメーカーがソロの「ギルティー」を踊ることになりました。

またオリガ・スミルノワとセミョーン・チュージンが踊る予定だった「タイス」は、本人たちの希望により「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"に変更させていただきます。

予定されていた演目を期待されていた方にはたいへん申し訳ございませんが、この演目変更につきまして、なにとぞご理解のほどをお願い申し上げます。

1993年にマイアミで生まれニューヨークで育ったベアトリス・スティックス=ブルネルは、スクール・オブ・アメリカン・バレエ(SAB)で最初のステップを踏んだときから「天才児」と呼ばれてきた。7歳で踊りはじめ、12歳でパリ・オペラ座バレエ学校に編入。1年後、クラスで首席の成績を修めるものの帰国。さらに1年後、14歳にして振付家クリストファー・ウィールドン率いるカンパニー<Morphoses>の公演に参加し、その実力を認められ15歳で正式入団。その後はウィールドンにいったん別れを告げ、スクール・オブ・アメリカン・バレエに戻り基礎がためをし、2010年、審査抜きでロイヤル・バレエ団に入団する。いま、彼女は新天地でウィールドンと再会し『不思議の国のアリス』の主役を踊っている。弱冠20歳。陽性のオーラを放つ肢体、パリ仕込みの繊細な表現、そして会う人誰もが恋に落ちそうな可憐な笑顔の持ち主であるベアトリスに話を訊いた。


--------バレエを始めた理由を教えて下さい。

はじめは器械体操をやっていたのです。でも本格的に宙返りなどを学び始めたころから、体操選手には背が高くなりすぎて、あとわりと脚が長い私のプロポーションを見て、体操の先生が「バレエをやってみたら?」と勧めてきたのがきっかけです。

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アリス:ベアトリス・スティック=ブルネル、白うさぎ:リカルド・セルヴェラ


--------なぜパリ・オペラ座バレエ学校に転入することを決めたのですか。

SABに通うかたわら、私は元オペラ座バレエ学校のOBであるファブリス・ヘロー先生に師事していたんです。だから早い段階で、質が高く、純度の高い、本格的クラシックを学ぶならヨーロッパに行くしかないと理解していました。SABはバランシン・テクニックがメインですからね。それでオペラ座に自分の稽古風景のビデオを送って入学許可を得て、12歳のときに家族同伴でパリに向かいました。


--------ロイヤル・バレエ団には審査なしで入学されたそうですね。

ええ、でもモニカは私のことを知らなかったわけではありません。私がMorphosesの団員として、エドワード・ワトソンやリヤーン・ベンジャミンと共にロンドン公演に出演したときのことを覚えていてくれたんです。


--------入団2年目にして、代役として『不思議の国のアリス』に抜擢されます。

ある日突然クリスに「役を覚えるのに4週間ある、がんばれ」と言われて(笑)、アリス役を踊ることになりました。その後の4週間はまさに「アリス漬け」。ビデオ資料を見て、ルイス・キャロルの原作を読んで、クリスとも何度も議論しました。例えば「扉の向こうから客席を覗きこむアリスの目線は何を伝えるべきか」という小さな動作ひとつに至るまで話し合いを重ねました。人生で初めて全幕バレエの主役を踊る機会を与えられたので、とにかく役を体に染みこませるのに必死でした。最終的に、アリスは意外に頑固者な女の子、という解釈で役作りを進めることにしました(笑)。彼女は自分がしたいこと、見たいこと、欲しいものが分かっていて、そのためには決して恐れずにひとりで現実に立ち向かっていく。私は兄弟二人と男ばかり10人の従兄弟に囲まれて育ったので、アリスの気持ちがよく分かるんです。女の子は男社会で自分の欲しいものを手に入れるためには、しぶとく戦っていかなきゃならないんです。

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アリス:ベアトリス・スティック=ブルネル、ジャック:ニーアマイア・キッシュ


--------その後『パゴダの王子』のローズ姫を代役で務めたのち、飛び級でソリストに任命されます。ソリストを名乗る心構えはできていましたか。

もちろんです。前年のアリスとローズ姫で、努力次第で主役を担うことができることも証明できたように思いますし。ただバレリーナとしてもっと成功するためには、絶えず自己規律に支えられた努力を重ねていかなければなりません。あとは謙虚さ、繊細さ、寛容さ、少しの自信も必要です。今後、私はそれらの要素を頑張って会得して、ソリストとして大役を担っていきたいと思っています。いま踊りたいのは、マクミランの『ロミオとジュリエット』です。


--------日本公演に向けてメッセージをお願いします。

私の大好きな映画のひとつは宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』なんです。あと勅使河原宏監督の『砂の女』、新藤兼人監督の『裸の島』、もちろん黒沢映画も大好きです。なので自分が敬愛する文化の国を訪れることができることを、心から楽しみにしています。また素晴らしいカンパニーの一員として、日本で『不思議の国のアリス』の主役を踊れることを心から光栄に思います。


取材・文:岩城京子(舞踊・演劇ジャーナリスト)

Photo:Bill Cooper/ROH



■英国ロイヤル・バレエ団「不思議の国のアリス」公式サイト
 ▽http://www.nbs.or.jp/stages/1307_royal/alice.html

 *ベアトリス・スティックス=ブルネル出演日7月6日(土)13:00開演


★「不思議の国のアリス」追加公演決定!
 7月7日(日)18:00開演(アリス:崔由姫/ジャック:ニーアマイア・キッシュ)
 
 ▽http://www.nbs.or.jp/stages/1307_royal/alice-add.html

<マラーホフの贈り物 ファイナル!>Bプロで上演を予定しております「バレエ・インペリアル」のキャストが変更となりました。
出演を予定していた上野水香は、3月27日、この作品のリハーサル中に左足第五中足骨を骨折し、治療につとめておりましたが、出演が可能になるまでには回復せず、今回の公演への出演を断念することになりました。つきましては、上野水香に代わり、ベルリン国立バレエ団のヤーナ・サレンコが「バレエ・インペリアル」に出演いたします。
何卒ご了承いただきますよう、お願いいたします。

この夏、東京バレエ団が1970年から本拠を置いている目黒から、新しいバレエのムーブメントを発信していこうと、東京バレエ団が中心になって、<めぐろ子どもバレエ祭り>を開催いたします。
3歳児から大人まで、観て、体験して、踊って、学んで、楽しめるイベントが盛りだくさん。「健全な精神は健全な肉体に宿る」といいますが、からだと感情をフル活動させるバレエは、子どもたちにとって何よりの情操教育です。
夏休みの6日間、めぐろパーシモンホールにみんな集まれ!


◇<めぐろ子どもバレエ祭り>公式サイト
 http://www.nbs.or.jp/stages/1308_meguro/index.html

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ホームページ、チラシ等でお知らせしておりました〈マラーホフの贈り物〉ファイナル! Aプロの演目に変更が生じました。マリア・アイシュヴァルトとマライン・ラドメーカーは、Aプロで「伝説」と「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」の2作品を踊る予定でしたが、後者のみとさせていただきます。これを受け、ウラジーミル・マラーホフは「ラ・ペリ」「白鳥の湖」第2幕、「ヴォヤージュ」の3作品に加えて、新たにソロ「瀕死の白鳥」(マウロ・デ・キャンディア振付)を踊ります。
アイシュヴァルトとラドメーカーは、所属のシュツットガルト・バレエ団芸術監督の了承のもと、今回の〈マラーホフの贈り物〉に出演することになっておりました。ところが、同バレエ団でプリンシパルの怪我人が続出したことから、予定されていなかった現地の5月18日、19日の公演に、急遽、出演しなければならなくなりました。このためシュツットガルトを離れられない状況に陥りましたが、日本のファンを大切にしたいという芸術監督の意向から、同バレエ団の芸術スタッフとアイシュヴァルトとラドメーカーとの間で協議を重ねた結果、2人は公演初日の5月21日朝に東京に到着して当初の予定通り公演に出演することになりました。そのうえで、この厳しいスケジュールによる肉体的負担を考慮すると、「伝説」を踊ることを断念せざるを得ないという結論に至りました。以上の事情から、このAプロの演目変更につきまして、なにとぞご理解のほどをお願い申し上げます。

英国ロイヤル・バレエ団2013年日本公演「不思議の国のアリス」の追加公演が下記のとおり決定いたしました。


「不思議の国のアリス」追加公演 公式サイト



◇公演日:7月7日(日)6:00p.m.開演

◇会場:東京文化会館

◇予定される主な配役
 アリス:崔由姫
 ハートのジャック/庭師ジャック:ニーアマイア・キッシュ



世界中で愛されている英国の作家ルイス・キャロルの児童文学をもとに、英国ロイヤル・バレエ団が2011年に発表したバレエ「不思議の国のアリス」は、独自のアイデアとカラフルでポップな美術、最新の照明・映写技術を駆使した舞台がたちまち話題となり、大ヒットを飛ばしました。
日本公演においても発売と同時に大きな反響を呼び、チケットはほぼソールドアウト。皆さまからの多くのご要望にお応えして、今回追加公演が決定いたしました。
この追加公演では日本で生まれ育ち、ロイヤル・バレエ団に入団後、着実に躍進を続けるファースト・ソリストの崔由姫がアリス役で主演。相手役のジャックを、2010年にプリンシパルとして入団したニーアマイヤ・キッシュが演じます。

話題が話題を呼ぶ注目作「不思議の国のアリス」をお見逃しなく!




英国ロイヤル・バレエ団 <ロイヤル・ガラ>の公演概要決定いたしました。
今をときめくロイヤルのスターとバレエ団総出演で贈る、一夜限りの華やかな饗宴!
英国ロイヤル・バレエ団の輝けるいまを余すことなく披露する、
文字通りのゴージャスな<ロイヤル・ガラ>を、心ゆくまでご堪能ください!


英国ロイヤル・バレエ団2013年日本公演 
<ロイヤル・ガラ>


■公演日:7月10日(水)6:30p.m.

■会場:東京文化会館

■入場料(税込み):
S=\22,000 A=\20,000  B=\18,000  C=\13,000  D=\10,000 E=\7,000
エコノミー券= \ 5,000 
(6月21日(金)よりイープラスのみで発売。お一人様につき2枚まで)
学生券=\ 3,000 
(6月21日(金)よりNBS WEBチケット(学生会員)のみで発売。25歳までの学生が対象。公演当日、学生証必携)

 ◇NBSチケットセンター(電話)だけで申込みいただけるお得なチケット

  ◆ペア割引券[S, A, B席]  2枚で1,000円お得! 
   S券ペア割=¥43,000 A券ペア割=¥39,000 B券ペア割=¥35,000


■前売開始日:6月1日(土)10:00a.m.より

■NBS WEBチケット先行抽選予約(S~B):5月15日(水)10:00~5月23日(木)18:00

■上演演目一覧 

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「ラ・ヴァルス」
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:モーリス・ラヴェル

「温室にて」
振付:アラステア・マリオット/音楽:リヒャルト・ワーグナー

「コンチェルト」
振付:ケネス・マクミラン/音楽:ドミートリ―・ショスタコヴィッチ

「うたかたの恋」
振付:ケネス・マクミラン/音楽:フランツ・リスト

「宝石のパ・ド・ドゥ」
振付:リアム・スカーレット/音楽:アレクサンドル・グラズノフ

「雨の後に」
振付:クリストファー・ウィールドン/音楽:アルヴォ・ペール

「ドン・キホーテ」 第3幕よりパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ/音楽:ルートヴィク・ミンクス

「白鳥の湖」 パ・ド・カトル
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

「アゴン」 パ・ド・ドゥ
振付:ジョージ・バランシン/音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

「クオリア」
振付:ウェイン・マクレガー/音楽:スキャナー

「眠れる森の美女」 目覚めのパ・ド・ドゥ
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

「春の声」
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:ヨハン・シュトラウスⅡ世

「シンフォニー・イン・C」 最終楽章
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ジョルジュ・ビゼー


演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

※配役につきましては英国ロイヤル・バレエ団側で調整中のため、発表は公演が近づいてからとなります。また、正式な配役は公演当日とさせていただきます。なにとぞご了承ください。


■来日予定のプリンシパル

カルロス・アコスタ
リャーン・ベンジャミン
フェデリコ・ボネッリ
アリーナ・コジョカル
ローレン・カスバートソン
ニーアマイア・キッシュ
ヨハン・コボー
サラ・ラム
スティーヴン・マックレー
ロベルタ・マルケス
ラウラ・モレーラ
マリアネラ・ヌニェス
ルパート・ペネファーザー
ティアゴ・ソアレス
エドワード・ワトソン
ゼナイダ・ヤノウスキー


■お問い合わせ・お申し込み:
NBSチケットセンター TEL03-3791-8888(平日10:00~18:00、土曜10:00~13:00)

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