昨年12月31日、『白鳥の湖』でオデット/オディールを初役で踊り、レオノール・ボラックはエトワールに任命された。この晩予定されていたエトワール二人が降板したことにより、オディール/オデットの代役だったレオノールがマチアス・エイマンと踊ることが発表されて以来、彼女がこの晩に任命されるのではないかという噂が立っていて...そしてそれが現実となったのだ。
エフィーとリュセイオン──日本公演で演じる、二つの正反対の役
西日本新聞(2017年1月22日)読書館に掲載された、評論家梁木靖弘氏よる書評をご紹介します。
これは稀有なインプレサリオの伝記である。このイタリア語を興行主、団長などと訳してみたところで、胡散臭くなるばかりだ。芸術家ではないが、舞台製作のすべてに権力と責任を持つ大物を西欧ではインプレサリオと呼ぶ。日本でそれに値する人物がいるとすれば、佐々木忠次だけだろう。
ベジャールの振付や、クライバーの指揮に飛びつく愛好家でも、来日公演を実現させたのが誰かを知る人は少ない。筆者も例外ではない。40年前、興奮して見た二十世紀バレエ団の東京公演。それも佐々木だったと本書で知った。
彼は海外から一流のオペラ・バレエを招聘しただけではない。主宰者として東京バレエ団を世界で絶賛されるカンパニーに育て上げた。また「ザ・カブキ」など傑出した創作バレエを作った。求めていた舞台は「人々が熱狂し、陶酔し、心躍らせる歓喜の場、祝祭空間としての劇場だった」。そのためには妥協しなかった。情熱はどこから来るのか。本書の最終章は「怒りの人」と題されているが、佐々木の情熱は、日本という国家に対する怒りに比例するようだ。彼の驚嘆すべき業績をいまだに理解も評価もしないのが日本である。彼はそれがわかっていたから、挑戦するように美の世界を構築しようとしたのではないか。
それを象徴するのが、東京バレエ団の社屋。ギリシャ風の柱や装飾的な欄干のバルコニーを持つ「ヨーロッパ風建築」だが、「舞台のセットが組まれたかのような違和感」があると著者は言う。ただちに連想されるのはロココ趣味の三島由紀夫邸である。「佐々木にとっては、舞台世界こそが究極の美の世界であり、それを現実の部屋に取りこむことはまさに夢でさえあった」。彼の美意識は、三島に似ている。ベジャールが佐々木のために作ったバレエ「M」が、三島その人をテーマにしていたのもうなずける。
白鳥の例を思い出す。佐々木忠次の生涯は、水中で必死にもがき続ける脚だった。そのおかげで水上に美しい白鳥を見ることができたのだと、思わずにはいられない。
このたびパリ・オペラ座バレエ団公演〈グラン・ガラ〉の出演者に変更が生じました。パリ・オペラ座バレエ団より、ローラ・エッケがやむを得ない個人的な事情により日本公演に参加できなくなったという連絡が入りました。
エッケが出演予定だった3月9日と11日18:30の「テーマとヴァリエーション」には、エッケに代わりましてドロテ・ジルベールが出演いたします。またこの変更に伴い、ジルベールが出演予定だった3月11日13:30の「テーマとヴァリエーション」にはヴァランティーヌ・コラサントが出演いたします。パートナーの男性の変更はございません。
当初の配役での公演を楽しみにしていた方々には大変申し訳ございませんが、以上の変更につき、なにとぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。
〈グラン・ガラ〉「テーマとヴァリエーション」
3月9日(木)18:30
ローラ・エッケ/マチュー・ガニオ → ドロテ・ジルベール/ マチュー・ガニオ
3月11日(土)13:30
ドロテ・ジルベール/ジョシュア・オファルト → ヴァランティーヌ・コラサント/ ジョシュア・オファルト
3月11日(土)18:30
ローラ・エッケ /マチュー・ガニオ → ドロテ・ジルベール / マチュー・ガニオ
パリ・オペラ座バレエ団日本公演ご購入者様限定!!
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公益財団法人日本舞台芸術振興会 〒153-0063 東京都目黒区目黒4-26-4 info@nbs.or.jp |
12月31日パリ・オペラ座バスティーユで上演された「白鳥の湖」で、新エトワールがもう一人誕生しました! プルミエール・ダンスーズだったレオノール・ボラックがオデット/オディールを踊って成功を収め、終演後にエトワールに任命されました。
ボラックは当初、このオデット/オディール役での出演は予定されていませんでしたが、公演期間中に代役としての出演が決まり、その舞台をみごとにダンサー最高位へのステップに変えたという、3日前のジェルマン・ルーヴェの任命にも劣らぬ劇的な昇進。オレリー・デュポン芸術監督のもと若きエトワールが2名出そろい、日本公演への布石も万端といったところでしょうか。
ボラックは、3月の日本公演で「ラ・シルフィード」エフィーと、〈グラン・ガラ〉の「ダフニスとクロエ」リュセイオンを踊る予定です。どうぞご期待ください!
Photo:Michel Lidvac
Retour en vidéo sur la nomination de @LeonoreBaulac au rang de danseuse Étoile le samedi 31 décembre à l'Opéra Bastille ! pic.twitter.com/g9w05xiLVm
— Opéra de Paris (@operadeparis) 2017年1月4日