2015年10月アーカイブ

いよいよ明日(10/31・土)より東京公演の一斉発売が始まるブルメイステル版「白鳥の湖」。オデット/オディール、ジークフリート王子以外に、下記の主要キャストが決定いたしましたのでお知らせいたします。

ロットバルト:木村和夫(2/5)、森川茉央(2/6,7)

パ・ド・カトル:河谷まりあ、二瓶加奈子、宮川新大、松野乃知/(2/5,7)
        吉川留衣、沖香菜子、原田祥博、入戸野伊織/(2/6)
      
アダージオ(姫):吉川留衣(2/5)、河谷まりあ(2/6)、三雲友里加(2/7)

道化:入戸野伊織(2/5,7)、山本達史(2/6)  



■ 公演概要、チケット料金、発売方法はこちらから>>

■ チケットのお申込みはこちらからどうぞ>>


【横須賀公演 2/11】
オデット/オディール:渡辺理恵
ジークフリート王子:秋元康臣
ロットバルト:森川茉央
パ・ド・カトル:河谷まりあ、二瓶加奈子、宮川新大、松野乃知
アダージオ(姫):吉川留衣
道化:未定
■ 横須賀芸術劇場 お問合せ:046-823-9999



【西宮公演 2/17】
オデット/オディール:上野水香
ジークフリート王子:柄本弾
ロットバルト:木村和夫
パ・ド・カトル: 政本絵美、川淵瞳、宮川新大、古道貴大
アダージオ(姫):三雲友里加
道化:未定

■ 兵庫県立芸術文化センター お問合せ:0798-68-0255


ダンサーで最後に紹介するのは、東京公演(11/22・日)で「オネーギン」のタイトルロールを踊るロマン・ノヴィツキーのインタビュー動画。スロヴァキアのブラチスラヴァ出身、アンダーソン芸術監督が今回ぜひオネーギン役デビューさせたいと熱望した期待のダンサーです。ノヴィツキー自身にとっても憧れの役で、はりきって時間をかけてリハーサルを重ねているとのこと。
またガラ公演〈シュツットガルトの奇跡〉ではダンサーとして出演すると同時に、自身の振付作品「同じ大きさ?」も披露されます。ニューヨークの個性派バンド、ハズマット・モディーンの軽妙洒脱な音楽にのせたこのショートピースは、シュツットガルトでの初演直後から大人気だったそうです。その上ノヴィツキーは、バレエ団メンバーのポートレートや舞台写真も撮影するという多彩な才能の持ち主。要チェックの注目ダンサーです。




日本公演まで3週間をきったところでご紹介するのは、韓国出身の美しいプリンシパル、ヒョ・ジョン・カンのインタビュー動画。同郷の大先輩で韓国国立バレエの芸術監督となったスージン・カンにも似て、彼女も内に情熱を秘めた詩情溢れる踊りが身上。2011年に初めてジュリエットを踊ってプリンシパルに昇進。その後、「舞台袖から見ていつも感激して泣いていた」という憧れのタチヤーナ役もついに2年前に踊り、演技はどんどん深まっていると感じるそうです。
日本が大好きというヒョ・ジョン主演の「オネーギン」は11/22(日)。ガラ〈シュツットガルトの奇跡〉でも活躍が期待されます。どうぞお楽しみに!






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ジョン・クランコ振付「オネーギン」より photo:Bernd Weissbrod


10月20日(火)、第27回高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者・国際顧問合同記者会見、受賞者個別記者会見が行われ、演劇・映像部門で受賞したシルヴィ・ギエムが登壇しました。
受賞者が揃った合同記者会見で、ギエム「世界文化賞を受賞することになり、とても幸福に思いました。私は愛することをして、愛することをしている場所を愛し、人を愛した。ただ、愛しただけで、この賞をいただけたのだと思います」と受賞の喜びを語りました。

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続いて行われた、個別懇談会には多くの記者が集まり、途切れることなくギエムに質問が投げかけられました。日本が最後の舞台になることには「日本が最後の舞台となることは、さまざまな状況からの偶然ではあったのですが、人生にもたくさんの偶然があったように、これも意味があることと思います。というのも、海外で初めて舞台に立ったのが日本でした。そして、最後の舞台も日本なのですから」と言いながら最後に「縁があるの」と日本語で。最後のツアーについては「気持ちの上でとても辛くなるでしょう。最後まで感情が高ぶるでしょうが、あまり引きずられないように、今までしてきたように、最後までベストを尽くしたい」と意気込みを。「今後は何をするのかまだわかりません。したいことはたくさんあるけれど、うまくできるか(笑)。一呼吸して、一歩ひいてみてみたい」と引退後について述べていました。

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ギエムは一旦帰国したあと、12月上旬に再び来日。12月9日の川口公演から<シルヴィ
ギエム ファイナル>全国公演がスタート。12月16日から5日間は東京で<ライフ・イン・プログレス>の公演が待っています。

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現在、<ライフ・イン・プログレス>追加公演(12/6)のWEB先行予約を受付中。伝説のバレリーナ、シルヴィ・ギエムの舞台が観られる最後の機会をどうぞお見逃しなく!



◆<ライフ・イン・プログレス>追加公演(12/6)の公演情報はこちら >>>

◆WEB先行予約はこちらから >>>



撮影:引地信彦

東京公演で「ロミオとジュリエット」「オネーギン」2作に主演するアンナ・オサチェンコのインタビュー動画をお届けします。ジェイソン・レイリーとのペアは、リード・アンダーソン芸術監督いわく「絶好調」。明確な技術の上に物語バレエの豊かな表現力をつけてきた、いまが旬のダンサーです。「意識せずとも役に入り込めた」というタチヤーナ、「役との年齢差が広がるほど演じるのが新鮮になる」というジュリエット、どちらもご期待ください。





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現在、高松宮殿下記念世界文化賞(演劇・映像部門)の授賞式で来日中のシルヴィ・ギエム。100年に一人のダンサーと言われる彼女は、年内でダンサーを引退することを決意し、最終公演の地として日本を選びました。全12カ所で行われる公演は完売に次ぐ完売。先ごろ、<ライフ・イン・プログレス>の追加公演も決定いたしました。
そのシルヴィ・ギエムが、テレビ東京系で毎年、新年のカウントダウンを生中継している「東急ジルベスタ―コンサート2015-2016」に出演し、代表作の「ボレロ」とともにカウントダウンすることが決定しました。12月31日、まさに日本でのラストステージが、この「東急ジルベスタ―コンサート2015-2016」となります。2015年のフィナーレとともに、ダンサーとしての活動に幕を下ろす、ギエムの最後の「ボレロ」。この貴重なカウントダウンの生中継をお見逃しなく!


◆番組概要
「東急ジルベスタ―コンサート2015-2016」
 放送:2015年12月31日(木)23:30~1月1日(金)00:45
テレビ東京系6局ネット、BSジャパン
 カウントダウン曲:「ボレロ」(モーリス・ラヴェル作曲/モーリス・ベジャール振付)

【出演】
 指揮:大友直人
 バレエ:シルヴィ・ギエム
 ソプラノ:小川里美
 バリトン:与那城敬
 ヴァイオリン:成田達輝
 ヴァイオリン:山根一仁

 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
 バレエ:東京バレエ団

 司会:宮本亜門、松丸友紀(テレビ東京アナウンサー)


◆公演情報
 公演日時:2015年12月31日(木) 21:30会場/22:00開演
 会場:Bunkamuraオーチャードホール
 チケット一般発売:2015年12月6日(日)10:00~
 チケット料金:後日発表
 主催:テレビ東京
 特別協賛:東急グループ
 企画制作:Bunkamura


◆お問い合わせ先
【番組に関して】
 テレビ東京(代表)03-5470-7777
 受付け時間は月曜日~金曜日の午前10時から午後9時までです。
 土日祝日は午前11時から午後7時までです。

【公演内容やチケット情報に関して】
 テレビ東京 事業部 03-3435-7000 <平日11:00~17:00>

 Bunkamura 03-3477-3244 <10:00~19:00>


※NBSチケットセンターでの本公演のチケットのお取扱いはございません。

ウィーン・フォルクスオーパー2016年日本公演の主要キャストの出演日が下記の通り決定いたしました。
またNBSニュースvol.343344でお伝えしている内容から、指揮者と出演者に次の変更が生じております。
「チャルダーシュの女王」の指揮者はゲーリット・ブリースニッツからルドルフ・ビーブルに、「こうもり」の指揮者はアルフレート・エシュヴェとゲーリット・ブリースニッツに変更となりました。出演者では、「メリー・ウィドウ」のハンナ役で出演予定だったイルデコ・ライモンディが、ウルズラ・プフィッツナーに変更になっております。
なにとぞご了承ください。



作曲:E.カールマン
「チャルダーシュの女王」

指揮:ルドルフ・ビーブル
演出:ロベルト・ヘルツル

シルヴァ・ヴァレスク:
アンドレア・ロスト(5/14,16)、ウルズラ・プフィッツナー(5/15)
エドウィン・ロナルト:
カルステン・ズュース(5/14,16)、ズザボル・ブリックナー(5/15)
ボニ・カンチャヌ伯爵:
マルコ・ディ・サピア(5/14,16)、ミヒャエル・ハヴリチェク(5/15)
アナスタシア(シュタージ):
ベアーテ・リッター(5/14,16)、マーラ・マシュタリール(5/15)
フェリ・フォン・ケレケス(フェリ・バチ):
アクセル・ヘッリク(5/14,16)、クルト・シュライプマイヤー(5/15)
レオポルト・マリア伯爵:ペーター・マティッチ
アンヒルテ:マリア・ハッペル
ローンスドルフ男爵:カール・ミヒャエル・エブナー


作曲:J.シュトラウスⅡ
「こうもり」

指揮:アルフレート・エシェヴェ(5/19,20)、ゲーリット・ブリースニッツ(5/21,22)
演出:アルトゥーロ・マレッリ

アイゼンシュタイン:
ヘルベルト・リッペルト (5/19, 21, 22)、イェルク・シュナイダー (5/20)
ロザリンデ:
メルバ・ラモス (5/19, 21, 22.)、ウルズラ・プフィッツナー (5/20)
アデーレ:
アニヤ=ニーナ・バーマン (5/19, 22)、レベッカ・ネルセン(5/20)、ベアーテ・リッター (5/21)
イーダ:マルティナ・ドラーク
ファルケ:
マルコ・ディ・サピア (5/19)、マティアス・ハウスマン(5/20, 22)、ダニエル・オチョア (5/21)
オルロフスキー公爵:
アンゲリカ・キルヒシュラーガー (5/19, 20, 22)、マルティナ・ミケリック (5/21)
アルフレート:
ライナー・トロスト (5/19, 20, 22)。ヴィンセント・シルマッハー(5/21)
フランク:
クルト・シュライプマイヤー (5/19, 21)、ダニエル・オーレンシュレーガー (5/20, 22)
ブリント博士:
ボリス・エダー(5/19, 21)、カール=ミヒャエル・エブナー (5/20, 22)
フロッシュ:ロベルト・マイヤー


作曲:F.レハール
「メリー・ウィドウ」

指揮:アルフレート・エシェヴェ
演出:マルコ・アルトゥーロ・マレッリ

ハンナ:
ウルズラ・プフィッツナー(5/26, 28)、カロリーヌ・メルツァー (5/27, 29)
ヴァランシェンヌ:
ユリア・コッチー(5/26, 28)、マーラ・マシュタリール(25/7, 29)
ダニロ:
マティアス・ハウスマン (5/26, 28)、マルコ・ディ・サピア(5/27, 29)
カミーユ・ド・ロション:
ヴィンセント・シルマッハー (5/26, 28)、メルツァード・モンタゼーリ (5/27, 29)
ミルコ・ツェータ男爵:
アンドレアス・ミチュケ (5/26, 28)、クルト・シュライプマイヤー(5/27, 29)
ニェーグシュ:
ロベルト・マイヤー
カスカーダ子爵:
ミヒャエル・ハヴリチェク (5/26, 27)、ロマン・マルティン (5/28, 29)
サンブリオシュ:
ロマン・マルティン(5/26, 27)、カール=ミヒャエル・エブナー (5/28, 29)
オルガ:マルティナ・ドラーク
シルヴィアーネ:マルティナ・ミケリック
プラスコヴィア:レグラ・ロジン
ボグダノヴィッチ:ヨセフ・ルフテンスタイナー
クロモフ:ダニエル・オーレンシュレーガー
プリチッチ:クリスティアン・ドレッシャー


※上記の出演者は2015年10月20日現在の予定です。病気やけがなどのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても、代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。出演者変更に伴うチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は当日発表とさせていただきます。

 シュツットガルト・バレエ団で、バデネスと並んでいま注目の若手、ブラジル出身のダニエル・カマルゴからのメッセージ動画をお届けします。
 ごらんのとおりハンサムで長身。東京(11/15・日)で演じる予定で、本人が抱負を語るロミオは、まさにハマリ役といえそうです。
 ガラ公演〈シュツットガルトの奇跡〉(11/18・水)にもバデネスとのペアで出演予定。「ドン・キホーテ」のパ・ド・ドゥ、常任振付家のデミス・ヴォルピ作品などはもとより、若い彼らがクランコの「じゃじゃ馬馴らし」をどう演じるのか、興味津々ですね!





入団3年目にプリンシパルに昇格し、いまシュツットガルトで一番勢いのある若手のエリサ・バデネスからのビデオ・メッセージをお届けします。
英国ロイヤル・バレエ学校で学び、ユース・アメリカ・グランプリ金賞などの受賞歴の持ち主。東京公演ではジュリエット(11/15)、西宮公演(11/28)ではタチヤーナを演じる、大注目の一人です。






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「ロミオとジュリエット」カマルゴとともに。photo:Bernd Weissbrod





惜しまれつつも、バレエ界を引退することとなった、シルヴィ・ギエムの最終公演<ライフ・イン・プログレス>は、発売開始とともに即日完売となりましたが、多くの皆さまの声にお応えして、このたび追加公演の開催が決定いたしました。
本公演のチケット発売が、100年に一人のダンサー、シルヴィ・ギエムを観られる最後のチャンスとなります。
ぜひこの機会をお見逃しなく!


<ライフ・イン・プログレス>追加公演

◆公演日程
12月16日(水)7:00p.m.

◆会場:東京文化会館

◆入場料
S=¥19,000 A=¥17,000 B=¥15,000
C=¥10,000 D=¥8,000 E=¥6,000
エコノミー券=¥4,000(11月27日(金)よりイープラスのみで発売。お一人様2枚まで。
学生券=¥3,000(11月27日(金)よりNBSWEBチケットのみで発売。10歳~25歳までの学生が対象。公演当日、学生券必携。

◆NBSWEBチケット座席選択先行予約[S~D席]:
                    10月20日(火)21:00~11月5日(木)18:00

◆e+、チケットぴあ、ローソンチケット先行予約[S~D席]:
                    10月20日(火)21:00~11月5日(木)18:00

◆一斉前売開始日:2015年11月7日(土)10:00a.m.~

◆プログラム
『バイ』 振付:マッツ・エック
シルヴィ・ギエム

『テクネ』 振付:アクラム・カーン
シルヴィ・ギエム

『ヒア・アンド・アフター』 振付:ラッセル・マリファント
シルヴィ・ギエム、エマニュエラ・モンタナ―リ

『デュオ』 振付:ウィリアム・フォーサイス
ブリーゲル・ギヨーカ、ライリー・ワッツ

『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド』 振付:ウィリアム・フォーサイス
東京バレエ団

『ドリーム・タイム』 振付:イリ・キリアン
東京バレエ団


◆出演:
シルヴィ・ギエム
東京バレエ団

 アマトリアン、フォーゲルらと並び、いまやシュツットガルトをリードする存在なのがジェイソン・レイリー。踊りの上手さ、存在感に定評があり、次代を担う逸材と早くからアンダーソン芸術監督や仲間内から信頼を寄せられていました。今回の日本公演では「ロミオとジュリエット」と「オネーギン」の2作品に主演、ガラ公演でも活躍が期待されます。そのレイリーが日本の観客に向けて、公演への抱負や役作りについて語ってくれました。





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photo:Bernd Weissbrod



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  今夏の第14回世界バレエフェスティバルに、12年ぶりに参加したアリシア・アマトリアン。フリーデマン・フォーゲルと組んでジョン・クランコ作品を踊った彼女は、痩身をしならせ、空を切るように宙を舞った。その雄弁な姿は、アマトリアンが今日のシュツットガルト・バレエ団の屋台骨を支えるバレリーナであることを物語っていた。
 フェスティバルの合間に、シュツットガルト・バレエ団の3年ぶりの来日公演への抱負やバレエ団の近況をざっくばらんに語ってもらった。

上野房子(ダンス評論家)

*****

---スペイン出身のアマトリアンさんが、ジョン・クランコ・バレエ学校に編入した経緯は?

「スペインで師事していた教師に勧められてオーディションを受け、バレエ学校に入学しました。当時のスペインにはプロフェッショナルなバレエ団がなく、プロとして踊るためには、遅かれ早かれ、 海外に出なくてはなりませんでした。家族と離れてホームシックになったけれど、すぐに友人ができ、今ではシュツットガルトは私の第二の故郷です」

---フォーゲルさんとは同学年でした。

「同じ年にバレエ学校を卒業したんですよ。彼は思いやりのある人で、ユーモアのセンスがあって、大らかなハートの持ち主。もちろん素晴らしいダンサーです。演じているのに、それが演技だと感じさせない。ごく自然に役に入り込めるのね」

---第14回世界バレエフェスティバルでは、フォーゲルさんと組んでクランコ作品である『オネーギン』の"鏡のパ・ド・ドゥ"と『伝説』を披露されました。

「クランコ作品のデュエットは振付がとても難しいので、パートナーとの相性は大切です。実はわたし、高い所が大の苦手。パートナーを信じて、勇気を振り絞ってデュエットを踊ります。リフトされた時にキャーって叫ばないように、目をつぶってしまうけれど(笑)」

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14回世界バレエフェスティバルより「オネーギン」のパ・ド・ドゥ photo:Kiyonori Hasegawa


----アマトリアンさんから見た『オネーギン』のヒロイン、タチヤーナ像は?

「若い頃のタチヤーナはオネーギンに夢中になりますが、けっして無分別な少女ではありません。だからグレーミン公爵と結婚し、魅惑的な貴婦人に成長できたのでしょう。オネーギンと再会した時には動揺します。かつて拒絶された男性から、情熱的に愛を告白されたのですから。でも、彼女は悟ります。自分はグレーミンへの穏やかな愛情を貫くべきだと。タチヤーナは聡明な女性なのです」

---昨年秋、フォーゲルさんが初めてオネーギンを演じた時のタチヤーナ役は、アマトリアンさんでした。

「彼のオネーギンは、心の中に燃えるような強さを秘めていました。レンスキーとの決闘の後、涙ぐんだ彼の瞳は澄み切った誠実さを湛えていて、彼に見つめられた瞬間、オネーギンを失うなら死んでも構わない!と感じてしまったほどです」

----クランコ作品には、ダンサーが自由に演じられる"余白"があるそうですね。

「私達ダンサーにとって、そこがクランコ作品の面白いところです。オネーギンに見つめられたタチヤーナの身じろぎ、ジュリエットがマントを持って舞台を駆け抜ける姿。何気ない動きに自分ならではの思いを込めるために、私達は試行錯誤を重ねます」

----初めてタチヤーナを演じた際には、どのような準備をしましたか。

「プーシキンの原作を読み、バレエ団の資料室であらゆる映像を見ました。オネーギンに手紙を書く時に使う羽ペンの練習もしました。でも、事前に演技を固定することはありません。振付を忠実に踊り、オネーギンを演じるダンサーと共にそこから涌き上る感情に身を任せます。舞台の上で誰かを演じるのではなく、役柄そのものになるために」

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「ロミオとジュリエット」より photo:Stuttgart Ballet


---クランコ版『ロミオとジュリエット』の標題役も、アマトリアンさんの当り役です。

「ジュリエットは、まっしぐらにロミオと恋におちます。初めての恋、初めてのキス、何もかもが初々しい。年齢は13、14歳、ちょうど私がクランコ・バレエ学校に入った年周りで、私のファースト・キスもその頃だったわ。東京公演ではフリーデマンと、思い切り情熱的に演じたいですね」

----前回の来日公演以降、主役級ダンサーの顔ぶれが随分と入れ替わり、2018年にはタマシュ・デートリッヒが芸術監督に就任することが発表されました。バレエ団の最近の様子を教えてください。

「一連の変化を、私はポジティブに受け止めています。私がバレエ団に入団した時も、変化の真っただ中でした。芸術監督がマリシア・ハイデからリード・アンダソンに交代し、ベテランダンサーの退団が相次いでいた。一緒に踊ってきた仲間と別れるのは寂しいけれど、若手が躍進する絶好のチャンスです。クランコの遺産を守るだけでなく、伝統を継承しつつ、前進していくこともまた、シュツットガルト・バレエ団のお家芸。日本公演で、私達の今と未来をぜひ見て頂きたいです」



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 今日のシュツットガルト・バレエ団を代表するプリンシパル、フリーデマン・フォーゲル。数多のクランコ作品を踊って地歩を固めている彼が、今回、東京の舞台では初めて『オネーギン』全幕に主演する。シュツッガルト団員にとって"神聖な作品"を初披露する日本公演への抱負を訊いた。

インタビュー・文/上野房子(ダンス評論家)

*****

シュツットガルトのダンサーにとって「オネーギン」は神聖な作品です。

----シュツットガルト・バレエ団の"顔"として度々、来日しているフォーゲルさんですが、意外なことに、日本で『オネーギン』全幕の主演を務めるのは、今回が初めてです。

「 昨年11月のシンガポール公演で、念願だったオネーギン・デビューを果たしました。シュツットガルトのダンサーにとって、『オネーギン』は神聖な作品です。 すべての団員が『オネーギン』と共にキャリアを歩み、地元観客も歴代のキャストを見ているので、誰もが作品を熟知している。私の持ち役はずっとレンスキーで、オネーギンを踊る機会は巡ってこないかもしれないと悲観したこともありました。三年前にガラ公演で第一幕の"鏡のパ・ド・ドゥ"を踊ったのを境に、少しずつ、オネーギンに近付いていきました」

----初役の手応えは、いかがでしたか。

「子供の頃から眺めていた絵画の全貌を遂に目にしたようで、感慨もひとしおでした。今までレンスキーを通して見ていたオネーギンを再発見しました。確かに彼は尊大な性格です。タチヤーナに見向きもしません。でも、彼女を惹きつける魅力を持っている。人生に諦念を抱いているのは、彼が紆余曲折を経た結果でしょう。その時どきの彼の在り様には、過去のしがらみの蓄積がある。ロシア人の心の底に流れるメランコリーを象徴するのが、オネーギンなのだと思います」

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「オネーギン」より photo:oman Novitzky

----もう一つの主演作は、『ロミオとジュリエット』の標題役です。

「ロミオは無垢な少年です。やんちゃな一面もあるけれど、悪事とは無縁で、過去を悔やんだり、将来を思い悩んだりしない。脇目もふらずに今という時間を生き、情熱的にジュリエットを愛し抜く。ロミオを演じる時は、彼の生き方さながらに小細工などはせず、演出に身を任せ、心の赴くままに演じます」

---全幕を演じるにあたり、心がけていることはありますか。

「クランコ作品には、全編の核心をつく重要な場面があります。その際のキャラクターの心情を的確に醸し出すことですね。『オネーギン』なら、第二幕、決闘の場面。オネーギンは、親友であるレンスキーを殺してしまう。呆然と立ち尽くす彼とタチヤーナが、一瞬、見つめ合う。すると彼は、雷に打たれたような衝撃を受ける。自分の犯した過ちの大きさに愕然とするのです。そこから彼の人生は転落の一途をたどり、タチヤーナは新しい人生を歩み始める...... 踊る度につくづく感じます。ダンスという表現はなんて雄弁なのだろう、と」


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「ロミオとジュリエット」より photo:Stuttgart Ballet


シュツットガルトには、ダンサーも振付家も才能ある若手が目白押しです。

----ガラ公演で踊る『伝説』を含めて、相手役はアリシア・アマトリアンさんです。世界バレエ・フェスティバルでもコンビを組んだお二方が、いま一度、東京で共演されます。

「相手役とのパートナーシップは、 作品の成否を左右するほどに大切なものです。クランコのデュエットは技術的に難しいだけでなく、役柄に命を吹き込んで物語を語り、観客を魅了する大任を担っていますから。 私が初めてレンスキーを演じた時も、オネーギンを演じた時も、タチヤーナ役はアリシアでした。アリシアやアリーナ・コジョカル、ポリーナ・セミオノワのように踊りの波長がフィットするバレリーナと組むと、彼女が何を考えているのか、見ているだけで理解できます。彼女が私の手を必要とするまで脇に控え、今だ!と感じた瞬間に全力でサポートする。言葉ではなく、体を通して会話を交わすのです」

---今回の来日公演では若手団員が主要パートに登場、ガラ公演では常任振付家のマルコ・ゲッケやデミス・ヴォルピ等の現代作品がお目見えします。

「いま、才能豊かな若手が目白押しです。たとえばエリサ・バデネス、ダニエル・カマルゴ、パブロ・フォン・シュテルネンフェルス。彼らはただ年齢が若いだけでなく、それぞれ異なる個性を持っていて、バレエ団に新たな息吹をもたらしています。若手振付家も充実しています。マルコ・ゲッケとのクリエーションは、刺激的ですよ。彼のイマジネーションは無限だと言いたいくらいに、次々とアイディアが湧いてくる。日本の観客の方々は、馴染みのない現代作品でも熱心に受け止めてくれます。私達の今日の姿を紹介できるのが楽しみです」


シルヴィ・ギエム<ライフ・イン・プログレス>(東京文化会館)は、9月26日からの一斉発売で4公演とも満席となりましたため、、親子ペア割引席の発売はございません。何卒ご了承くださいますよう、お願い申し上げます。


文:奥田佳道(音楽評論家)


 1月18日、19日以降、オペラ好きもシンフォニー好きも、みんな気持ちを高ぶらせているのではないか。
「ムーティ、シカゴ、聴いた?」「聴いた!」
もちろん、独り静かに感動を噛みしめる方も、いらっしゃるだろう。いずれにせよ「ムーティ、シカゴ」は音楽ファンの合い言葉となる。いや、すでになっている。
 現代最高峰のオーケストラ芸術に抱かれる時が近づいてきた。
 マエストロという誇らしい響きが、これほど似合うマエストロは、いない。信念に満ちた音楽家リッカルド・ムーティ、74歳。2010年秋、シカゴ交響楽団の第10代音楽監督に就任した。就任した、などといういつもの表現では駄目だ。シカゴ響の定期会員を含む地元サポーター、オーケストラ・メンバーの熱心なラヴコールが実り、満場の喝采をもって迎えられた、が正しい。
この、歌も器楽もお任せあれの匠の指揮に導かれ、オーケストラ界の雄シカゴ交響楽団が奏でる。熱く、烈しく、妖艶に。創立125周年の記念すべきシーズンに、満を持して行なわれる東京公演。
 開演前から、いささか興奮してしまっても許されるのではないか。
機智に富んだプロコフィエフ若き日の調べが早くも聴こえてくるかのよう。ムーティとシカゴの芸術的蜜月を体感できるオープナー。
 ハイドンの精神と型を受け継ぎ、しかし音楽はどこをとっても才人プロコフィエフの筆致という佳品「古典交響曲」(1917/18)で明らかになるのは、小気味いい跳躍? それとも劇音楽にも通じる、イ短調の清冽な歌心? あのラルゲットを、私たちはムーティとシカゴで味わうのだ。
指揮台でガヴォットを舞うムーティも客席の喜びとなる。いっぽう、オペラのストレッタとも呼応する、モルト・ヴィヴァーチェの第4楽章を今思い浮かべるだけで、ほほ緩む。ブラヴィの声が飛び交っても決して不思議ではない。
 20世紀アメリカ音楽界の要人でもあったドイツの鬼才パウル・ヒンデミット(1895~1963)の屹立する音響、劇的に前進してくる調べこそ、揺るぎのないムーティ=シカゴの名人芸で聴きたい。シカゴ響のライバルでもあるボストン交響楽団の創立50周年を祝って1930年に作曲、翌年初演された「弦楽と金管のための協奏音楽」が、東京文化会館の空間を満たす。シカゴ響の輝かしいブラスを、弦の妙技を満喫したいものである。ジャズのイディオムもこだまするヒンデミット!
 激情も哀愁もお任せあれのチャイコフスキーに、野暮な解説は要らない。2014/15年のシーズン、ムーティとシカゴ響は交響曲全曲に腕を揮ったばかりである。マエストロのチャイコフスキーへの愛は、キャリアの黎明期から今日に至るまで変わらない。
 さあ<運命のファンファーレ>が響く。管弦打楽器の「響宴」に心ときめかせたい。1月19日火曜の夜、私たちは、おなじみの交響曲第4番に、まだ魔境があることを知る。


◆リッカルド・ムーティ指揮シカゴ交響楽団 公演概要はこちら>>>

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「真夏の夜の夢」より photo:Holger Badekow


ジョン・ノイマイヤー「京都賞」受賞記念
ハンブルク・バレエ団2016年日本公演      


■特別出演:アリーナ・コジョカル


■演目と日時、主な出演者

「リリオム─回転木馬」 プロローグ付全7場(休憩1回)

3月4日(金) 6:30p.m. 
リリオム:カーステン・ユング ジュリー:アリーナ・コジョカル
3月5日(土) 2:00p.m.
リリオム:カーステン・ユング ジュリー:アリーナ・コジョカル
3月6日(日) 2:00p.m.
リリオム:カーステン・ユング ジュリー:アリーナ・コジョカル


ガラ公演 〈ジョン・ノイマイヤーの世界〉

「椿姫」より、「マーラー交響曲第3番」より、「マタイ受難曲」より、「ニジンスキー」より、「くるみ割り人形」より(予定)

演出・語り:
ジョン・ノイマイヤー  出演:アリーナ・コジョカル、及びカンパニー総出演

3月8日(火) 6:30p.m.  
3月9日(水) 6:30p.m.  


「真夏の夜の夢」 プロローグ付全2幕(休憩1回)

3月11日(金) 6:30p.m. 
ヒッポリータ/タイターニア:エレーヌ・ブシェ シーシアス/オベロン:エドウィン・レヴァツォフ 
ヘレナ:シルヴィア・アッツォーニ デミトリアス:アレクサンドル・リアブコ 
ハーミア:アンナ・ラウデール ライサンダー:クリストファー・エヴァンス

3月12日(土) 2:00p.m. 
ヒッポリータ/タイターニア:アリーナ・コジョカル シーシアス/オベロン:カーステン・ユング 
ヘレナ:レスリー・ヘイルマン デミトリアス:カレン・アザチャン 
ハーミア:フロレンシア・チネラート ライサンダー:ヤコポ・ベルッシ

3月13日(日) 2:00p.m. 
ヒッポリータ/タイターニア:エレーヌ・ブシェ シーシアス/オベロン:エドウィン・レヴァツォフ 
ヘレナ:カロリーナ・アグエロ デミトリアス:アレクサンドル・リアブコ 
ハーミア:アンナ・ラウデール ライサンダー:クリストファー・エヴァンス


※記載の配役は2015年10月1日現在の予定です。カンパニーの都合等で変更になる場合があります。正式な配役は公演当日に発表いたします。


■会場:東京文化会館(上野)

■演奏:
「リリオム」は北ドイツ放送協会ビッグバンド、及び特別録音による音源を使用
〈ジョン・ノイマイヤーの世界〉は特別録音による音源を使用
「真夏の夜の夢」は東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


■入場料:
S=¥23,000 A=¥20,000 B=¥17,000 C=¥14,000 D=¥11,000  E=¥8,000 
※ 未就学児童のご入場はお断りします。

■発売日:
11月29日(日) 10:00a.m.より一斉発売開始!



特別協賛:公益財団法人稲盛財団
主催:公益財団法人日本舞台芸術振興会/日本経済新聞社


※10月配布のNBSニュースvol.344て、ハンブルク・バレエ団公演の発売日を11月21日(土)と記載しておりますが、11月29日(日)に変更になりました。なにとぞご了承のほどお願い申し上げます。

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