2013年6月アーカイブ

13-06.28.jpg8月に開催する<ディアナ・ヴィシニョーワ―華麗なる世界>にデヴィッド・ホールバーグが出演することが決定いたしました。
ホールバーグの演目は下記を予定しております。


<Aプロ>
「プルースト」
振付:ローラン・プティ
音楽:ガブリエル・フォーレ
マルセロ・ゴメス、デヴィッド・ホールバーグ

「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
エレーヌ・ブシェ、デヴィッド・ホールバーグ


<Bプロ>
「精霊の踊り」
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:クリストフ・W.グルック
デヴィッド・ホールバーグ

「不思議の国のアリス」のアリス役で7月5日と7月7日(昼)に出演予定だったローレン・カスバートソンは、今シーズン始めに受けた足首の手術からの回復が予定より遅れたため、このたびの日本公演に出演できなくなりました。
このカスバートソンの不参加から他の公演日にも波及的に変更が生じ、英国ロイヤル・バレエ団として最善の配役を考えた結果、カスバートソンが出演するはずだった前記の公演のほかにも7月6日(昼)のアリス役を変更し、全日程のアリス役について下記のように決定しました。これにともなって相手役であるハートのジャック/庭師ジャック役も7月6日(昼)と7月7日(昼)が下記のように変更となります。
カスバートソンをはじめ、当初の配役での上演を楽しみにしていた方々には誠に申し訳ございませんが、このたびの変更についてご理解を賜りますようお願い申し上げます。


  7/5 6:30p.m. 7/6 1:00p.m. 7/6 6:00p.m. 7/7 1:00p.m. 7/7 6:00p.m.
アリス サラ・ラム 崔由姫
(チェ・ユフィ)
サラ・ラム ベアトリス・
スティックス=
ブルネル
崔由姫
(チェ・ユフィ)
ハートのジャック
/庭師ジャック
フェデリコ・
ボネッリ
ニーアマイア・
キッシュ
スティーヴン・
マックレー
ルパート・
ペネファーザー
ニーアマイア・
キッシュ
※下線部が変更となる配役です。


 
芸術監督のケヴィン・オヘアとローレン・カスバートソンからの、このたびのアリス役変更に関して、日本の観客へのメッセージが届いております。併せてご覧ください


「不思議の国のアリス」の公演のために皆様にお知らせしていた主役の配役について、アリス役を初演したプリンシパル・ダンサーのローレン・カスバートソンが、今シーズンの始めに受けた足首の手術から治癒しきっていないことから、変更せざるを得なくなりました。

サラ・ラムはコヴェント・ガーデンのロイヤル・オペラ・ハウスでこの役を踊って大成功を収めたほか、世界中でライヴ中継された本プロダクションの映画に登場しました。彼女75日のオープニング・ナイトのアリス役を引き継ぎ、フェデリコ・ボネッリを相手役に踊ります。また彼女は、もともとの出演日である7月6日にもスティーヴン・マックレーを相手役に踊ります。ベアトリス・スティックス=ブルネルとルパート・ペネファーザーは77日の昼公演に、崔由姫(チェ・ユフィ)とニーアマイア・キッシュは77月夜の追加公演に加えて、7月6日の昼公演に出演いたします。

このような変更はありましたが、「不思議の国のアリス」を日本の観客の皆様に披露できることを大変楽しみにしております。私たちがこのバレエをロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスを離れて実際に上演するのは初めてのことになります。私たちのレパートリーに加わったこの素晴らしい作品をおおいに楽しんでいただけることと確信しております。

 

ケヴィン・オヘア

英国ロイヤル・バレエ団芸術監督

 

 

 この夏の英国ロイヤル・バレエ団の東京公演でアリス役を踊ることができず、とても申し訳なく残念に思っています。この1年、大変難しい手術を足首に2度受けました。このツアーまでには完全に回復できると思っていましたが、残念なことに見込みよりも時間がかかっています。足首は順調に治っていますが、まだ跳躍することはできず、アリス役はとても負担も大きいため、完治を急ぐことには不安を感じています。

 

ローレン・カスバートソン

プリンシパル・ダンサー、英国ロイヤル・バレエ団

オーストラリア出身のスティーヴン・マックレーは、今年で入団10年目を迎える。入団当初こそ、その決してダンスール・ノーブル向きとは言えない小ぶりな体躯と赤毛の風貌から、テクニック重視の役柄ばかりが割り振られていたものの、ここ数年は、十九世紀古典バレエの王子役からマクミランの『ロミオとジュリエット』や『マノン』といったドラマティック・バレエの主人公まで幅広く踊りこなしている。また、今秋にはオンライン大学でビジネスマネジメントの学位を取得予定でもあり、同バレエ団の先輩ダンサーであるヨハン・コボーを思わせる、テクニック、演技、知性への全包囲への発展を遂げている。「僕はいつでも自分の意志で人生を切り開いてきた」と語る27歳のマックレーのダンスは、その人生経験を反映して円熟期のリリシズムをたたえている。


-------- 前回の2010年の日本公演は、プリンシパルに昇進されてからまだ1年程の時期でした。それから数年、あなたはプリンシパルとして劇的にレパートリーを増やしてきました。近年、記憶に残る特筆すべき舞台があれば教えてください。

最初に思い浮かべるのは、前回の日本公演で吉田都さんの相手役を務めさせていただいた『ロミオとジュリエット』です。自分が敬愛するダンサーのさよなら公演で、しかも彼女の母国で、ロミオを踊らせてもらえたことは非常に名誉なことでした。それから『マンン』のデ・グリュー役を初めて踊らせてもらったことも、大変嬉しかったです。僕が長年、踊りたいと願いつづけてきた役柄ですからね。それからミハイル・バリシニコフのためにアシュトンが振り付けた『ラプソディ』もキャリアハイライトの一つでした。僕はバリシニコフの完全無比なテクニックだけでなく、彼がダンスへそそぐ情熱とショーマンシップにも親近感を覚えます。ですから高い技術力と同時にエンターテナー性を要求される『ラプソディ』を初めて踊ったときには、少し矛盾して聞こえるかもしれませんが、舞台上でプレッシャーを感じると同時に自分らしくリラックスしてそこに居ることができました。これはいつか日本で踊りたいと考えている演目のひとつです。


-------- 2011年にはクリストファー・ウィールドン振付『不思議の国のアリス』が初演されました。あなたはかつての経歴を生かして、マッドハッター役で華麗なタップを披露されました。

稽古の初期段階では、クリストファーもタップを採用するべきかどうかで迷っていました。だから僕はとりあえずタップシューズとバレエシューズの両方を持参して稽古場に向かい、二人でいろいろとトライ&エラーを繰り返して振付を構築していきました。クリストファーの中には、マッドハッターに対してのある音楽的な像があり、その像を実際にタップの音で構築できるかどうかが採用の決め手になりました。結果的に、誰もが人生でいちどは体験したいと思うような、公園を笑いながら泣きながら叫びながら走りまわるようなクレイジーな感情が凝縮された場面が出来上がったように思います(笑)。毎公演、少し即興も取り入れていますよ。

13-06.24Steven McRae1 Photo Johan Persson, ROH.jpg

-------- 『不思議の〜』の王子役ともいえるハートのジャック/庭師ジャック役も日本公演で踊られます。

おそらく初演時からもっとも登場場面が増やされたのがジャック役です。それにより彼の若くて戸惑いにあふれた恋の感情がよりうまく表現できるようになりました。僕にとってジャックは、ロミオと同系列の役柄です。彼はアリスと恋に落ちるわけですが、若さゆえにその感情がなんなのか自分でもよくわからない。すべてが未知の感情であるがゆえに繊細な恐れを抱えていて、突然、電気が走り抜けるようなドラマティックな感情が溢れだす。そんな若くみずみずしい感情を、僕自身はジャック役で表現しようと考えています。


-------- あなたはたとえ『白鳥の湖』のジークフリート王子のようなある種の古典的な王子役を踊るのであっても、解釈として現代的な人間らしさを付け加えて踊っているように思えます。

そう言ってもらえると嬉しいです。『白鳥の湖』に関して言うなら、僕はイギリスのハリー王子を参考に役作りを進めました。現代の王族はかつての王族と違います。ハリー王子を見れば分かるように、彼は不遜で生意気で問題ばかり起こしているように思えるけれど、きちんと王族としての務めも果たしている。そういう長所も短所もある、普通の人と変わらない人間らしさを抱えた王子を、僕は演じようと思っているんです。おとぎの国にしか存在しない完全無欠な王子様を演じてもつまらない。人生の複雑さや豊かさが反映されない芸術なんて面白くないですからね。

13-06.24Steven McRae2 Photo Bill Cooper, ROH.jpg

取材・文:岩城京子(舞踊・演劇ジャーナリスト)

Photo:Johan Persson(「不思議の国のアリス」)、Bill Cooper(「白鳥の湖」)/ROH

東京バレエ団創立50周年プレ企画
バレエ・ブラン・シリーズ1
チャイコフスキー記念 東京バレエ団

「ラ・シルフィード」(全2幕)

◆主な配役◆

ラ・シルフィード:沖香菜子
ジェイムズ:松野乃知
エフィー(花嫁):河谷まりあ
ガーン(ジェイムズの友人):和田康佑
マッジ(魔法使い):後藤晴雄
アンナ(ジェイムズの母):坂井直子

【第1幕】
パ・ド・ドゥ:奈良春夏-原田祥博

【第2幕】
シルフィード(ソリスト):乾友子-矢島まい-川島麻実子

指揮: ワレリー・オブジャニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力: 東京バレエ学校


◆上演時間◆

【第1幕】 15:00 ~ 15:55

休憩 25分

【第2幕】 16:20 ~ 17:10

東京バレエ団創立50周年プレ企画
バレエ・ブラン・シリーズ1
チャイコフスキー記念 東京バレエ団
「ラ・シルフィード」(全2幕)


◆主な配役◆

ラ・シルフィード:渡辺理恵
ジェイムズ:柄本弾
エフィー(花嫁):吉川留衣
ガーン(ジェイムズの友人):永田雄大
マッジ(魔法使い):木村和夫
アンナ(ジェイムズの母):坂井直子

【第1幕】
パ・ド・ドゥ:高木綾-梅澤紘貴

【第2幕】
シルフィード(ソリスト):乾友子-矢島まい-川島麻実子

指揮: ワレリー・オブジャニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック交響楽団
協力: 東京バレエ学校

◆上演時間◆

【第1幕】 15:00 ~ 15:55

休憩 25分

【第2幕】 16:20 ~ 17:10

 「OK!OK! 良くなってきた!」。『ラ・シルフィード』公演を控えた東京バレエ団の稽古場には、振付指導にあたる斎藤友佳理のはつらつとした声が響きわたっています。音楽が止まると、「私が見せてもらいたいのは、こう──」と、自ら動いて手本を見せ、ダンサーたちをあるべき方向へ導いていく──。長年にわたってシルフィード役を踊り、いま、指導者としてこの作品に取り組む斎藤に、連日の熱いリハーサルについて話を聞きました。

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──連日、中身の濃い、充実のリハーサルが続いています。

 振付家のラコットさんを尊重し、彼が見せたかったことに可能な限り忠実に、と思って取り組んでいます。ラコットさんが何を求められているか、ということをダンサーたちにしっかり伝えていかなければ、と思っています。


──一昨年から、モスクワ音楽劇場の『ラ・シルフィード』で振付家、ラコット氏のアシスタントを務められていますね。

 当時の芸術監督、セルゲイ・フィーリンさんからの要請でした。モスクワの大学院で学び、教師の資格を取った直後にいただいたお話でしたが、教師としての最初の大きな仕事がロシアとは、思いがけないことでした。それも、私の大好きな『ラ・シルフィード』。運命的だと感じています。
 ラコットさんは、古典の復元ができる数少ない振付家、その第一人者ですから、彼のリハーサルは、そのひと言ひと言すべてが貴重でした。言葉の壁があって困難なこともありましたが、皆から必要とされ、ダンサーたちがより多くを求めてきてくれたとき、力になりたい、と思ったものです。この経験なしに、東京バレエ団で『ラ・シルフィード』を指導することになっていたとしたら、いろんな意味で迷い、苦しんだことと思います。

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 そして、東京バレエ団の稽古場へ──。傍らには、常に彼女の発言を記録しているバレエ・ミストレス佐野志織の姿も。音楽が止まり、斎藤が問題点を次々とあげていく場面では、すかさず佐野がメモを取り出し、フォローに入ります。指導陣のタッグは実に絶妙、このリハーサルに欠かせないものとなっています。


──東京バレエ団でのリハーサル、その手応えはいかがですか。

 言葉の壁もないですし、自分のバレエ団でもありますから、伝えることについては何の問題もありません。さらに、バレエ・ミストレスの志織ちゃんとはバレエ団に入った時からずっと一緒に踊ってきた仲間。とてもやりやすいですね。私が感じることは志織ちゃんも感じているし、志織ちゃんが感じていることは、私も同じように感じている。"阿吽の呼吸"です(笑)。ここでお互いにコミュニケーションがとれていなかったら、仕事ははかどりません。

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──ジェイムズ役については、斎藤さんとパートナーを組んでいた高岸直樹さんも指導に入られています。

 男性の、とくにサポートに関することでは、直樹君にアドバイスをもらっています。これが、リハーサルの本来あるべきベストの姿かと思います。そういう意味では、とても充実したリハーサルが実現できているといえますね。
 私はずっと、ロシアと日本を自由に行き来して踊ってきましたが、それは、ロシアに行くことになった当時、(東京バレエ団代表の)佐々木(忠次)さんが、「ロシアで学んだことを、東京バレエ団の舞台で活かすように」と言ってくれたからこそ、できたことです。そのおかげで、ロシアで指導を受け、たくさんの出会いに恵まれ、多くのことを得ることができた。いまやっと、こういった形で恩返しができることを、とても嬉しく思っています。

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──主役を踊る4人の若手ダンサーたちについて教えてください。

 初日のシルフィード、渡辺理恵には、おしとやかさや品性、優しさといった持ち味を活かし、羽ばたいてもらいたいですね。相手役の柄本弾は、常に「自分はここまで」と満足しないところがある。さらに変化していくと思います。二日目に登場する沖香菜子は、頭の切れるダンサー。彼女にしかできないシルフィードを期待しています。松野乃知は、その素直さが魅力です。いつも沖とコミュケーションを密に取っていますが、これはダンサーにとって大きな強みとなります。
 主役の4人だけでなく、私にとってはエフィーをはじめ、マッジ、ソリスト、コール・ドも含めた全員が主役。舞台に立っている一人ひとりが輝くような舞台に仕上げることができたら、それは本当に意味のあることだと信じています。このバレエ団でしか出せないものを、創り上げていきたいです。

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 作品への思い、ダンサーたちへの愛情がたっぷりこめられたリハーサルが続く日々。公演では、東京バレエ団ならではの魅力にあふれた、フレッシュな『ラ・シルフィード』が期待されます。



取材・文:加藤智子

撮影:引地信彦

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